第56回人権交流京都市研究集会
めざそう!共生・協働の社会創造
第56回人権交流京都市研究集会が3月1日、京都市南区の京都テルサで開催され、延べ460人が参加しました。
午前はテルサホールで全体会がおこなわれ、川島浩明実行委員長(京都市中学校教育研究会人権教育部会)が主催者を代表して挨拶し「人権について考えることは、自分自身と向き合うこと。こんなことを言ったらどう思われるかと不安になり人との関りを避けてしまうと、豊かな人生は送れない。本研究集会では、人間が尊敬と信頼でつながりあう差別のない社会を築いていくため、活発な議論を期待します」と述べました。
来賓からは、はじめに部落解放同盟京都府連合会から平井斉己委員長が「あらゆる人権侵害がネット上や実社会に広がる中、解消するには包括的な法整備が必要」と挨拶。続いて、京都府から益田結花府民環境部長が知事メッセージを代読、「人と地域の絆を大切にする共生の京都府」の実現に向け取り組んでいきたいと述べました。京都市から山本ひとみ文化市民局長が市長メッセージの代読をおこない、「地域や世代の分断ではなく、誰もが個性を発揮できる社会を目指していく」との言葉をいただきました。
基調提案は筒井紘平さん(東三条支部)と梶谷麻衣さん(京都市小学校同和教育研究会)がおこないました。筒井さんは、第二次世界大戦終結から80年という節目にありながら、世界各地で繰り広げられてきた内戦、紛争、戦争は後を絶たず、現在もウクライナや中東パレスチナで継続している「悲劇」の背景について19世紀後半から激しく繰り広げられた植民地主義に言及しつつ、現状への理解を呼びかけました。また「家」ごとの登録簿としての戸籍が「戦前」におこなっていた「外地籍」から一転、朝鮮人や台湾人に対して国籍をはく奪し、あらゆる戦後補償やその後の法的地位から除外してきた経過は、部落差別や女性差別の課題と重ねて考えるべき問題だと提起しました。梶谷さんは公立学校が大災害の避難所になることが多いことから、災害と人権というテーマで課題を抽出。また公教育が不平等の再生産に加担しないため教職員が学びエンパワメントできる集会にしていきたいと述べました。
続いて、集会宣言(案)を、部落解放同盟京都市協議会女性部の栄井香代子さんが読み上げ、参加者全員の拍手をもって採択されました。
休憩をはさみ、趙博(チョウ・パギ)さんによる一人芝居『水滴』が上演されました。かつて「終戦」を先延ばしにするために日本政府によって捨て石とされた沖縄を舞台に、作家、目取真俊が芥川賞を受賞した小説を原作として、戦後も罪の意識を抱えつつ生きてきた一人の男の姿を趙はユーモアたっぷりに演じました。戦争で死んでいった者たちに対して誰が加害者であり被害者であるのか。戦いに駆り出された少年や少女に対して誰が責任を負ってきたのか。時代設定は戦後50年の沖縄ですが、現在にも通じる問いかけを参加者に投げかけました。
午後からの分科会は、第1に「教育と人権」、第2に「部落の歴史」、第3に「多文化共生と教育」そして、第4分科会として「みんなで語ろう部落問題」と、四つの分科会を設けました。
第1分科会では、世界人権問題研究センター研究員の坂田良久さんから『部落差別をどう捉え、どう教えるか』というテーマで基調講演をいただきました。前半は、教職員や市民に向けた啓発活動で実践されている、差別の捉え方と、最新の史料に基づく部落の通史について、後半は、独自の視点での人権学習を提案されました。
第2分科会は、じんけんSCHOLA共同代表の上杉聡さんが「ここ50年間の歴史研究の進展がもたらした部落史の新地平について」というテーマで講演しました。差別のはじまりについて「制度や法律の重要性」と「慣習の重要性」をどのように組み合わせて考えるのかという問題提起がなされました。
第3分科会(多文化共生と教育)は、「外国籍及び外国にルーツのある児童生徒の学びの保障を考える」をテーマに、小学校及び中学校外国人教育研究会が行った「外国籍および外国にルーツをもつ児童生徒に関する実態調査2022」の結果とそこから明らかとなった“学ぶ権利”に関する課題を踏まえ、問題提起と、ディスカッションを行いました。
第4分科会では、京都市内の解放同盟支部メンバーが当事者として不安に思ってきたことや、これまで見聞きしてきた結婚差別の現状などを語り合いました。日頃顔を合わせていても聞くことのできない率直な思いを共有する機会となり、当事者ではない参加者にも感銘を与えました。
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