京都市協 教育・保育部会 開催
教育・保育部会を10月4日、京都府部落解放センターにて開催し、各支部代表者9人が参加し、京都市からは、京都市教育委員会学校指導課より土屋諭(多文化共生・社会連携)担当課長、子ども若者はぐくみ局幼保支援室より大原芳郎 公営保育所課長が説明にあたりました。11月15日に開催される京都市との意見交換会に向けた論点整理という位置づけの部会ですが、久しぶりの開催となりました。市協、京都市双方から自己紹介がなされ、木下議長からは「様々な課題に対してなかなか目に見えるような前進を実感することはないが、少しずつでもこれから前に進めていきたい」と挨拶がありました。
課題整理として市協からは事前に質問を送付しており、それに対する回答という形で説明がされました。
まず、学校教育についての課題としては、@2022年11月末〜2023年1月11日の期間おこなわれた「人権教育に関する教職員の意識調査」について、その結果と分析の報告 A教育現場における職員研修のあり方 B児童・生徒への人権学習、特に部落差別についての学びについて 以上3点です。
設問に対する回答については、教職員ということもありおおむね適切に答えられているという結果となりました。特徴として目についたのは、人権問題に関連する事項の内容や経緯(背景)の理解という設問で、「水平社宣言」についての理解は80%だったものの、「同和対策審議会答申」については58%、また「統一応募用紙の制定など公正な採用選考の取組」に至っては30%ほどしか理解されていないという点が課題として現れました。年齢別の人権課題指導経験では、全年齢を通して20代、30代は40代、50代よりも少ない傾向にあることは当然としても、同和問題に関しては50代以上が85%ほどだったのに対し、20代は38%とその開きが他の人権課題に比べても非常に大きかったことが目につきます。例えば、性的指向に関する指導経験では20代が40%に対して他の年代もおおむね50%前後と、さほどの開きはなかったことを鑑みると、新しい課題であるところの性的指向に関しては近年頻繁に行われつつ、同和問題を取り上げる機会が減ってしまっている現状が浮き彫りになりました。
土屋課長からも、若い世代の教師の意識に関して、次代送りの必要性が数字で示されたと表明され、こうした意識調査が今後も継続して現場に生かされていくことが望まれます。また、人権教育主任への研修を充実させるのは当然としても、それが一般の教職員にどこまで届いているのかという検証は常に現場の声を具体的に把握しつつ行っていくべきです。
次に、保育所の課題については、質問事項として、@2015年から実施されている保育所の今後の在り方についての概要とその後の経過、現状について A公立保育所の統廃合の現状 B京都市における公営保育所の位置づけ 以上の3点が議題となりました。
経過については、「市営保育所の今後のあり方に関する基本方針」が2012年に策定され、市営保育所の機能として、地域の子育て家庭に対する支援、民間保育園での支援が示されると同時に、民間移管についても明記されたこと。2014年にはその改訂版が策定され、国が掲げる取り組み(認定こども園の普及、待機児童の解消、多様な子育て支援の充実)への対応に加え、新たに民間移管の対象となる6保育所が明記されたこと。2020年には「京都市はぐくみプラン」が策定され、基本方針は廃止。民間移管については、「公としての役割について不断の検証を行い、民間移管に取り組みます。」と明記されたと説明がありました。これによって「同和保育所」については、民間移管されたのが、崇仁(2020年)、錦林(2017年)、吉祥院(2015年)、山ノ本(2018年)の4保育所。乳幼併設となり残ったのが楽只(2011)、養正(2011)、三条(2011)、壬生(2001)、久世(2011)、改進(2002)、辰巳(2002)の7か所とのことです。
意見交換では、学校での研修については「もっと当事者性を大切にした内容であったほしい」や、「「部落差別解消推進法」の意義や部落差別の現実について、先生方と話していても、わかってもらっているか不安」などの意見が出されました。保育に関しても「同和保育所」の歴史性や、地域とのかかわりについて、所長だけではなく、若い保育士や一般の地域から通っている保護者に対しても学習する機会を設けて、地域住民との関わりも大切にしてほしいなどの要望が出されました。かつては保育集会などの研修でも、京都市は最先端の実践を報告するなど人権保育を牽引してきた経過があり、これからも京都府や全国での保育の在り方などについて研修や集会に参加してほしいとの意見もあり、継続して議論していくことを確認して部会を終えました。
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