市協まちづくり部会開催

〜団地再生計画の現状と今後について〜

7月29日、京都府部落解放センターで市協まちづくり部会が開催され、各支部より16人、京都市からは、住宅室すまいまちづくり課より橋本一課長をはじめ3人の担当課長、共生社会推進室より大森淳課長が参加しました。

はじめに、木下松二議長より「本日は改良住宅の建替えの進捗状況の報告と同時に、久世・辰巳・改進の今後の見通しについても話がされるということで、よろしくお願いしたい」とあいさつがありました。橋本課長からは、概括的な進捗として、「養正・三条・壬生東について7月に完了した。錦林は今年1月に更新棟工事を着工し、来年度6月完成を目指している。5月に竣工した3団地については、3月に地元説明会を行い、移転に関する説明や、まち美化事務所にも参加要請する中で、ゴミ処理の啓発もしてもらった。竣工後は内覧会を行いドラフト制の抽選会を実施して、6月15日には壬生、619日には三条の抽選会、養正については6月に2回、7月に2回実施したという状況。今後は各団地とも、移転していただいたのち、第2期の更新棟の工事に向けて既存棟の解体を進めていくことになっている」と述べました。

それを受け、古谷事務局長が「現段階で、それぞれの良かった点や悪かった点を出し合い共有することで、今後につながる話をしていきたいので、各担当からくわしい報告をもらいたい」と促し、まずは、養正担当の堂本良事業第一担当課長が説明。特に募集の偏りがなく、全員の希望に沿うことができたと報告されました。続いて壬生東について塩田健司事業第二担当課長が説明。「62日の内覧会で3タイプを見てもらい、どこを希望するかのアンケートをとり、6月に抽選会をおこなった。8月中旬までに移転が完了の予定」と報告。最後に錦林と三条を担当している加藤努事業第三担当課長が説明。「三条について、住民に対しては4年前に希望を聞いて、3DK3戸、2DK9戸、2K20戸という割合になったが、2Kが余って、2DKが足りないという状況になっている。直近の説明会ではそんなことは聞いてないとの住民からの苦情もあった。個別訪問での説明が不足していたかと反省している」と述べ、住民の希望する住居と戸数のミスマッチが浮き彫りになりました。

 そもそも今回の事業については、住宅のタイプとしては3地区についてはいずれも同様のパターンであり、2K(約35u)、2DK(約45u)、3DK(約60u)の3種類と決められていました。住民の要望を取りまとめる中で、それぞれの地域での戸数割合を決めていった経過がありますが、どの地域も家賃との兼ね合いもあり当初は小さなタイプを希望する人が多い傾向にありました。しかし、40年〜50年前に建てられた住宅は老朽化のうえ狭隘化しているという指摘のもと再生計画があったことを思えば、そもそも現状の35uについても狭かったところ、今回風呂や脱衣場、廊下などのスペースが新たに必要となったうえでの同じ平米数であるならば、ますます狭隘化された住居への移転を余儀なくされることになります。住民の方々は納得しにくいだろうと予想され、風呂場を除いたスペースで現状の広さが担保される必要があっただろうと考えます。さらに、細かなところでは三条の住宅にかぎって、押し入れのスペースが半間もなく、布団を折りたたんで入れる広さもないことが内覧会で明らかになったり、空調を取り付ける穴が床上にあることからその部分の壁のスペースが使えないなど、あきらかに不便な点も指摘されました。

他の地域についても、たとえ一人暮らしでも2DKを希望する住民が多いことから、第2期以降の建替えについては、設計変更も含めた見直しが必要であるとの意見も出されましたが、予算や施工期間の関係があり難しいとの回答でした。しかし、何十年に1度あるかないかという住居の引っ越しについて、住民の方々が本当に喜んで移転できるように努力してほしいとの要望が強く出されました。

また4地区以外にも、久世支部から意見があり「議題にあがっているということがありがたく、スタートアップということで話し合いの機会をまずは設けてほしい」との要望もあがりました。

 

少なくとも、現状の住環境が向上し、住民たちが「よくなった。よかった!」と実感できるような建替え、移転が実現できなければならないはずです。住みよい場所で、安心して、くつろいで暮らせること。そうしたことが保障されることは、人権確立の前提であるはずで、それゆえそこに暮らす人々の立場にたって設計や施工について判断することが、人権にかかわる重要かつ必要な態度であることを京都市には自覚してもらいたいし、市協としても、今後の地域のまちづくりを見守っていかなければならないと考えます。