組織強化と部落解放をめざす決議
昨年8月、戦後70年という節目に出された、安倍首相の談話は「事変、侵略、戦争」という言葉としては並べつつ、「日本の侵略」については明言しない空疎な内容であった。数の力にものを言わせる現政権は、国の未来を左右する重要法案を次々と「閣議決定」し、十分な論議もなく成立させている。その最たるものが、歴代の最高裁長官、内閣法制局長官さえが「違憲」を表明した安全保障関連法の強行採決である。
こうした横暴を継続させないためには、この夏に行われる参議院選挙において、何としてでも現政権に対抗し、平和・人権・民主主義を尊重する勢力を増やしていくしかない。
格差社会の蔓延の中で、貧困層の若者が、自衛隊に吸収され、戦場に赴く結果となることは決して許されない。子どもたちの未来のためにも、各界、各層の人々との連帯を深め、総力を挙げて、この選挙戦を勝ち抜く必要がある。
アベノミクスを掲げ、景気浮揚を演出してきた安倍内閣であるが、日本銀行による量的・質的金融緩和政策で株価を操作しつつ、実体経済の成長には結びついていない。労働者に対しては、労働法制改悪により、派遣労働の全面解禁や非正規労働の長期化、残業代ゼロの実施など、差別・選別・格差をいっそう進めている。
教育の分野でも、「愛国心教育」の実施を具体化し、政府見解を教科書に掲載するようにと、文部省が圧力を強め、教育委員会への介入、「国立大学法人法」改悪等により、軍学一体化を目論んでいる。また、国営放送のみならず、民放番組にさえ介入を深める安倍内閣は、人々の考えや感性までもコントロールしようとしている。
こうした人権をないがしろにし、戦争へ突き進もうとする危険な状況において、私たちは、これまで培ってきた労働者、教職員などとの連帯をさらに強めていかなければならない。また、「人の世に熱あれ、人間に光りあれ」という水平社の精神を引き継ぐ、部落解放同盟は、企業や宗教者等、幅広い陣形をつくっていくための先頭を担う責任がある。
困難な状況であるからこそ、身近にいる者の苦悩に気付き、支え合い、助け合う組織の力量が試されている。現状にたじろぐことなく、一人ひとりの真摯な姿勢こそが、組織強化と部落解放の前進を勝ち取っていくことを確認し、ここに決議する。
2016年5月16日
2016年部落解放同盟京都市協議会定期総会
|