吉祥院いきいき市民活動センター探訪

 

 

センター長:石田房一さん 事務局スタッフ:岡本久美子さん

聞き手:宮崎議長

 

M:4月からいきセンの1年を振り返ってという特集をしています。まずは団体の自己紹介からお願いします。

I:1996年にふれあい吉祥院実行委員会という形で任意団体として立ち上げて人権のまちづくりを進めてきたんですが、20063月にNPO法人の認証を受けたことで、実行委員会を発展的に解消して、NPO法人ふれあい吉祥院ネットワークを立ち上げました。自治連合会、社協、女性会、体育振興会、解放同盟など地域の各種団体から理事を出してもらっています。コミュニティセンターの一部管理委託を受けて、そこでセンターを拠点として繋がりを少しずつ作ってきました。法律がなくなって、今まで蓄えてきたことをやろうということで、具体的に安心安全の取り組みや、六斎念佛の伝承や。この辺を前に出して活動しようと。そういう意味では地区施設を地元でやろうという、10年以上前から宮崎さんが言っていたのは私にとって斬新で、それだったらいろんなことができるだろうと、ものすごく発想が広がりました。

M:施設運営をNPOがするということは、住んでいる住人だけの取り組みではなくて、岡本さんのように外から入ってくる人たちと一緒にやれますよね。

I:いまだに、地域の人が「電球変えてくれ」とか言いにきたりすると、そっぽを向くようなことはしませんが、最終的には自立できるような暮らしを目指そうと。スタッフにも言っているのですが、地元の支援の仕方を、何でもしてあげることが支援ではなく、自立できるような支援をしないと、成長しませんよね。例えばパソコンでも、もしできなかったら、パソコン教室を開いてそこに入ってもらって、自らができるような支援をしようと。もう一つびっくりしたのは、各団体から、やっぱり「なんで菅原町ばっかり」というのがあるわけです。住民はここに相談したらいいと当たり前のように思うけど、それを見てると、「あそこやっぱり、同和地域の住民が相談できる場所だな」と、本来の目的と違う意識が出てきます。もっともっと、他の町内も利用してくれるように啓発していきたいですね。

M:指定管理を受けて、当初計画していた事業は順調にこなしていますか。

O:去年1年間は計画をその通りに回すことだけで精一杯だったんですが、その1年が過ぎて、また課題が見えてきたので、それを加えてまた1年間の計画を立てて、概ね順調です。

M:独自事業もやってますか。

I:吉祥院の人権工房という230人の会があるんです。それが独自事業で、いろんな人を招いて、学校の先生や交通局の人とか、関わりのある人を呼んで教室をしている。そこに六斎の研究所に来てもらったりとか。

O:去年はNPOの中だけで、何でもやってたというのがあって、今年は事務局の中で二つ強化していこうと言っているのが、「仲間をつくること」と「情報発信」です。吉祥院を中心に他にもNPOの方もいるし、ちょっと範囲を広げたら南の青少年活動センターがあったりするので、そういう所にも足を向けて、どういう所がお互い困ってますか、どんな活動してるんですか。ウチはこんなことをやっています、という情報交換をしていきたいと思っています。吉祥院図書館もそうですし、児童館や保育所、そういういろんな団体と仲良くなっていって、使ってもらえたらいいなと思っています。情報発信ではウェブやパンフレットをつくる等、時間をまとめてとるようにして強化していきたいです。

M:スタッフは全部で何人くらいなんですか。

O:アルバイトと職員、全部で8人です。ただ月曜日から日曜日までずっと入っている常駐の人がいなくて、シフト交代制で回しているので、情報の行き違いが起こりやすいので、スタッフミーティングや業務日報、ウェブにも何かあったら打ち付けるという癖をつけています。わりとみんなワイワイやってるんで、事務室の中が賑やかだと、利用者の方も入ってくれたりとかして。

I:来ると楽しそうにやっているので、頼もしいなと思っています。勝負はね、3年後なんですよ。この4年間でどれだけ成果をあげて、課題も問題も見つけて3年後に結びつけられるか。

M:自分らで要求してつくってきた地元の施設は、自分たちで運営していく。そのやり方は地域ごとにあってもいいじゃないかと思いますね。

I:ただ、NPOにしていろんな団体が来ると、ぽろっと差別的な発言があったりします。そんなときにも我慢してと、宮崎さんは言われてましたよね。昔だったら「なんでやねん」となるんだけど。

M:ここと西三条は似てるところがあるんです。支部も小さいし、小さいと人間は仲間をつくる。学区の各種団体をつくる。そこでは矛盾を抱えてやらないといけないんだから。

I:ただ難しい面はありましたね。

M:先ほど言っていた1年間で見えてきた課題というのはどういったものでしたか。

O:やはり情報発信でしょうか。隣保館やコミセンの時代は周りの人しか使ったらあかんと思われてる部分があるので、そうではなくていろんな人に使ってもらえますよというのを、こっちから発信していかないといけない部分がある。

