岡崎いきいき市民活動センター訪問

 

 

話し手n:音の風代表 西野桂子さん

聞き手m:宮崎議長

 

m:市内のいきセンを回ってインタビューをしてきまして、ここで4件目になります。今日はよろしくお願いします。はじめに、NPO法人音の風の自己紹介をお願いします。

N:まず、2003年に設立しましたので来年で10周年を迎えるということです。もともと私が代表なんですが、楽器メーカーの仕事をしていました。少子化から楽器が売れない、音楽教室の生徒さんが集まりにくい。コンサートもなかなか人が集まらない等、音楽業界全体のちょっとした元気のなさというところに、私自身仕事しながら問題意識を持っていたんです。何とかしたいなと思っていたら、友人から福祉施設の音楽ボランティア活動に誘われて伺ったときに、福祉施設などでは、まだまだ音楽活動というのが生活の中に必要なものとして位置づけられているということを知って、こんなにもニーズがあるのかと。これは今まで私が考えていた問題意識とうまくリンクさせられるんではないかと思って、友人10名と共に設立準備をはじめ、2003年に承認をされました。

m:そうなんですか。もともと楽器メーカーに。そしたら、どんな楽器でもこなせる?

n:はい。

m:すごいな。

n:設立してからも45年は勤めてたんです。17年くらい勤めてまして。電子楽器のメーカーでした。

m:私なんかは、自分の生活圏域の中に電子音楽という関わりがないので新鮮な感じです。

n:目に触れる機会というのが、イベントなどでは、好きな人だけ集まるというものですが、もう少し地域に出て行って、よさを知っていただきたいなとか、そういうことも思っていました。

m:日頃の活動というのはどんなものですか。

n:現在会員数が90名くらいなんですけども、月の活動で450件ほど。中心は福祉施設です。高齢者施設、障害者施設なんかに伺って、音楽のレクリエーションとか、音楽療法とか、ちょっとしたコンサートとか、施設の方の要望に合わせたプログラムも、当会のメンバーで行ける者、日程が合って参加できる人が集まって伺っています。それが450件ということで、月々の活動をずっとしたら多いんですけども、ほとんどが定期的な活動です。1回行ったらまた来て、同じ施設に月34回行くということもあり、全体でいえば450件。1回のプログラムが約450分で、高齢者のみなさん、障害のある皆さんと一緒に楽しむ、参加型のプログラムでみなさんとても楽しんでいます。

m:それはいいですね。会員90名皆さん、楽器をされるんですか。

n:楽器と歌なんですが、楽器ができる方と、歌の方と半分半分くらいでしょうかね。だいたい230人くらいのメンバーが中心になって地域に出向いていて、それ以外のメンバーは年間に12回であるとか、あるいは、ほとんど活動には出向かないけども資金的に援助するという方ですね。

m:ここのセンターの委託をしようと思い立ったきっかけというのは?

n:音の風自体、潤沢な運営資金があるわけではないので、活動の拠点となるところがほしいな、ということはずっと言っていたんです。それまで、ひとまち交流館のスモールオフィスを借りるなど、苦労しながら運営していて、何か一つ固定的な拠点となる場所がほしいと思っていました。そういう意味でいろいろとアンテナをはる中で、このコミセンに限らず、小学校の跡地利用であるとか、京都市の建物をどう活用していくかということの一つとしてこの「いきセン」が加わるという情報は3年前から得てました。で、私たち地域的な拠点というのは東山だったんです。どうして岡崎かというと、東山と岡崎は、すごく隣で親しみのある、文化的にも京都会館、国際交流会館、音楽をするものにとってはすごくなじみのある土地ということもありましたので。

m:そういう意味ではぴったりだったんですね。東山は大きくて、また大変なんですよね。

n:おっしゃるとおりで、東山は、うちらのような小っちゃなNPOで、市民活動は得意なところですけど、施設運営とか管理とかは初めてなので、ちょっと無理やろな、ということで。

m:で、ここは対戦相手がなかったのかな。

n:私たちは事前に知らされてなかったですけど、結果的に競合はなかったです。

m:僕にとっては、ここのNPOにも知り合いがいたので、がんばってみたらという思いもあったんですが、音の風さんで少し安心したんです。

n:ちょうど、ここの委託を受ける前から、左京区のいろんな団体とつながりを持っていたんです。例えば年に1回ワイワイ文化祭という、岡崎地自治連合会が開催されている文化祭に出演する団体も、私たちがこれまで活動に行っていた団体だったり、錦林小学校のみなさんだったり、つながりがすでにある状況で入らせていただいたので、地域の自治連合会の各種団体のみなさんからは「ありがとう来てくれて」という声を最初にいただいて、それはすごくよかったなと思いました。

