京都市意見交換会 開催

〜山積する課題に向き合う場として〜

 

1124日(金)、部落解放同盟京都市協議会と京都市各部局との意見交換会が京都市職員会館かもがわで開催されました。京都府連、市協役員、各支部代表者など24名が参加し、京都市からは、山本ひとみ文化市民局長をはじめ15人が、要求項目ごとに交替しながら参加しました。

部落解放同盟京都市協議会の木下松二議長、京都府連から西島藤彦委員長、京都市文化市民局の山本ひとみ局長などのあいさつの後、市協からの要望書の手交があり意見交換に移りました。

 まず、京都市営住宅を撮影した部落差別動画への対応について、その後の経過が人権文化推進課長より報告がありました。人権・まちづくり合同部会で議論し、問題となる動画は部落を特定する情報となるものであることから、削除が必要であることを確認しました。京都市は5月と7月、京都府との連名で京都地方法務局に対して削除要請依頼をおこなったとのこと。しかし、その後も消えることがなかったため、法的手段も検討するべく専門家に意見を聞いたとのことです。京都大学の憲法学者からは部外者が侵入してはいけないところで撮影していることなどから、裁判で削除を訴えることにも前向きでした。発信者情報開示請求に詳しい弁護士に問い合わせたところ、開示が認められない可能性もあるとの意見も出たようです。京都市としては確実に効果のある手段を取りたく、相手を特定しての啓発にもつなげたい、との意思も示しています。市協からも粘り強く対応をするため、情報提供など協力していくことを伝えました。

 「全国部落調査」復刻版出版事件裁判の控訴審で、「差別されない人格的利益」を認めた画期的な高裁判決については、京都市もこれを高く評価。しかし、条例の必要性などについては積極的な姿勢は見られませんでした。

 つづいての部落差別解消推進法第4条にもある相談体制の充実でも、京都市は「弁護士による市民法律相談」はあるが、法務局に常設の人権相談窓口を設けている、という原則的なスタンスを崩しませんでした。部落差別をはじめとする人権相談については市としても積極的に取り組むべき、と参加した京都府連役員からも声が上がりました。

 戸籍の不正取得問題に関して、市協から抑止効果をねらう対応を求めました。疎明資料を求めるときに、事前登録型本人通知制度があることをあわせて通知することなど、実践すべき具体的な対策も話しあいました。

 団地再生計画では、建て替え余剰地については歴史的経過を踏まえて活用方法を検討するよう訴えました。

 教育の分野でも議論。教職員へのアンケート結果を踏まえ、公正採用選考の重要性を教職員に研修で伝えるよう求めました。

 困難状況の子どもへの対策では、困っている子どもについての情報共有が個人情報の保護を理由にやりづらい現状を示し、支援者が情報共有しやすい仕組みを作るべき、とただしました。

 ヘイトスピーチの関係では、これまで市が把握しているヘイトは1件のみと答えましたが、解放センター前で2度もヘイト街宣があったにもかかわらず、これを数に入れていないことがわかりました。選挙での街宣を理由に対応が難しいとも説明がありましたが、止めることはできなくても、それを許すべきことではないはずで、京都地方法務局の見解ともずれています。

 障害者差別解消法での合理的配慮や困難女性支援法にかかわる計画策定の状況についても説明がありました。

 さまざまな課題が山積する状況下で、今後も市協3部会等を通じ、京都市との細かな意思疎通を形成していく必要性が確認されました。生活圏域である自治体の在り様こそが暮らしに根付いた人権確立の第一歩であり、今後も話し合いを継続していくことが大切です。

今年の要望書は下記PDFを参照ください。

部落差別をはじめあらゆる差別の撤廃を求める京都市への要望書