市協「人権確立部会」「教育・保育部会」の合同部会を開催

 

 

 

 

529日(木)午後6時半より、京都府部落解放センターで市協「人権確立部会」「教育・保育部会」の合同部会が開催されました。

 

62日から京都市で実施される「事前登録型本人通知制度」の登録方法と、5年ぶりに返還免除申請を行う必要のある「奨学金返還」について、それぞれの担当課から説明を受けるための部会で、市協からは役員、各支部代表等13人。行政からは地域自治推進室より根来正宏課長、人権文化推進課奨学金担当の土井保志課長、井澤詳治課長補佐が出席しました。

 

冒頭挨拶で宮崎市協議長は「『事前登録型本人通知制度』については、京都市は登録者数の目安を400人と見込んでいるとのことだが、我々はがんばって、びっくりするほどの登録数にしていきたい。企業、宗教界、各団体にも声をかけ勉強会をしていきたい。奨学金については、各支部で地域の人からの問い合わせに対し、『知らない』とならないように学習していきたい」と述べました。

 

■事前登録型本人通知制度について

 

この制度は、住民票や戸籍謄本等を本人以外の第三者に交付した場合に、事前に登録した人に対し、交付した事実を郵送で知らせるもの。目的は不正取得の防止を図ることと、個人の知る権利を保障するもの。

登録方法は、住民票は住所地の区役所。戸籍・附票は本籍地を管轄する区役所・支所で行う。委任状があれば代理人申請も可能。また、郵送による受付もする。

通知の時期は、原則として第三者が請求し、証明書を交付した日から30日を経過してから。通知内容は、・交付年月日・証明書種別・枚数・請求種別の4点であり、通知された本人に覚えがなく、請求者に問い合わせたいと思ってもその内容までは記載されていない。知りたい場合は後日「個人情報保護条例に基づく開示請求」を行う必要がある。

登録は本人から廃止の届け出があるまで有効であるが、住所異動等があれば変更届が必要。

 

◇質疑応答

Q:同じ京都市内で現住所と本籍地が違った場合、住所地の登録だけで済むように、柔軟に対応してもらえないか。

A:対応できるようにしていきたい。

Q:代理人請求など、訴訟や債権にからまない請求については、30日後の規定は必要ないのではないか。

A:職員の対応をスムーズにするために、一括して30日としたが、理屈としてはすぐに交付してもよいものはあると思う。今後の検討課題としたい。

 

根来課長からは、最後に「この制度をつくった自治体は、全国で他にもいくつかあるが、全市で戸籍のコンピュータ化がされていない中で(紙ベースで)、事前登録型本人通知制度を行うのは、全国の自治体では京都市が初めて。間違いがないように運用していきたい」と挨拶されました。

部落差別に係わるだけでなく、個人の情報は個人が管理していくという広く人権的な観点から、この本人通知制度は、その第1歩となるものであり、ぜひ多くの人の登録が望まれます。

 

 

■奨学金の返還免除申請について

 

「同和」奨学金は、返還に際して京都市が「自立促進援助金」を執行し収入することで、実質給付を担保していたものが、「京都市同和行政終結後の行政の在り方総点検委員会」の方針で執行停止となり、「借受者」である子どもたちは、身におぼえのない「借金」を背負うこととなりました。ただし、国の奨学金の免除基準である「生活保護基準の1.5倍」以下の収入であれば申請によって「返還免除」となる制度となり、昨今の厳しい経済状況から多くの人が返還免除となっています。

20年間にわたる返還期間で、5年ごとの申請が必要であり、今年2回目の申請時期を迎えることとなりました。

制度の内容は前回とほぼ同じであり、生活保護費が減額となっても、今回はそれを反映することなく判定するということです。

収入金額だけではなく、世帯状況、障害の有無などで判定基準が変わります。複雑なのは世帯の状況により返還請求先が変わることです。@借受者本人が父母と同居 A父母と同居せず収入がある B父母と同居せず収入がない の3つのパターンがあります。

「部落民」であるところのアイデンティティーをどのように形成し、そのことを友人・知人・恋人等との関係性においてどのように伝えるのかというのは、自由意志であるとともに、デリケートな問題です。その場合、Bのパターンは結婚をして配偶者の被扶養者となっている状況が想定され、特に出産、育児等でどうしても昨年の課税証明があげられない女性であることが多いと思われます。配偶者に不用意に伝わり、家庭生活を破壊されるようなことは断じてあってはなりません。

 

◇質疑応答

Q:5年前の申し送りは、きちんとできているのか。親の状況が変わって連絡が取れないことはないのか。

A:申し送りはちゃんとされている。親御さんの状況も、今回については、まだ健在であるように把握している。

A:父母と同居せず無収入の場合、父母に請求とあるが、両親が離婚等をしている場合でもそれぞれ父、母の課税証明が必要なのか。

A:父または母ということで、どちらか一方でいい。

Q:前回はコミセンで説明を受けたが、今回もできるのか。

A:自宅でも、職場でも、いきセンでも指定された場所で話をする。

 

土井課長は、最後に「個別事案に丁寧に対応していきたい。不明な点があれば、相談してもらえたら、場所や時間を厭わず対応する。よろしくお願いしたい」と述べました。

免除申請の受付は順次はじまり、10月に申請結果が通知されますが、申請の締め切りは来年の9月までありますので、対象となっている人は、自分の状況を説明しながら、納得する形で申請するべきでしょう。市協としてもそのための支援をしていきたいと考えます。