京都市協 人権確立部会開催
差別事象・モニタリングをめぐって
10月21日、市協三部会の最後として人権確立部会を解放センターで開催しました。各支部から10名が参加。京都市からは、共生社会推進室より、中野雄介人権文化推進課長、大森淳啓発・事業担当課長が説明に当たり、差別事象の対応として国際交流共生推進室より大久保将史担当課長も参加しました。
木下松二市協議長から、私たちの地域の人権にしっかり光をあてたいとの挨拶があり、その後双方の自己紹介を行った後、神原弘明部会長から、「市協として京都市へ差別事象の情報開示請求を行い10月10日に開示された結果を受けて、国際課に来てもらったが、全ての部局に通じる課題として議論していきたい」と問題提起がされました。まず具体的には今夏の高校野球甲子園で京都国際学園が優勝した件に関し、8月21日に国際課あてに架電があった「差別発言」について当初「不適切発言」との文言で報告されていた点が指摘されました。
国際化が持参した資料によると、架電における発言内容は「チョン」という言葉を連発しつつ「排除しろ」や「ハングルの校歌をテレビで流すな」「学校名を変えろ」等、実際許しがたいものであり、対応した職員も氏名や住所の確認を試みたができず、差別発言であることの指摘にも発言を遮られたとのことです。大久保課長は「不適切」というよりは「差別」そのものであったと認め、差別発言であったとの認識を表明しました。対応について、マニュアルがあるかどうかとの問いかけには、差別発言への対応マニュアルではなく一般のマニュアルを援用していると同時に、参考としているのは「人権のガイドライン」であると回答しました。
その発言を受けて、人権文化の中野課長が説明。2010年に作成された「差別事象に係る対応についてのガイドライン」は、現在も差別事象の基本的な考え方であると述べました。また「新たなガイドラインを作成する計画はないが、今回の件を受けて、それぞれの局に対し、差別事象が発生した場合の報告書について『記載例』を作成しようと考えている。報告書の記載例に基づく対応をしてもらうことで、一定、マニュアル的効果があると思っている」と述べました。それに対し、市協の側からは、2010年のガイドラインは、2008年の京都市職員不祥事を背景として、部落問題に係る特別な施策(特別と映る施策)は全て白紙とする方針のもとに、差別事象に関しても「重大で、社会的影響を与える事案以外は基本的には各局・区で対応する」としたものであり、趣旨としては、それまで行われていた対応を「行わないこと」を論旨としていると指摘がありました。部会長も「他の市町村には対応マニュアルがある」として、報告例にとどまらず、現在のネット上の差別が横行する状況に対応したものを作成すべきと主張しましたが、まずは「記載例」と終始する答えでした。
次に「情報流通プラットフォーム対処法(情プラ法)」が今年5月に成立したことを受け京都市における対応についての論議となりました。法では、自治体の削除要請も重要視されていることから、京都市のモニタリング体制について質問がありました。京都市としては、府との研究会との位置づけで、府立大がワード検索をおこなっているのが現状だとのことでしたが、それでは迅速性に欠けるのではないかとの指摘がされました。例えば部落差別についての投稿や書き込みが増えるのは、それに関連する事件や話題が発生した時期に集中するのであり、そうした情勢にアンテナを張って京都市として独自に対応すれば、時間差なく削除要請等ができるのではないか。また、解放同盟など運動団体がみつけた差別事象についても適宜報告することで一緒に取り組めることがあるのではないかと指摘しました。中野課長は、基本的な考え方は同じなので協力できることはしていきたいとしました。
最後に、古谷事務局長からは「京都市の本気度を見せてほしい」との要望。また木下議長からは、「話を聞いていて、人権条例につながっていけたらと思った。論議には時間がかかるかもしれないが、必要性を感じた。ネット上の差別についてはすぐに消すことが大切で、その方法を考えてもらいたい」とまとめ、終了しました。
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