M:区民便りは利用しますか。

O:そうですね、あれを見て来る人もけっこういます。ただ交通の便があまりよくないので、逆に近隣の南区の人に対しての発信ですね。吉祥院なりの情報戦略が必要かなと。PTAの人に声をかけたりとか。

I:来年の4月には、第2久世橋が開通する。そうするとJR桂駅とか、あの辺のバスの編成がある。そのために上鳥羽の自治連合会とウチのメンバーが集まって懇談会をしています。歩くまち京都や交通局を呼んで。実態を把握していこうと。

O:場所を聞かれて説明するのも一苦労なので。

I:やっぱり、交通の便のいい市内中心のいきセンとウチとでは、同じ人を巻き込むと言っても違いがあって、こっちはこっちで考えていかないといけない。

O:遠方の利用者も少しずつは増えていますが、地域との密着というのも大事にしたいですね。ずっと「ふれあいジャンボリー」と、「ふれあい講演会」というのを続けてやってきたんですが、それにプラスしてマンションの住民を絡めていったりとか、話を聞いていると、どこの町内会も加入率が低いというのがあって、でも、みなさん必要としているニーズはあると思うので、そこを広げていきたいと思います。

I:今、支部の若いメンバーが吉祥院支部に入らなくても何か地域で活動できることはないかということで、竹尻公園というのがあるので、英語の名称でバンブーヒップという若い者ばかり集めてたサークルをやってるんです。

O:メンバーでアドバイザーという形で私も関わって。相談にこられて、「支部メンバーでやっているけど、それだけじゃ限界があると思うし」というので、じゃあ新しいのをつくりましょうよということで1年くらい前につくって、今、だいぶ人が増えて10人くらいになったんですけど、友達を連れてきたり、地域でボランティアをしたいという職場の後輩がわざわざ六地蔵から来てくれたりとか。同世代でワイワイやってるとおもしろいです。

I:もともとの発想は、吉祥院支部が夏祭りをしていた。それがジャンボリーと一緒になって秋に小学校ですることになったんですが、せっかくステージのある公園なので、あそこでちっちゃい夏祭りをしようという。

O:だから、コンセプトとしてもみんなで楽しく飲み食いができたらいいよね、くらいで、強制はしたくないし、自由参加で。

I:乾先生と会議が終わってからお好み焼きやでいろんな話をしたとき、「石田さん組織もいいんだけど、誰でも気楽に入れるような、若者を中心とした吉祥院ファンクラブをつくったらいいよ」と言われ、そういうのを作りたいという理想があったんです。フットワークの軽いメンバーだから。御輿もやってくれたりとか。

O:この周りで、高齢化でできなくなってることを、バンブーヒップが協力しながら、あくまでもお手伝いという形でやってます。

I:最近六斎の資料館の見学者も多くなってね、岡本の知り合いの人が、無料で教室の材料として六斎のHPをつくろうと言ってくれたり、だから、例えば六斎を活性化するのに六斎だけを育成するんじゃなくて、研究会をつくって、若い子がここでいろんな歴史を勉強したり、いろんなことを各々やっていこうと。できる範囲で。それをバックアップするのがNPOであり、活性化事業でやろうかと。一つのことをみんなが知恵を出してやっている感じですね。それからウチのコンセプトの大きな核として、「安心・安全」の取り組みがあるんですが、青パトの取り組み。いきセンの玄関前に停まってますが、軽自動車に白黒のパトカー仕様です。あれも単独のNPOでやれば簡単にできるんですが、新たに吉祥院学区の安心安全まちづくり推進委員会というのを立ち上げて、各種団体で運営しようということで。母体はうちのNPOスタッフがやっているんですけど。16人が講習を受けて、週に2回走ってます。個人で申請するのは簡単なんですが、白黒仕様は認可が大変でした。

O:許可が下りたのは、ついこの8月です。青色パトロールといって、赤ではなく青いランプで20キロか30キロくらいで学区内を見回りして、やっているというパフォーマンスとパトロールをします。

I:地域の防犯や少年補導にも事前に相談しながらやりました。そうすることによって、抑止力も高まるし、保護者の安心感も生まれると。ジャンボリーでも大々的にお披露目会をしようと思っています。で、ガソリン代を捻出するために、野菜の直売会をしようかとかね。

M:やることが盛りだくさんで忙しそうですね。

O:事業が多いし幅広いので、何でも屋さんのようなスタンスでいいのかなと。

M:逆に自分たちで創造して作っていけるから楽しいよね。役所から決められた型にはまったものと違うから。

O:やりがいもありますし。ゴーヤのグリーンカーテンやったり、キッズコーナーをつくったり。それもやっぱり南の青少年活動センター見に行ったときに、ロビーを素敵な使い方をしてたんで、参考にしたりいろいろ取り入れて。賑やかな雰囲気が出せたらいいなと。

I:今は青パトをここの拠点にしようと思っています。ここに、いろんな人が来て、安全の教室をしようと思っています。一つの形にとらわれず、いろんな、組織やグループをつくることで、出会いがうまれて、広がりができるのが大事だと思っています。

M:本当にそうですね。今日はありがとうございました。