第50回人権交流京都市研究集会
〜「めざそう!共生・協働の社会創造」〜
2月23日(土)午前9時30分より、節目となる第50回人権交流京都市研究集会が、大谷大学で開催され、500人が参加しました。
主催者を代表し、澤田清人実行委員長が挨拶しました。「今回はこれまで実行委員長を務めた先輩方もお越しです。集会の規模はいささか小さくなったが、熱い思いは依然とかわっていない。私にとっては例年本集会に参加することが年中行事となっており、1995年、今から24年前に初めて基調提案をして以来、集会をつくる側として関わってきた。分科会では京都会館第2ホールで人権劇の創作上演をさせていただいた。多くの学びと感動を与えられたこの集会で、今日、こうして開会のあいさつをすることをうれしく思う。教育者として『交流』という言葉を大切にしている。集会を成功させようという共通の目的に向かって、様々な意見を戦わせ、議論することで目の前の課題が鮮明になり、人間関係は信頼関係へと進展してきた。これまで先輩方が生み育ててこられた精神を、これからは私たちが次の世代へと受け継いでいかなければならない。社会の少数派と呼ばれる人たちが、のびのびと堂々と生きていける世の中を創っていく使命が私たち一人一人にあると思っている」と述べました。
続いて来賓として、京都府連より平井斉己書記長が「50年にわたり、こうした市民集会を継続していただいていることに感謝する。子どもたちの未来をしっかり見据え、地域の人たちと一緒に手を携えて取り組む市民集会がさらに続くことを心からお願いしたい」と挨拶しました。また、西脇隆俊京都府知事の代理として大谷学府民生活部長が、また門川大作京都市長の代理として吉田良比呂文化市民局長が、それぞれメッセージを代読しました。
続いて、基調提案を小林茂さん、石田誠さんが運動と教育の分野についておこないました。「部落問題をみんなのものへ」というスローガンで、50回を重ねた本集会の意義と、今年は特に天皇の代替わりにともない、皇室典範について考える提案を軸として民主化の課題、部落のまちづくり、同和奨学金返還問題、多文化共生の視点から外国人労働者(移民)の課題、東アジアの現状と平和への志向を提案。教育分野では、145年にわたり「同和教育の普遍化」に取り組んできた楽只小学校がこの3月で閉校となるが、新たな次代につないでいく人権教育、さらに、中学校の修学旅行での沖縄体験がもたらす平和学習について等が提案され、参加者全員の拍手で確認されました。
次に、市協女性部の桝本よし子さんが一人ひとりの実践が世界を変えていくと提起する集会宣言を読み上げ、これも拍手をもって確認されました。
全体集会では、「水平運動と朝鮮衡平運動〜東アジアの交流と連帯そして今〜」と題し、大阪人権博物館館長の朝治武さんと京都大学名誉教授の水野直樹さんの対談を水平社博物館館長の駒井忠之さんがコーディネートするシンポジウムを開催しました。まず、駒井さんが、水平社と衡平社の交流を示す史料が「世界の遺産」に登録された経過と内容について話し、次に朝治さんが、全国水平社創立の世界史的意義について、思想的背景も含めて説明。さらに、水野さんが朝鮮の被差別民「白丁」の歴史と解放を求めた平衡運動について解説の後、水平運動との交流と限界について話しました。
午後からは「部落と人権―私の歩んできた道」、「共生社会とまちづくり―『改正』入管法と在日外国人のこれから」、「同和教育―人権確立をめざす教育の創造―」、「外国人教育―共に生きることをめざして―」、「部落の歴史−変わる米騒動像―」の5つの分科会が開催され、講演者による熱いメッセージと参加者の真摯な討議が行われました。
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