「人権確立」「まちづくり」合同部会 開催

〜ネット上の差別動画をめぐって〜

 

 

 519日(金)午後630分より、京都府部落解放センター4階ホールで、市協「人権確立」「まちづくり」合同部会が開催されました。昨年来の懸案事項であるネット上の差別動画に対する対応をめぐって、特に「昭和チャンネル」等のユーチューブで、京都市内各支部の地域に入り込み、改良住宅の周辺、通路、内部、いきいき市民活動センター、そして住民の「氏名」が記されている「住戸図」までもが映されているということで、今回は、京都市共生社会推進室から水野正宏課長、後藤司課長。また住宅室住宅管理課より、村上昭一郎課長が参加し、行政としての取り組みと、進捗状況を説明してもらいました。市内各支部からは、役員を中心に18名が参加しました。

 冒頭、木下松二市協議長よりあいさつがあり、「昨年、1111日に開催された意見交換会において出てきた課題について今日は二つ話をしたい。一つは、ネット上の差別動画について削除要請をおこなっている段階から、その後どうなっているかということ。また昭和チャンネルが京都市の建物である改良住宅を、無断で撮影し、いかにもここが部落であると拡散していることについての見解と今日までの取り組みについての2点です。いずれにしても差別動画を削除させるために、ご協力をいただきたい」と述べました。

 続いて、この部会のために事務局で10分程度にまとめた「昭和チャンネル」の動画を全員で確認しました。京都府連の担当事務局である中村詠吉さんが、映された画像ごとの問題点を指摘しながら見ていきました。市内11支部のうち9支部について、撮影されています。各支部のメンバーにしてみたら、自分たちが育った「ふるさと」が映され、差別的な視線で具体的に徘徊していることが想像され、怒りや、防犯上からの不安をぬぐうことはできませんでした。

 次に、府連差別糾弾闘争本部として、取り組みの現状を報告。特に、南丹、綾部、福知山の3地区で人権条例が策定されたことで、具体的にユーチューブの担当窓口とやり取りをおこなっている事例などについて話しました。

 次に、人権文化推進課として水野課長が報告。京都府からの情報、市民からの通用があれば、削除要請を行っていると述べつつ、昭和チャンネルの動画については、「差別とは認定できない」ことから、住戸図の撤去という方向で考えていると述べました。続いて村上課長は、動画はプライバシー侵害という点が問題で削除されるべきという立場を述べ、住戸図が無断で世界中に発信されることや、目的を超えて侵入して撮影するという行為について、法務部に問い合わせ、検討していると述べました。

  その後意見交換にうつりましたが、水野課長が部落を映す動画を差別ではないと述べたことに対し、その認識についてさまざまな意見が出されました。特に、昨年5月に出された「インターネット上の誹謗中傷をめぐる法的問題に関する有識者検討会 取りまとめ」においては、「「部落」「同和地区」といった直接的な表現が用いられていなくても、文脈において認められる場合や、ある地域に『隣保館』があることを指摘するもの等は、識別情報の摘示に該当し得ると考えられる」との見解が出された資料が示され、それを根拠として、昭和チャンネルの動画は明らかに、差別動画であるとの主張があいつぎました。

 京都市の対応としては、映された住戸図について、差別やプライバシーの視点から対応するのではなく、老朽化を理由としての撤去で、この問題の解決を図ろうとする姿勢も垣間見られたところ、市協(運動側)の立場からは、目的は撤去ではなく、あくまでも差別動画の削除であること。ユーチューブに対して、京都市行政も削除要請する当事者となり得ること。要請のフォームが新しくなったことから、「その他の法的申し立て」というウェブホームから、ごく簡単に直接申し立てができること等の意見が出されました。

 そうしたプロバイダーへのアプローチは、すぐにでもできることから、速やかに、来週中にもおこなってほしいという要望もありました。何らかのアクションをおこせば、事態は動いていくのであり、行政も、市民も、双方の主体性を発揮して、差別をなくすという目的に向かっていきたいとの希望が述べられ、行政の側も、差別をなくすという思いは共通だと意思確認をして、部会を終了しました。