市協「人権確立・まちづくり合同部会」を開催 〜事前登録型本人通知制度といきいき市民活動センターの今後について〜
8月27日、京都府部落解放センターにて「市協人権確立・まちづくり合同部会」を開催し、「事前登録型本人通知制度について」と「いきいき市民活動センターの在り方の検討について」2本のテーマで学習と討論をしました。京都市からは、地域自治推進室より臼山広宣市民窓口企画課長、石原夏世課長補佐(市民窓口係長)、同室川瀬清一朗市民活動支援課長、伊藤洋康人権文化推進担当課長が参加し、説明をおこないました。部落解放同盟京都市協からは各支部より12名が参加しました。
冒頭宮崎議長があいさつし「部会は私たちにとって勉強の場であるし、地域でも活用して取り組んでほしい。今日はいきセンの今後の方向と、事前登録型本人通知制度について。現在京都府では、人口5000人未満の市町村に関しては、全通知型を実現しようと議論を詰めている。南山城村、笠置長、和束町、伊根町、これらがその方向になっていくと思うが、京都市も、この取り組みのグレードをあげてほしい」と述べました。
双方自己紹介の後、まずは、事前登録型本人通知制度について臼山課長より以下のとおり説明がありました。
「昨年度の取組としては2月に回覧板をまわし周知した結果登録者数が増えている。1か月に526件増加という今までにない数字があがり、3月も180件増加、4月には平均並みの62件にもどり、以降は60件前後の増加で推移している。頻繁に回覧板をまわしても効果が薄いと思われるので、別の方法を考える必要性を模索している。引き続き人権月間にあわせ、各区役所のテレビモニターについて継続するように調整している。」
モニターについては、参加者が誰も見たことがなかったので、内容について確認したいという要望が出されました。今後に向けて、12月の人権月間の講演会でチラシを配布している醍醐地区の例が報告されたり、教育委員会に話をして保護者向けプリントを配布してはどうか、家族登録をしてはどうか等の提案がありました。
宮崎議長から、この制度を開始して(本人通知をすることでの)トラブルはあったかどうかとの質問に対しては、石原補佐が「(第三者に)出されたこと自体に納得していないケースもあるが、心当たりがあってという話になる」として、大きなトラブルはないとの回答があり、続けて、議長が、「また登録に関して、経過として部落差別に係ることが前面に出ているが、部落問題以外にも人権課題としてあるということをもっとアピールしてもらいたい。市民窓口は水際であり、第三者に情報を渡すことが殺人事件に発展する場合さえある。本当に慎重に業務を遂行する必要がある」と指摘しました。
参加者から、全通知型について、人口の多い政令指定都市は難しいとは思うが、本当に無理なのかと問いかけると、臼山課長は「そういった要望があったので、一応試算してみると、例えば住民票では本人以外の請求が20%あり、だいたい9万4千件。戸籍等となると13%が本人以外の請求であり7万2千件、合わせて16万件以上となる。相当な量となり、また郵送料も試算したら、1370万円ということになり、人件費もあわせると、もっと大変なことになる」と回答。将来的に実現しようとすれば、正式な予算要求も必要になるだろうとの話でした。
次に、いきいき市民活動センターの在り方検討について、川瀬課長が以下のとおり説明しました。
「いきいき市民活動センターは、コミュニティセンターの廃止に伴い、既存の施設の有効活用を図り、市民公益活動はもとより、サークル活動など市民活動を幅広く支援していくため、市民総合活動センターを補完し、市民がいきいきと活動できる場所と機会を提供できるよう、市内13か所に設置している。しかし、転用から約8年が経過する中で、利用件数が年々増加し、地域や市民活動団体とのつながりを深めているセンターがある一方で、立地条件等により利用件数が伸び悩んでいるところもあるなど施設の利用状況に差が生じている。そこで、進化する施設となるため全体の在り方について検討を行い、その結果を2022年度からの指定管理業務に反映していきたい。
今年3月、評価委員会に以下の3点について諮問を行った。
@
これまでの指定管理における、各いきセンの在り方
A
地域のニーズや立地条件等を踏まえた、いきセンの在り方
B
指定管理業務の仕様の見直し
今年度末(2020年3月末)に答申を受ける予定。
また、いきセンの現在の利用状況の調査及び指定管理者へのヒアリング等を実施することで、施設に対するニーズを把握し、運営事業者事業内容、施設等の現状を踏まえ、利用料金制の導入や活動団体の拠点づくりなど、施設を活性化するための方策について検討する。
次に、現在の検討状況について、6月に調査委託業者を決定し、現在、8月19日から9月18日の1か月間、各いきセンにおいて、利用者の属性(団体の種類)、利用目的、利用時間や施設への要望などの利用実態を把握するための利用者実態アンケート調査を実施しており、近々に、各指定管理者へのヒアリングを実施する予定。調査結果等を踏まえ、今後も評価委員会において議論を行う予定。」
その後の質疑では、管理者へのアンケート中に「避難所にできるか」という項目について、実際に視察すればわかることなのに、要らぬ期待を抱かせるのではないかとの指摘や、大学サークルが専用で貸し切り状態になっていて、地元の人が借りれないのは問題などの指摘もあり、特に体育館については、市民が予約できる枠を設けてほしいとの要望もありました。
宮崎議長は、「いきセンがコミュニティセンターから転用されたことはわかっているが、それ以前に隣保館であったことが根っこにある。かつて米騒動をきっかけとして治安対策でつくられた隣保館と保育所はセットものとして部落の地域の人にとっては記憶されている。今でも役所から書類が届き、わからなかったら聞きに行くお年寄りがいる」と述べたうえで、「指定管理を受けている立場から言わせてもらえば、市民活動活性化事業については、地域の人たちだけでなく学区を含めた地元の交流のため、ぜひ予算化を今後とも残してほしい」と要望しました。
様々な意見が出されることで、同じ「いきいき市民活動センター」でも、地域によって使われている部屋も含めて、様々な違いがあることがわかりました。久世などは、逆に近くに大学などが全くないことから「活性化に向けた他団体や若者との交流もむずかしく、貸館率も低い等の評価を受けていることが悩みである」との意見が出され、京都市として相談や支援を要望し、地域自治推進室としても、今後相談や市民活動センターへの紹介をお願いしました。
最後に議長がまとめとして、「いきセンについて、頑張っているところへはアドバイスや支援を。また、事前登録型本人通知制度について、臼山課長にはPRをもっと工夫しなければならないということで、今度の11月までに考えていることをまとめてほしい」として、部会を終了しました。
|