〈主張〉

安倍晋三元首相の国葬に反対します!

   

安倍晋三元首相の国葬に反対します!

私たちは、927日におこなわれるとされる、安倍晋三元首相の国葬に反対します

 岸田首相が安倍元首相の国葬を決断した理由として、「歴代最長在任期間の首相であった」ことをあげていますが、一次、二次を含めた88か月間、安倍元首相の政権運営のスタンスのもっとも特徴的なことは、「反人権」であったことは間違いありません。

1990年代は、世界的に第2次世界大戦後の「謝罪の時代」といわれ、日本もその例外ではなく、1993年に慰安婦問題をめぐる「河野談話」が発表され、1995年には「戦後50周年の終戦記念日にあたって」(いわゆる村山談話)が発表されるなど、日本政府として初めて戦争の反省と謝罪が表明されました。しかし、それに対して、激しい反発と怒りを募らせたのが若き安倍晋三衆議院議員だったのです。1997年に、政治団体「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」(安倍晋三事務局長)と「日本会議」が設立され、「慰安婦の記述を削除せよ」と主張する教科書運動が展開されました。国連を中心とした様々な国が、過去の戦争について「謝罪をとおした和解と相互理解」を推進しようとするその動きと真逆の、「対立と分断―排外主義」を社会に持ち込んだ急先鋒として、安倍元首相が存在していたのです。

 2002年、被差別部落に関して「地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律(地対財特法)」が期限切れとなり、部落差別に特化された法律が失効する歴史的な経過の中で、より普遍的に「人権」を軸とする「人権擁護法案」が必要であるとの認識が、政府与党にも存在し、それゆえに提出されたのが「人権擁護法案」でした。しかし、その同じ自民党内でその法案に痛烈に反対する立場でグループを形成してきたのが安倍晋三その人であり、「人権擁護法」を成立させないことを公約として選挙を勝ち抜き、その旗印のもと党内での地位を上昇させ、首相にまで上り詰めました。

恒久平和を誓う平和憲法の改悪を最終地点と見定めながら、教育基本法の改悪を断行し、集団的自衛権を容認する戦争法の成立、戦前の「治安維持法」を彷彿とさせる「共謀罪」の成立等々、戦後の民主主義的価値観をことごとく敵視し、国権主義を強化してきました。

 そうした価値観を支えるイデオロギーの要として「家族」の尊重を掲げていたのもまた、安倍政権でした。この30年以上にわたり、様々な世論調査でも常に半数以上が是認する「選択的夫婦別姓制度」さえもが、成立してこなかった事実。LGBTQ法案がつぶされたこと。ジェンダーギャップ指数の低迷が続いてきたことなども、「世界統一家庭連合(旧統一教会)」との政策協定の影響なのではないかと疑われます。そうして、選挙のたびごとの「票」の采配が、そうしたカルト集団の思想性の影響をこうむっていたことが事実だとすれば、私たちの国のあり方そのものに根本的な疑義さえ生じてしまいます。

 私たちは、この間、市協定期総会議案書、人権政策確立要求京都市実行委員会での基調、人権交流京都市研究集会での基調などで、安倍政権における人権尊重に反する政策や方向性について批判をしてきました。ふたたび戦争のできる国づくりへと、大きく舵をきっていく政局に対しても、「戦争は最大の人権侵害」との立場から、何とか食い止めるべく、「戦争させない1000人委員会京都連絡会」との共闘で取り組みをすすめてきました。

 ましてや「国葬」とは、第2次世界大戦中、山本五十六など軍人国葬などに見られるように、国威高揚のため、国民統合と言論弾圧に寄与してきたという戦前の遺物です。一政治家のための国葬の法制定が整わなかった理由は、そのためでもあります。

 立憲主義をないがしろにし、閣議決定のみでものごとを進めていく手法は、まさに安倍晋三元首相のやり方そのものでもありました。これ以上、この国の屋台骨が崩れないためにも、927日に予定されている「安倍晋三元首相の国葬」には断固として反対していかなければなりません。

 間違った決定をし、遂行する根拠を失ったとき。それに気づいた時に、立ち止まり、やめること。まさに、日中戦争から太平洋戦争のさなかに、「やめる」という決断ができなかったことが、アメリカによる広島、長崎への原爆投下の悲劇を生み、都市部への空襲等、市井の人々の多大な犠牲をもたらした原因であったと、今こそ思い至るべきです。

 私たちは、下記の取り組みへの参加を、連帯する仲間たちへ、市民のみなさま方へ呼びかけます。

 

9/19行動

国葬中止を!市民アクション

日 時:9月19日(祝)午後4時30分

場 所:京都市役所前  5時からデモ(市役所前→四条河原町下ル)

主催:憲法を守り生かす京都センター・戦争させない1000人委員会京都連絡会

   安保法制廃止市民アクション@きょうと