京都市上鳥羽北部いきいき市民活動センター
上鳥羽北部いきいき市民活動センター探訪 2013年5月16日収録 話し手:高橋清司 センター長 聞き手:宮崎茂 市協議長
m:いきいき市民活動センターということで、民間の団体が管理運営を委託するようになって、2年が経過し、その現状については各方面から様々な関心がもたれていて、今回、このシリーズも解放新聞がHP版になって久しぶりに再開することになりました。今日はよろしくお願いします。 t:私がいきいきセンターとして決まったのが、2年前のオープンの間近であり急だったんです。京都市で会議があって、その時に初めてこの施設の歴史的経過を知ったんです。児童館運営委員長の友人であったことから、やってくれないかということで引き受けたのですが、十分に答えられるのかどうかは心許ないのです。 m:これまでは民間の会社に勤めておられて、いきなり請われてセンター長をされるということは、本当に勇気がいることだったのではと思います。 t:64歳で退職したところだったので、あまり深く悩まずに引き受けました。引き受けた後に、京都市中唐戸運営委員会が指定管理を受けた経過について、今も勉強している所です。 m:最初に団体の自己紹介をお願いできますか。 t:ここはもともと、京都市中唐戸福祉センターだったんですね。1978年にできて、1年後に京都市中唐戸児童館運営委員会になりました。地域の方が委員長になり、委員は上鳥羽の自治会長、小学校長、PTA会長、あんしんあんぜんの会長、少年補導委員長などの方々です。上鳥羽学区、また近隣が活性化するためにつくられたということです。 m:どちらかというと、子どもを視野に入れた立ち上がりだったんですね。 t:そうですね。だからここは、2階はいろんな教室がありましたよね。ピアノ教室や図書室。今はセンターですから、1階だけを使用させてもらっているということです。 m:それで、京都市が指定管理という制度に切り替えて民間に運営してもらうとなったとき、応募しようとしたきっかけは何でしょうか。 t:運営委員会は、児童館だけを運営しているということですが、もっと広く、児童から一般の住民まで含めて、活性化の源を作ろうじゃないかということで生まれたようです。その前は、コミュニティセンターで、2年間貸館だけを民間会社がやっていた。だけど地域でやっていくというような活動を、委員会から発信していこうということです。自治会ももちろんあるんですが、一緒に。だから、他のセンターとちょっと違って、非常に地域密着型です。その分広がりを持たせるということになると、難しい面もあります。 m:地理的に、南部は難しいということもありますよね。住宅地の真ん中ですし。 t:どこにあるの?という問合せも多いんです。二日前にも問合せがあって。 m:僕も、今日ここに来るとなって、どこなの?と聞かれても、なかなか他の人に説明できないです。 t:入り組んだ場所にあるのでね。 m:京都市も件数が増えたら、次は利用者の多様性や広がりなどを求めてきますよね。 t:特に南区は、4カ所もありますから。他のセンターを見に行くこともあるんですが、吉祥院などは頑張っておられるなと感じています。 m:そういう意味では、昨年、評価委員会からの評価というのはどんなものでしたか。 t:そうですね、評価委員会に私も参加しました。貸館の方は、年間で99件から1年目で280件ですから、増えて良かったなと思っています。今年は117%で、300件近くがきています。私たちもそれなりの努力はしてきました。まあ、自負するのはそこだけかもしれないですけどね。活性化事業は、ここの地域のお母さん方が利用されていて、その1人にお願いして、ベビーヨガの講習会をしました。若い母親の悩みなどを共有し、コミュニケーションを図る。その後、クリスマス。児童館がこれまでやってこられましたから、児童と、ここのセンターを利用されている方々が一緒になってクリスマス会をしようと。それから餅つきですね。それをうちの主催でさせてもらって。1年目はそういった形で、児童館との関わりで何とか事業をしたという感じです。もっと前に出ないといけないと思っています。 m:具体的にどういった展開をしていきたいと思っていますか。 t:ここは運営委員会ですから、これまで地域でやってこられたことを、うちもそこに参加させてもらってやるというのが現状です。そこから離れてとなると、そんなにまだ基礎も出来ていませんから。だから、地域の大きな行事には全て、いきいきセンターも顔を出すことにしています。あんしんあんぜんの会、上鳥羽小学校の110周年記念、落書きを消そうという取り組み、それぞれ、ここのセンター職員が出掛けていって、一緒に落書きを消す、行事に参加するということで、地域の中に入っていこうということです。そのように1年目は一緒にやらせてくださいという形でしたが、2年目、去年1年間は、我々も出て行かないといけない。ここにジッと、貸館の当番だけして活性化は難しいと思いますから。あんしんあんぜんの推進委員会に参加して、一緒に標語づくりもしました。それが2年目ですから、3年目には、地域に参加することを前提として、例えば、地域の掲示板の点検をするなどの事業をしてみてはどうかと考えています。現状の把握から利用の仕方まで京都市にも提言するような、ちょっと外へ一歩出る活動もしていきたいと思っています。 それから、貸館は、これまでここは無料だったところを利用料として100円いただくことになって、これはもう、利用者はお客さんです。だからCSを第一にしよう、お客さんに気持ちよく使ってもらおうとスタッフに言って、出迎えて見送りをする、電話では必ず自分の名前を言うということを徹底しています。 m:利用者もやはり町内の方が多いですか。 t:コーラスなど地域で活動されてる方が多いですね。ただ、最近久世橋通りを超えて来る方もいます。下京の方もね。下京は京都駅でしょ、西の方にはないので、バス停がある程度近いので、習字の練習や、カルタの練習。