京都市との意見交換会

あらゆる差別の撤廃を要望

 

 11月15日(金)、部落解放同盟京都市協議会と京都市各部局との意見交換会がハートピア京都で開催されました。市協からは役員、支部代表として21人、府連から4人、京都市からは各部局・課を代表して入退出入れ替わりで17人が参加しました。長く会場として使用していた「職員会館かもがわ」が使用不可となり、今回はじめてハートピア京都を会場として開催しましたが、会館が9時には閉鎖となるということで、いつにも増して時間厳守となり、駆け足での議論となりました。

 はじめに京都市協議会を代表して、木下松二議長が「部落探訪等、インターネット上の部落差別は後をたたない。教育と啓発が一層必要となっている」と挨拶。続いて、京都府連から平井斉己委員長が「京都府では9月議会に人権条例が提案された。来年2月府議会で包括的な条例として制定される予定だ。京都市において府の条例をどのように活かしていくのか今後の課題になる。1030日には同性婚を認めないことが違憲であるとの判断が東京高裁でなされた。人権状況は少しずつ進展していると感じている」と挨拶しました。京都市を代表しては、山本ひとみ文化市民局長が、差別事象が複雑化している状況で、夏の甲子園での京都国際学園への誹謗中傷などにも触れ、「啓発の重要性は認識している」と挨拶しました。

部落問題をはじめあらゆる差別の撤廃を求める京都市への要望書」を木下議長から山本局長へ提出した後、要望書項目の順に各課との意見交換に入りました。

 

まずは「部落差別解消推進法」の具体化と人権条例についての項目については、基本的に京都市は人権文化推進計画で対応するという姿勢を崩さなかったため、条例をもつことの効果、有効性などを訴えたところ、府や国の法制定の状況をみきわめつつ今後とも研究したいとしました。

 次に情報流通プラットホーム対処法をめぐるネット上の悪質な書き込みについては、前回の市協人権確立部会での意見を踏まえ、京都市としても総務省に要望したことを中野課長が発言しつつ、モニタリングが一部表現の自由に抵触するかのような発言をめぐって一時紛糾しました。平井委員長は、モニタリングはあくまでも差別投稿を許さない立場でおこなっているものであり、それを否定することはあってはならないと述べ発言は撤回されました。いずれにしても情プラ法を踏まえ、来年には具体的に削除させたという事例を報告してほしい旨要望しました。

 次に地域自治推進室への項目にうつり、「相談体制の充実」と並行して被差別部落にあったコミュニティセンター(隣保館)がいきいき市民活動センターになった後の、「今後のセンターの在り方について」が議論になりました。京都市としては今ある施設の活用にとどまり、老朽化が進行しても建物修繕の計画はないとしつつ、市民活動を活性化する支援としての位置づけていると述べました。市協としては、この4月に新市長となった松井孝治市長が掲げている「新しい公共」をつくっていくためにも、2008年以降の「総点検委員会」路線を点検し、隣保事業について、当時あえて国に補助金を返上してまで切り捨てた経過について、格差や貧困が進行するこの間の社会情勢を踏まえ、隣保事業の見直していく必要があるのではないかとの提案がありました。それに対し京都市の市民活動支援課長は、自分たちも「新しい公共」に役立つ方向でやっていきたいと述べました。

 また、戸籍の不正取得については市民窓口企画課長が答弁。事前登録型本人通知制度の登録割合が一向に増えない現状について、これまでの周知には限界があるとしたうえで、いわゆる「8士業」からの郵便請求に特化して制度周知をしているという取り組みの現状を述べました。また、京都府宮津市の取り組みを参考にしながら、各自治体連携して不正請求をさせない仕組みを構築していきたいとしつつ、国の法整備がないまま、自治体の対応に差が生じている現状を是正するべく国に対しても要望を繰り返していると報告しました。職員への研修はもとより市民への周知も十分とはいえず、今後も取り組んでもらうよう要望しました。

 住宅室に係る項目は、団地再生計画に基づく4地区6団地について来年、竣工後の入居選考について説明があり、住民に対しては住戸タイプの希望と希望住戸の申請という2段階での確認を予定しているとの回答でした。市協からは、地域コミュニティの活性化についての方針についてこれからも協議していきたいとしました。

 次に教育の課題では、今年度の全国学力・学習調査の結果については、市内の結果が全国平均を小・中ともに上回っていたと報告され、「旧同和校」に関しても中位から上位であったとのことです。あくまでも学校単位での結果であることから、もっと細やかな実態把握とそれに伴う進路状況などの把握が必要ではないかとの問題提起がありました。統一応募用紙の制定に関する理解がなされていないという実態については、課題ととらえ研修に力を入れている旨説明がありました。

 重層的支援体制事業の項目に至って、相当時間が押しているものの、ヤングケアラー支援について、アウトリーチの方法について、学校の役割について積極性を求める意見がありました。保育所、ヘイトスピーチ、困難女性の項目については、それぞれ課として用意した答えを読み上げるだけとなってしまいましたが、今後へつなげ、さらに市協三部会等で情報共有、意見交換を継続していく必要性を共有して、今年度の意見交換会を終えました。