市協「教育・保育部会」を開催
〜市営保育所のあり方をめぐって〜
7月17日(火)午後6時半より京都府部落解放センターで、市協「教育・保育部会」が開催されました。 今回は、保育の課題として、「@市営保育所の今後について A崇仁保育所の移転民営化について B保育所入所に係わる基準・点数制について」を議題として、村上文彦 公営保育所業務推進課長から説明を受けました。伊藤洋康人権文化推進課事業調整課長も同席し、市協からは、7人の部員が参加しました。 冒頭宮崎議長から「年度末になると、保育所の入所が決まってくるが、各支部から『地元の保育園に入れない』という声を聞くので、制度を学習していきたい。また、かつて民営化について、1行政区に一つの公営保育所を残したいという方向性を聞いた記憶があるが、その後崇仁保育所も民営化となると下京区には1つもなくなるということで、市内の他の地区も心配している。この2点について勉強して いきたい」と挨拶がありました。 新役員も含めた自己紹介の後、説明を受けました。 まず、市営保育所の役割・機能としては、「行政直営の保育所として、虐待の早期発見・早期対応や未然防止、障がいの早期発見・支援、入所児童だけではなく地域の子育て家庭にたいする支援の充実と児童福祉センターや保健センターと連携したネットワーク形成を担っていく」「しかし、1行政区に1市営保育所の方針について、今はない。もともと右京区や西京区にはないことから、エリアとして考えている」とのことでした。 また、「崇仁保育所の移転先は、七条通北側の渉成園のさらに北、元六条院小学校の一部跡地とし、現在1件の法人が申請している。6月下旬までに書面審査を終え、7月下旬までに実施審査をして問題なければ、決定される。児童への影響や保護者の意向を充分にふまえるため、職員派遣を段階的に減らしながら3年間行う」 「保育利用の優先度を点数で判定するポイント制は、客観性と透明性を高めるため2015年(平成27年度)から導入している。保育が必要な理由としての基本指数に調整指数(就労状況や世帯状況、きょうだい同一希望等児童の状況)で、プラスマイナスする。希望先への入園状況は、第1希望通りが約8割、第2希望、第3希望合わせて約93%が入園した。ポイントの見直しも行い、現在はひとり親世帯への加算5ポイント、兄弟姉妹の同一入所ポイントを高くした」と、以上、3点について説明をもらいました。 その後、質問を含めて意見交換をおこないました。 崇仁保育所については、「これまでの地域の外(700M北)に出て、名前も変わってしまうということについて、例えば錦林保育所が同じ場所、同じ施設で民間移設したことと、状況はかなり違う。園児や保護者への影響も大きいし、我々としても、市内で最も大きな被差別部落の名前が消えるということは、地域を否定されたような、故郷が失われるような思いがある。」「1行政区で一つの保育所は残ると受け止めていたので納得がいかない」「3年間丁寧に引き継ぐということだが、そのあとのことが心配。中立や平等が失われるのではないか、思想的な偏りが生じないか」等の意見が出ました。 また、ポイント制に関しては、久世地域では「遠くから車で送り迎えしている保護者がいる一方で、地元の休職中の母親が入れない。生活がひっ迫しているからどうしても働きたいのに、入れないという声を聞く」、また千本支部からは「部落の中の保育所として、地区外の保護者が『あそこは』と言ったりする。そうした人権課題を知ってほしい。むしろ、人権を中心として、みんなが仲良くなれる保育所を目指してほしい。『楽只に来てはじめて部落のことがわかった』という人も中にはいる。そうした位置づけにしてほしい」「小学校との連携という位置づけが書かれているが、地域との関係が薄れてむずかしくなっている」等々の意見が出されました。 意見を交わす中からは、市営保育所の歴史的経過からして、引き継いでいる方針が、民間移管によってどう引き継がれていくのかという課題が浮き彫りになりました。「一人一人の個性を大切にする」という京都市の保育をどのように伝えていくかについて、村上課長も「引き継ぎだけではなく、三者協議会等で、全体としてみていく必要がある。継続してやっていく」と述べました。 移管後の京都市としての指導性を、いかに発揮するのか、できるのかという課題も見えました。実際、「同和保育所」の歴史は、預けている保護者も幼少時にはその保育所に通っていた、「かつての児童であった」という経過において、お世話になった先生が所長になって戻ってきてくれているというような状況も以前はあり、そうした関係の中で、様々な悩み、子育てだけではない生活の悩みも打ち明けたりするということが心の拠り所でもありました。そうした親たちの不安を解消し、相談に乗れる体制を、公営・民営を問わず構築するためにはどうしたらよいのか。かなりハードな課題だと思われます。 多くの意見が交わされましたが、最後に宮崎議長は「一昨年『部落差別解消推進法』ができた。これは、被差別当事者ではなく、差別する側の人々に対して教育や啓発が必要であるとする法律。京都市の意識調査でも同和地区に対する忌避意識は少なくない。保育師に関する研修について熱心に行っているということだったが、保護者の啓発についても必要ではないか。そこを、今後の課題として、終わっていきたい」と締めの挨拶にしました。 村上課長は「いただいた課題については、我々も確認して、小学校の連携は庁内でも課題となっているので、難しいが、持ち帰って報告したい」と述べ、部会を終えました。
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