2014年 市協議長新年挨拶
部落解放同盟京都市協議会 議長 宮崎 茂
新年明けましておめでとうございます。 一昨年に発足した第二次安倍内閣は、昨年7月の参議院選挙の圧勝により「ねじれ国会」を解消し、景気回復策を前面に打ち出した「アベノミクス」への期待感から高い支持率を維持しつつ、一方で憲法9条を改悪を視野に集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈を目論み、また、「国防軍」の創設、武器輸出三原則など、なし崩し的に日本を戦争のできる国にしようとしています。 また、4月からの消費税増税は、円高による物価上昇とのダブルパンチで市民生活を直撃することは明らかです。格差社会がさらに広がり、そのはけ口として差別や拝外主義を扇動する勢力が台頭に拍車をかける恐れがあります。 とりわけ、天下の悪法と言われ、多くの国民が反対した「特定秘密保護法案」の強行採決は、数の力で抑える強権政治の姿を露わにしました。しかし、このような反動政治に対峙すべき民主党等の野党はバラバラの状況であります。この間の民主党の稚拙な政権運営と内紛などに対する失望感と不信感、乱立する政党による票の分散などから支持率は低迷したままであり、安部内閣は、衆議院の任期まで解散しない方針を決めています。 さらに、私たちが30年に長きにわたって取り組んできた「人権侵害救済法」の制定は現政権下では困難を極めています。
ただし、「いじめ防止対策推進法」や「障害者差別解消法」の制定をはじめ、人権にかかわり、いくつかの前進がみられます。昨秋、「在特会」らによる朝鮮学校襲撃事件裁判で、京都地裁が人種差別撤廃条約を根拠にヘイトスピーチやその他の暴力行為に対し「有罪」判決を下したことは、「被告人」を断罪するだけでなく、人権侵害を受けた被害者を保護する法整備の不備が指弾されたのであり、同時に人権擁護委員制度の無力が浮き彫りにもなりました。国際的な人権基準や締結している他の条約などからみても、人権委員会設置を含む国内での法整備は必要不可欠であり、これ以上、立法府の不作為は許されません。
私は市協議長を就任して以来、「福祉で人権のまちづくり運動を!」をスローガンに市協活動の中心に据えてきました。今年は、私自身が決意した4年間の最終年の区切りとして、具体的な独自事業や行動を実行する、いわゆる見える運動をさらに進めていきたいと思っています。
そのために、今年は三点の課題を掲げています。一点目は、一昨年から取り組んできた戸籍等の大量不正取得事件の総括として、その抑止力と自己防衛に効果のある「事前登録型本人通知制度」の早期導入を京都市に迫っていくことです。現在、府内26市町村の中で京都市だけが対応を明確にしていません。人権行政を高めるために、私たちの役割は大きいものがあります。二点目は、今年10月20日から22日の間に京都市内で部落解放研究全国集会が19年ぶりに開催されます。11支部の兄弟姉妹はもとより、府連や共闘団体などと協働して、全国の仲間を温かく迎える体制づくりを構築することです。三点目は、「京都市市営住宅ストック総合活用計画」を具現化するまちづくり組織の立ち上げと、新たな課題として浮上しているのが、用地の用途変更や所管替えするにあたり障害となる「補助金適正化法」の問題です。これは「福祉で人権のまちづくり」を進めるために避けて通れない課題であり、一般行政の課題でもあります。京都市協は、昨年末の国交省交渉で同計画を活用した福祉施設建設などを提起しました。国交省は、京都市内の状況を近畿整備局から逐次報告を受けており、「適正化法」の関係もあるが、いろいろな手法もあり前向きに検討していきたいと好意的な対応でした。しかし国としては、京都市が個々の計画に対して明確な態度と意志が示されていないので事前協議にも入れないとの回答でありました。
これらの三点の課題と狭山第三次再審闘争の勝利、来春の統一地方選挙での平井斉巳府連書記長の再選を目標に、今年の市内の兄弟姉妹の皆と固く連帯して差別ない「よき日」を目指して奮闘していきます。
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