m:なるほどね。昨年4月から1年ちょっと過ぎて、計画通りに進んでいますか。

n:全体としては、計画通りではありましたね。ただ、市民活動だけするのであれば、私たちは得意分野なのですが、地域の方とつながったり、施設運営ということで公金の処理など不慣れなもので、そういったところに戸惑いがあって、それに慣れるのに1年くらいかかっていますね。1年間の指定管理料を、計画通りに予算執行しているかというところも大きなポイントだと聞いていたので、たくさん余らせてもあかんし、足りなくてもあかんしというところで、どういうふうに執行計画を立てていくかということが、中間決算以降1月くらいから動くべきところ、3月頃に気づいて。順調に使ってたんですが、気づいたら、けっこう節約したので、ちょっと余らせてしまったんですよ。京都市の人と相談しながら、ちょっとした改修もしたんですが、もう少し早めに、1月くらいからやっておかなければならなかったと初めて経験しました。

m:事業については、この施設も大学生にきれいに描いてもらったり、一生懸命変えようとしているのは、新聞でも見ましたよ。事業が得意というのは強みですね。

n:そうですね、基本的に今年度も昨年の継続事業です。私たちは自分たち単体で事業をするという考え方ではなくて、まずどこかの団体と連携して作り上げていくというスタイルで進めているので、どの事業についても地域団体のみなさんや、お母さん方や、社会福祉協議会や、自治連合会の中の各種団体のみなさんと併せてどうつくっていこうかというやり方で進めています。例えば歌声喫茶なんかでもそうですけど、京都市内でもたくさん開催されている歌声喫茶という企画ですが、私たちは、地域の中での高齢者の集いの場になるように、民生委員さんとの連携をとったりとか、社協さんからの口コミでこういう場があるということの周知をお願いしたりであるとか、高齢者のみなさんの集える一つの場所になるような働きかけを中心的にしています。

m:学生さんがけっこう活発なんですか。

n:私たちは中心的に音楽の活動があるんですが、学生さんたちの活動については、この施設をどう入りやすい、地域のみなさんにとってよいものに作っていけるかということを、京都造形大学と精華大学の先生と、あと、まちづくりのアドバイザーのみなさんとか、そういう人たちと実行委員会をつくって、まちごとデザインするプロジェクトを立ち上げています。今年度の事業もけっこう決まっているんですね。

m:ここは、貸館としての会議室はいくつあるんですか。

n:二つです。

m:住宅の世帯は何世帯ですか。

n:一応40のうち、町内会がないので、実態がなかなかつかみにくいんですが、ちょっとポスティングさせてもらったら、入居しているのは23世帯。

m:だいたい、6割くらいですね。ここは、もともと三条の飛び地だから。やはり高齢者世帯がほとんどですか。

n:ほとんどですね。中に中学生くらいの子どもさんは見かけますけども、どれくらいかというのはわからないんですよね。

m:住宅の方も歌声喫茶に来られるんですか。

n:それがね、私たちも来るまで自治会がないというのを知らなかったので、もうちょっと住宅の方が来てくれるのかなと思っていたんですが、実際には来られてないです。

m:高齢者ふれあいサロンにも来られませんか。

n:ふれあいサロンもないですね。どうやったら近づいていけるのかと、23年度は無理だったので、24年度は夏祭りをしようかと思っています。にぎやかにやれば、さすがに来てくれるのではないかと。そのときに人権のこと、パネル展でもしようかと思っています。

m:これまで事業をやってきた課題や問題点、施設面での困ってることなどありますか。

n:階段の面で厳しいというのは、高齢の方で聞かれますね。2階なんですけど段がけっこう高くて。トイレが男女共用で使いにくいという話も聞きます。私たち音楽の会なんですけども、防音設備ないので、問い合わせもけっこうあるんですが、いつも東部か東山を紹介しています。

m:音楽のグループの仲介になってるんですね。すぐそこの学習施設にはそういった防音の部屋もありそうやけどね。

n:ホンマはね。使ってないんだったら、使わせて、とずっと思ってるんですけど。

m:利用されるのは市民新聞などを見て、全市的な範囲なんでしょうか。

n:区民新聞に掲載されるので、今のところ左京区の全域です。出町柳のあたりくらいまでですか。

m:募集をかけたら、すぐに満員になりますか。

n:なりますね。もともと部屋が小さいので、25名くらいまでなんですけども。利用されるのはやはり中高年の方々が多いです。

m:それから、地元との連携でいうと、先ほどからの話だと、仕掛けはしてるんだけどやっぱり、自治会がないと言うことで窓口がない、ということですね。

n:そうなんですよね。個人で行くしかないから。ほんまに、どういう課題があるのか知らなかったら、ただのおせっかいになってしまいますしね。

m:最後に、ここを進化させていくイメージを聞かせてください。

n:何と言っても私たちは、音楽を通じてどう人と交流をつくっていくか、ということを中心に設立当初から取り組んでいる部分があるので、まず、4年間で、ここが音楽の市民活動をしているという、京都市中の拠点となるところまで、周知がはかれたらなと思っています。一方で、音楽に興味がない人が寄りつきにくい所になってもいけないから、その辺のさじ加減を見極めながら、地域のみなさんに対しては、どんな方でも集まれるような施設になり、でも全市的には音楽の情報はここに聞いたらわかるんだ、というようなところまで形をつくりたいなと思っています。やっぱり、音楽の市民活動を推進するという大きな使命が、音の風にはありますので。

m:なるほど。これからもがんばってください。今日はありがとうございました。

 

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