市協 第9回「教育・保育部会」開催
京都市教育行政の現状とは?
8月28日(月)部落解放センターにて、市協「第9回教育・保育部会」が開催されました。 京都市教育委員会から菅野明宏学校指導課担当課長、竹内知史主席指導主事が出席し、市協からは、6名の部員が参加しました。
議題としては、大きく「京都市における教育行政の現状について」ということで、まず、「《学校における》人権教育をすすめるにあたって」という2010年に策定された、現行の指針(冊子)を菅野課長が説明しました。構成として、人権教育推進の基本的方向、理念として、『人権という普遍的文化』の担い手の育成について記載され、次に学校としての組織的取組として、目標設定、年間指導計画の策定、人権研修、家庭・地域、関係機関との連携及び校種間の連携が示されています。3つめに個別的課題に対して、当時の人権文化推進計画に沿った項目(子ども、男女平等、障害者、同和問題、外国人等)の「現状と課題」「基本的考え方」が列挙されています。しかし、これらは「障害者差別解消法」「ヘイトスピーチ対策法」「部落差別解消推進法」等が施行される以前の内容であり、それらを踏まえた今後の指針が必要なことが指摘されました。
特に「同和問題にかかわる課題」の項目では「同和行政の終結」「同和教育方針が役割を終える」「学習施設の廃止」等々、[現状と課題]は、これまでの取組をやめることについて記されているだけで、部落差別の今日的課題や問題については一言も触れられていません。「廃止」や「終結」は京都市行政としての方針であって、部落問題としての課題を採り出す視点とは違います。同時に「同和問題」の取組についても「人権教育としての取組」というふうに、言葉としてすり替えられています。人権教育とは、様々な課題の総称であり、ことさら「同和」問題だけを、人権として言い換える必然性はありません。逆に女性や障害者、外国人、LGBT等の課題は人権の取組ではないのかと問いかけなければなりません。 竹内指導主事からは、これまで現場の校長を務めてきた経験から「自分にとっても同和教育が原点」としたうえで、学校全体、また市内にある学校の共通認識をつくるための研修を行っていると話しました。
意見交換では、「同和教育の普遍化として、一人一人の子どもを徹底的に尊重する」ということであれば、「しんどい子」に対して、もっと寄り添う姿勢、特に家庭訪問の重要性について、様々な体験や視点から意見が出されました。ある部員からは、学校近くのコンビニで若い教師たちの本音が会話で聞こえてきたが、問題のある子どもを排除する内容で、ショックを受けたという発言もありました。 学校現場においては、具体的な関係性の中で、子どもの生活の背景を含めて理解を深め、信頼を得るという、そのことがまさに「人権教育」なのであり、先生方にはその実践がのぞまれています。それには、教員数や、教員の待遇(教員の非正規化がまさに今問題とされている)について、もっと真剣に、国や私たちも考える必要があります。
「子ども・若者はぐくみ局」の新設は、京都市が、これからの社会の軸として、子どもたちの人権を何よりも大事にするという表明として受け止められます。これからも意見交換の継続を確認して、部会を終えました。
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