この間カルタ名人になられた方も利用されています。 m:南区でもここは一番北ですからね。建物の関係で不具合などはありますか。苦情など。 t:1年目にスロープをつけました。入り口にソファーを置きました。座って靴を履けるように。それから手すりをつけて。トイレも洋式が1つあったけど、カーテンだけだったんです。それもなおして。 m:逆に言えば、苦情を聞く前にセンターが工夫してるということですね。 t:そういうのは、力を入れています。 m:防音はどうですか?音が漏れて困ることはないですか。 t:それは意外に大丈夫です。建物はしっかりしているのでドアを閉めれば聞こえないですね。 m:建物としては新しい方ですよね。うちの中京いきセンは音が漏れたりと、大変ですが。 t:センター長として、職員に対して一度他のいきいきセンターを全部見てきてと指示を出しました。どんな風に運営しているのか、受付、掲示板、部屋など見て、後から聞かせてもらって、「あそこはこうしているよ」「ここはこうしているよ」と報告を受けます。他の施設についても勉強させてもらって。それで、私は岡崎に行ったんです。センター長からすると、職員が地域の人というのも良い部分とやりにくい部分があります。話はしやすいのですが、小さくまとまってしまうというか。 m:京都市は、広げろ広げろと言う。 t:そうでしょ。学区及び近隣地域まで広げると書いてあるから。ここだけではだめだとそれでうちも、今年3月にHPを立ち上げました。そこで、自治会活動が見られるコーナーもあります。 m:そういうのは大事やね。利用者の年齢層は? t:やはり60歳以上が6割ですね。30歳から50歳代が3割。子どもさんが1割くらいですね。午前中も59%の利用率です。 m:午前中の利用が多いですね。 t:昼間が19%。夜間22%ですね。 m:極端に言うと、それが全部ひっくり返ったのが一般的な割合ですね。普通は夜間の方が多いんですよ。 t:あ、そうですか。ここは高齢者中心だからですね。たまに、町内の寄り合い、女性会の会議。だから、男の人が24%、女の人が65%。子どもさん11%です。個人は、20%。あと団体として8割。 m:地元との連携という点では、ここは模索するというより当初からありますよね。 t:この間も、テルサで1年間の報告をして、運営委員会の人に集まってもらいました。1年間を振り返り、今年度の活動報告をさせてもらって。よくやってると言ってもらい、任されてる部分もあるんですが、児童館の館長さんとも相談しながらやっています。 m:児童館館長は校長先生ですか。 t:いえ、この地域の方ですね。 m:これから、進化する方向性というのは。何か考えていることはありますか。 t:上鳥羽地域で問題になっていることを解決する活動。ということで、掲示板の点検活動。それができたら、今、マンションに自治会が入らないという問題がありますよね。我々もそこに入って、地域に役立つことをしたいと。 m:それだったら、京都市出前トークなどを活用してはいかがですか。 t:そういうのに目を向けなければと思ってます。つい、楽しみごとに終わってしまうことが多いです。楽しみだけでは活性化事業ではないと言われます。クラブ活動や女性達の踊り、祭りに出て行くとか、それだけでも活性化だろ、という人もいますけどね。もう一つ、広げていくということですから。 m:全区を意識してという、京都市の意向なんですが、どうしても、南区というよりも、上鳥羽学区ということになりますからね。それは、それでいいと思うんです。 t:自治会も高齢化していますよね。我々の年の上の人ばかりで。変わらず何年もやってもらって。だから、新規で活性化事業であれば、誰かスタッフを入れてやらないとできないということがあります。 m:もともと、地域の人が頼りにしていた施設という側面があると思うんですが、相談事などで、訪れる人はいませんか。 t:まだそこまでは。一緒にやってよ、という声がやっと届くようになったくらいです。 先ほども言っていた、掲示板の調査というのは、やっていきたいと思っています。 m:丸抱えではなくて、みなさんと一緒にしようねと。ヒントを発信して。勉強会を主催するとか、そういうことで独自事業を増やしていって。 t:ここは、受付を若い人がしていて、仕事が楽でいいね、と、立ち上げから思われている部分がありますよね。パートできている人や、アルバイトなどで。 m:建物の管理だけであれば、そのように思われてしまうこともあるかもしれませんね。 t:初めは、僕ら自身も、そうだなと思う部分はあったけど、今は、外からそのように言われると、それではあかんで、と。だから、気持ちを変えて。いきセンの委託は、他の地域ではNPOが多くて、運営委員会だけでいいのかと、考えることもあって、委員長にもNPOにして活動を広げなければと言っているのですが。必ずNPOにしなければいけないのかとも思ったり。悩んでる面もあります。 m:いきセンの管理・運営という面では、今の運営委員会で十分だと思います。ただ、それを一歩広げて、事業展開しようとしたときには、NPOという法人格が必要になる場合がありますよね。ただ、この場所をホームグラウンドにしてやっていくんだということであれば、今のままの方が肩の荷が楽ですわ。 t:ま、もうちょっと先の話ですけどね。まずは、地域に認められる。他の地域にも注目してもらえると。メンバー、スタッフを鍛えてね。 m:本当に苦労が多いと思いますわ。 t:流れが少し分かってきたから時間の余裕というのも、前もって出来るようになりましたからね。 m:来年の春には、もう4年目になるから、その秋にはまた次のエントリーに向けて準備をしていかないといけないですしね。連携取れるところはまたとりながら、お互いにがんばりましょう。今日はありがとうございました。
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