部落解放・人権政策確立要求京都市実行委員会第31回大会 開催 新会長に浄土宗の加藤章善さん就任
12月13日(水)午後6時より、京都府部落解放センター大ホールで、部落解放・人権政策確立要求京都市実行委員会第31回大会が開催され、引き続き独自事業「考えてみませんか あなたの人権私の人権」での講演会がおこなわれました。宗教者、企業関係者、解放共闘など各構成団体からの参加者、解放同盟市協各支部や市民等70名が参加しました。 部落解放京都地方共闘会議事務局長の谷口富士夫事務局長の司会により開会し、議長団には京都市小学校同和教育研究会の浦杉伸介副会長と、京都市立中学校教育研究会人権教育部の澤田清人会長が選出されました。 主催者を代表し、宮崎茂副会長が、「30年前に部落解放基本法制定という、部落差別を解決するための根本的な法律をつくるために立ち上がって三十数年たった。この間長い道のりだったが、個別法が一つ一つできあがった。部落差別解消推進法も昨年制定され1年を経過しようとしている。ただし、これまで女性や子ども、障害者、ヘイトスピーチ、一つ一つ法律はできたが、法律ができたということで終わってしまい、解消に向かっていない状況がある。これらのことを具体的に解決するために、私たちの組織が力を発揮するべきだと思っている。皆さんの自己研鑽と同時に、悪質なものについては禁止をする、そして、ヘイトスピーチのように心に癒されない傷を負った人の人権救済、こうした法律の制定が残っている。今月8日に、日本維新の会片山虎之助共同代表が党内会議で、『国会というのは特殊部落みたいなところだ』という発言をして、大きな問題となっている。維新の会も今度の推進法を賛成した政党だが、その党首がこういう発言をしている。私たちはこうしたことを、到底許すことができない。まだまだ部落差別は、何かの拍子に出てくるということを皆さんと共有しながら、引き続き取り組みをお願いする」と挨拶しました。 来賓挨拶に移り、まずは京都府実行委員会より木越康会長が「私は大谷大学の学長でもあるので、学内でも人権の学習会を重ねている。学生にもその機会を設けているが、ヘイトスピーチや障害者差別については、今起こってることとして、学習するが、部落差別に関しては過去のことで、歴史を学ぶように捉える学生がいる。現実には、部落差別に関しては、非常に悪質な状況が続いているので、解消法が施行され、学習を一層展開していかなければならない」と述べました。また、京都市を代表して吉田良比呂文化市民局長が、市長メッセージを携え「京都市は1978年に世界文化自由都市宣言をおこない、来年で40年という節目の年になる。全世界の人々が平和の内にここに自由に集うという宣言の理想を実現するため、今後も人権文化推進計画を基本として、個別法も踏まえながら全庁一丸でとりくんでいく」と代読しました。 政党からは、民進党市会議員団より鈴木マサホ議員が、「局長の挨拶にもあったように、京都市は世界文化自由都市宣言をしているが、ヘイトスピーチがおこなわれている。公共施設を使用できないような条例制定の検討が必要。また、部落差別解消推進法の制定を受けて、相談体制や啓発に向けた予算要求もしているところだ」と挨拶。公明党市会議員より青野ひとし議員は「人権侵害は許さないという意識を一人一人に根付かせることが日本の将来にとっても大きな課題」と挨拶しました。また、泉ケンタ衆議院議員、前原誠司衆議院議員の秘書も方々、社民党京都府連から佐藤大さんも参加され、紹介されました。 続いて祝電披露がおこなわれ、福山哲郎参議院議員からのメッセージを村井孝次副議長が読み上げました。 来賓の方々が退席し議事の進行に移りました。 村上光幸市協副議長が第30期の活動報告を行い、京都商工会議所の才寺篤司総務部長が会計報告、京都人企連より木田裕之さんが会計監査報告を行い、参加者の拍手で確認されました。続いて、基調提案、また第31期予算案が承認され、役員人事の選出を、古谷宏市協事務局次長が提案。会長に、浄土 宗京都教区人権同和推進委員長の加藤章善さんが選出されました。会長挨拶で「実は私は、夙といわれる、被差別地域にあるお寺の住職です。小さいときから差別を身にしみていて、現在でも部落差別が残っている。私の地域と近所の方との婚姻関係がほとんどなく、金沢や岡山など遠いところとの婚姻関係はあるが、近所の方は私共の地域を最初から色眼鏡でご覧になっていて、いまだにそれが解消できないという事態があるので、今回部落差別解消法ができて、一歩でも進むことを期待している。昔は寺に過去帳を見せてくれということがあったが、今はもう見なくても周りの人は皆知っている。『あそこは』ということ。ですから、そういったことがなくなるよう一歩一歩、皆さんの力を借りて、進められたらと思っている。皆様方のご協力をお願いして就任の挨拶とします。よろしくお願いします。」と述べました。 最後に、大会決議案が、同和問題に取り組む京都府宗教者連絡会議の岡崎眞澄議長から読み上げられ、全員の拍手で確認されました。 全ての議事が終了し、議長降壇の後、閉会挨拶を、実行委員会副会長である村井一成解放共闘議長が行い、大会が終了しました。
引き続き、京都市実行委員会が毎年開催している独自事業が開催され、部落解放同盟大阪府連合会副委員長の大北規矩雄さんより「『住宅管理』から住民参加の『まちづくり』へ」とのタイトルでご講演をいただきました。 「東大阪の住宅管理からみえるもの」というサブタイトルで、自分たちで住宅管理を受けていく経過や実践から、その成果としてこれまで見えなかった住民の姿、悩んでいること、暮らし全体の課題について理解することができたこと。部落解放同盟が地域を拠点にした運動である限り、地域経営に自覚と責任を持つ必要があることなどを、熱く語りました。社会的起業としては、子どもの居場所づくりや高齢者事業など個別の問題解決からはじめても良いし、隣保館や老人センター等の地区内施設の運営もある。足下の、できるところからジタバタ動き回ることで、次の展開が見つかる。隣保事業も、住民自治の拠点でるとの原点にかえって、自ら運営していくことが必要だと考えている等、様々なヒントを与えてくれました。
|