人権の砦「リバティおおさか」を守る 〜裁判支援集会〜
1985年、国内で初めての人権博物館としてオープンした「リバティおおさか」が、今、存亡の危機にさらされています。2013年3月末より大阪府・市からの、合わせて年間1億円余の補助金が打ち切られ、さらに一昨年、大阪市は敷地賃料を年間2700万円とする借地契約を結ぶよう要求してきました。職員削減、サポーター等の支援で持ちこたえている状況で、賃料など払える余地もなく、市と交渉を進めていましたが、昨年7月、大阪市はリバティおおさかを相手取り「博物館建物収去・土地明け渡し」を求めて提訴してきたのです。裁判は第5回口頭弁論を終え、1年余を経過した頃合いで、8月27日(土)、「裁判支援集会−全国初の人権博物館を守ろう」が開催されました。場所はリバティーホール。275席が満席となりました。
オープニングでは、和太鼓ユニット“絆”が、権力の圧迫を吹き飛ばすかのような迫力のある演奏を繰り広げました。
集会では主催者として、支援する会事務局長の浅居明彦さんが「この土地はかつて被差別部落の住民が、小学校設立のため無償で寄付をした経緯がある。その事実を大阪市が全く顧みず、歴史の封殺を堂々と主張することが、私は最も許せない」と挨拶しました。次に、普門大輔弁護士が裁判の経過を説明。また石橋武博物館理事長は、部落問題に限らず多岐にわたるこれまでの展示は、戦争におけるアジアへの反省や人権に対する価値観の表明であること。裁判闘争とともに開館し続けることが闘いであり、来館するなり、サポーターを増やす等、さらなる支援を求めました。 次に「ジャーナリストから見たリバティおおさか裁判」と題しフリージャーナリストの青木理さんが口火を切り、博物館専務理事の赤井隆史さん、弁護団長の丹羽雅雄さんと共に、特別トークセッションがおこなわれました。メディアの世界では、軍隊慰安婦をめぐる朝日新聞へのバッシングに象徴される、非常に狭量で排外主義的な傾向が強まっていること。それは橋下徹元大阪府知事による視察後、「公益性」の判断で、数多くの展示資料に×印がつけられ、リバティとしては、苦渋の選択として展示内容を変更したあげくに、二度目の視察(当時大阪市長)では「僕の感性に合わない」の一言で補助金を打ち切ったその事実と重なり、裁判闘争は権力の濫用に抗する立憲主義の再構築であることを、参加者に強く示す内容でした。 選挙という手段で選ばれた首長であったとしても、有権者は、全ての価値観や、ましてや「感性」までも一任しているわけではありません。これまでの行政の継続性や、「人権」や「歴史」を様々な角度から照らし、人々の考えを喚起するための施設を、首長の独断で消滅させるわけにはいきません。国レベルでの現安倍政権にも通じる危うさであり、自民党による憲法改正案に示された「公益」概念が持つ危険性をも連想させます。それは、第2次世界大戦において「独裁」を許した世界観にも通じ、私たちはその反省の元に「世界人権宣言を」手にしたはずなのです。リバティおおさかの裁判を「人権の砦を守る闘い」と位置づけ、これからも支援し、注目し続けましょう。
※第6回口頭弁論は10月21日(金)9時30分、大阪地裁集合
※下記企画展も開催されます。
「らい予防法」廃止20年、国賠訴訟勝訴15年記念企画展 人間回復への道−ハンセン病問題は問いかける 期間:2016年9月14日(水)〜11月26日(土) 場所:大阪人権博物館(リバティおおさか)特別展示室
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