第57回人権交流京都市研究集会

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 57回人権交流京都市研究集会が31日、京都市南区の京都テルサで開催され、延べ455人が参加しました。

 午前はテルサホールで全体会がおこなわれ、稲垣知裕実行委員長(京都市同和教育研究会)が主催者を代表して挨拶し「本集会には、学び、向き合い、解決に向けて歩み続ける姿がある。差別をなくすために必要なことは互いに尊敬しあえることであり、そのためには正しく知ることが大切。本日の学びを明日以降、それぞれの地域や職場で広げていただきたい」と述べました。

 来賓からは、部落解放同盟京都府連合会から平井斉己委員長が「全国的にも地域集会が50回を超え、57回までにいたる歴史を持つのは稀であり、みなさんの営みに敬意を表する」と挨拶。続いて、京都府から嶋津誉子府民環境部長が知事メッセージを代読、「ネット上の差別拡散の防止のため、国や市町村との連携を図り削除要請などの取り組みを進めていきたい」と述べました。京都市から並川哲男文化市民局長が市長メッセージの代読をおこない、「人権を尊重しあうために、あらゆる垣根を低くして、人と人がつながる仕組みを構築していくことが重要」との言葉をいただきました。

     

 基調提案は足垣寛さん(吉祥院支部)と林秀晃さん(京都市中学校教育研究会人権教育部会)がおこないました。足垣さんは、戦後80年談話を公式発表することなく、排外主義的言説が選挙の票に結び付くような日本の現状に触れながら、だからこそ人権が今こそ求められること。また、京都市内の部落のまちづくりに関連し、改良住宅建て替えの現状を報告し、地域住民の歴史的背景に配慮した行政の説明責任が求められると訴えました。さらに、アメリカ社会における人種差別政策が現在さらに顕在化している状況を丁寧にひも解きながら、民主主義の後退をゆるさない国際的な視点での連帯がよびかけられました。

林さんは無意識の偏見と呼ばれる「アンコンシャスバイアス」や、それにもとづいて現れる「マイクロアグレッション」という言葉や態度が、加害者意識のないまま、人を差別し傷つける行為となることから、時代の変化に応じた人権教育が現在も必要とされていると述べました。

 

 続いて、集会宣言(案)を、部落解放同盟京都市協議会女性部の大隣めぐみさんが読み上げ、参加者全員の拍手をもって採択されました。

 

 休憩をはさみ、T-over人権教育研究所・人権こども塾共同代表の森口健司さんが講演をおこないました。「ひとごと」から「わがこと」へ〜語り合い、夢を託す〜とのタイトルで話された内容は、自らの体験を通じて、語ること、変わっていく大切さを、切実に伝えるものでした。徳島県の被差別部落で生まれ育った森口さんは、京都での学生時代に出自を隠して生活し、卒業に際しても、世話になった下宿に父がスダチの苗木を持ってきたことさえ恥ずかしく思っていました。地元で教員になってからも表すことができなかった出自を、ある家庭訪問で部落差別を口にした保護者に対し、はじめて伝えたことから自分が解放されたといいます。その後、学校での人権学習でも、森口さんご自身が自らの姿を教材としつつ、そのことで生徒たちが真摯に伝えあう言葉を引き出す姿。ときに平行線に終わろうとも、否定することなくそれぞれに理解しあえる具体的事例が紹介されました。教員を退職してから現在に至るも、新たな出会いを通じて差別から解放される喜びを伝える姿は、参加者に大きな感銘を与えてくれました。

 

午後からの分科会は、第1に「教育と人権」、第2に「部落の歴史」、第3に「多文化共生と教育」そして、第4分科会として「みんなで語ろう部落問題」と、四つの分科会を設けました。

 

1分科会では、世界人権問題研究センター研究員の坂田良久さんから「現代の人権学習−部落問題学習って、どのように実践するの―」というテーマでお話がありました。生徒達には自分はどう生きるのかという問いとともに、『誰か』のことではない差別について考えていける学習方法を提案されました。

 

2分科会は、じんけんSCHOLA共同代表の上杉聡さんが「インド/マヌ法典から始まり、日本では京都から始動した部落差別の様相について」というテーマで講演しました。資料に基づいて、差別が日本に伝搬された経過が説得力をもって説明されました。

 

3分科会(多文化共生と教育)は、「外国籍、外国にルーツを持つ児童生徒への教育の在り方〜小中高をつなぐ学びの保障」をテーマに、多様化する現状の中で、実践を通じた報告と同時に、子どもたちの学びをとめないための連携の在り様が提案されました。

 

4分科会では、「みんなで語ろう〜部落問題」と題するフリートークが展開されました。午前の全体集会でお話しした森口健司さんをゲストとして、より近しい距離で、学校の先生方や行政職員、解放同盟京都市協のメンバーが、具体的な悩みや現状の課題が共有されました。