2024年

部落解放同盟京都市協議会議長 新年挨拶  

 

 

 

 

新年あけましておめでとうございます

京都市協の活動に対してみなさまからご支援ご協力を賜り心より感謝申し上げます。私たちは,部落差別をなくしていくことを目的に活動していますが,残念ながら部落に関係があるという理由で社会的・経済的に差別され,長年にわたる部落差別の結果,文化や教育の面においても多大な不利益を被っています。

そもそも,部落差別が今なお存在する理由の一つに戸籍制度があります。戸籍制度は,天皇制を中心とした国家体制の存続と家柄や血筋を証明する目的に使われているものであり,反対に部落であることを証明するためにも使われています。そのため人は生まれにより優れている人間と劣っている人間があるような錯覚をさせられているのです。戸籍制度がなくなれば「全国部落調査」に基づく「部落地名総監」の作成販売事件や鳥取ループ・示現舎による「全国部落調査」復刻版出版差別事件,戸籍謄抄本等の不正取得事件なども起こっていないのではないでしょうか。人に序列をつくる戸籍制度を早急になくさなければならないと思います。

また,昨年2023年6月28日大阪高等裁判所において「全国部落調査」復刻版出版さし止め裁判の判決で、東京高裁は「個人の尊重を保障した憲法13条や法の下の平等を定めた14条の趣旨に鑑み、人には差別を受けずに平穏な生活を送る人格的利益があり、法的に保護される」と言及しました。そして,被差別部落出身者と推測させる地名の公表は,この利益を「侵害する」と判断しました。つまり「差別されない権利」が裁判史上明らかにされたのです。現在,日本の国では差別をした人を罰する法律は存在していません。そのためジャニーズの性加害事件や宝塚歌劇団での過剰な労働実態といじめによる自死問題などの事件が起こっていても取り締まれないまま野放しの状態でした。早急に「人権侵害救済条例」を制定することを私たちは求めます。

他方,狭山再審の闘いなど多くの課題が山積していますが,京都市協としましてはこれまで取り組まれてきた「まちづくり部会」「教育・保育部会」「人権確立部会」の市協三部会を市協活動の大きな柱として取り組んでまいります。これら三つの部会をより実り多いものとするために更なる工夫と一人ひとりの自覚のもと充実した取り組みにしていこうと考えています。高知の被差別部落から始まった教科書無償の闘いが全国の国民に広がっていったように,私たちは部落問題を解決する活動を通じて人権が守られる社会を築き上げていこうと考えています。

今年も,みなさんのご支援ご協力により京都市協は今より更に前進できるものと思いますのでどうぞよろしくお願いします。

部落解放同盟京都市協議会

議 長  木 下 松 二