袴田さん無罪判決勝利! つぎは狭山だ!

冤罪・狭山事件61年−第3次再審請求の現状と課題

 

 9月26日、袴田事件の再審裁判で静岡地裁は無罪判決を言い渡しました。しかし無実の確定のためには、検察が控訴を断念する必要があり、「検察は控訴するな」の署名活動や、弁護士会などの要請活動が展開されました。その甲斐もあり控訴期限の10月10日を待つことなく、10月8日に控訴断念の談話を最高検検事総長が発し、9日に袴田巌さんの無実が確かなものとなったのです。

 袴田事件での無罪判決では、長期間、長時間にわたる非人道的な取り調べによる自白の強要、みそタンクから1年半後に見つかったという5点の衣類、袴田さん宅から見つかったという衣類の端切れの3点が、警察、検察による捏造であると判断されました。この判断にてらせば、狭山事件の石川一雄さんの自白調書もまた同じような脅迫と嘘、心身ともに衰弱させる長期間の拘留と取り調べにより作られたものであることは、すでに証拠開示された録音テープで明らかであり、事件後、2回の徹底捜査でみつからなかった鴨居の万年筆が、警察・検察によって置かれた捏造である疑い等々、袴田事件と共通する根拠により、十分に石川さんの無実を証明することができます。

 そのような視点から、「つぎは狭山だ!」との中央本部からの全国統一行動の一環として、10月6日、キャンパスプラザ京都で「狭山事件の事実調べ・再審開始を求める京都集会」が開催され、70人が参加し、集会後は京都駅周辺で街宣とティッシュ配布をおこないました。

 集会では、主催者挨拶として京都府連より平井斉己委員長が「袴田事件では無罪を勝ち取るまで58年の年月がかかり、狭山では61年が経過しつつ、いまだ再審とはならない。部落差別による偏見によりつくられた冤罪事件として狭山事件はあり、石川一雄さんの無実をなんとしても勝ち取ろう」と述べました。

 次に学習会として、中央狭山闘争本部より安田聡事務局次長が講演をおこないました。

東京高裁の担当裁判長が昨年12月に家令和典裁判長に交代し、今後裁判所が事実調べの採否を判断するという重要な局面となっていること。家令裁判長の退官が20263月末という期限があり、それまでに決定に至るよう運動を盛り上げていかなければならない。今後の闘いのイメージとして、「事実調べの実施」→「結審(三者協議)」→「弁護団、検察官双方から最終意見書提出→再審可否の決定

再審開始が確定→東京高裁で再審公判→無罪判決(最終的な勝利)とのスケジュールが提示されました。

しかし、再審開始決定が出されても検察官が抗告(不服申立)すれば、さらに審理が続くこととなり、検察官の抗告を禁止する法改正が急務となっています。袴田さんの場合そこから判決まで10年半もの歳月がかかっているのです。

 あまりにも問題の多い再審法について、その改正のポイントは@弁護側の求めに応じて検察は証拠開示をおこなうこと。A裁判所の再審開始決定に対し、検察官は不服申し立てができないこととする。B裁判所による証拠調べを速やかにおこなうこと。があげられます。今年3月には再審法改正を求める議員連盟が結成され347名の議員が入会しています。

 あまりにもむごい冤罪に対して、冤罪を生まない刑事・司法制度の改正。特に人質司法とよばれる自白の強要や長期拘留の見直し。また、逮捕と同時に犯人と決めつける報道の在り方や、「あの人ならやりかねない」などとする偏見にもとづく犯人視等、人々の差別的な意識も変革していかなければなりません。

 学習会を終え、解放共闘の高橋直樹事務局長の団結ガンバローの後、集会参加者は情宣活動に向かいました。京都市協は京都タワー周辺の担当となり、道行く人たちへ石川さんの無実を訴えました。

 大詰めを迎える狭山の闘いが、石川さんの完全無罪を勝ち取ると同時に、この社会にとって本当の意味で一人一人の人権を尊重する大きなうねりとなるよう力を尽くしましょう。