京都市で発生した差別事象を情報公開請求

−ネット上の被害が甚大−

 

 京都市協議会は、726日、昨年69日から2021721日までの間に京都市内で発生した人権問題にかかわる差別事象について、情報公開請求をおこない、831日に公開されました。件数は総数で44件ありました。

 差別事象の形態では、落書きが21件、ネットの書き込みが12件、張り紙9件、発言1件、FAX1件。また、内訳としては、外国人26件、性差別12件、部落差別11件、感染症2件、障害者1件、LGBT1件でした。

 今回の開示で特徴的だったことは、従来に比べて、部落差別の件数が多かったこと。特に、昨年の秋に京都市内の市営住宅でおこった殺人事件の報道では、yahoo!ニュースに多数の書き込みがあったこと。また、京都市交通局市バス運転手が自身の名前を検索することで発覚した投稿サイトへの書き込みでは、カウントとしては1件とされているものの、投稿そのものは、交通局のみならず、警察署や、京都市役所へのヘイト表現や、他の個人名をあげての差別表現も含め、300回以上にものぼっています。しかも、トイレなどへの落書きは、具体的に洗浄やペンキの上塗りなどで消去ができますが、投稿サイトでは、京都市や京都府の担当者が法務局への削除要請を繰り返しても、なかなか消し去ることができません。

 交通局については、バス運転手の個人名が書かれていることから、本人から相談を受けた局の人権担当課長等は、地方法務局はもとより、警察や弁護士からも意見を聞き、本人からの被害届が有効であるとアドバイスされたものの、被害を受けた当事者は、直接表に出ることを躊躇し、結局、法務局へは第三者の「情報提供」という手段で交通局が通報しました。法務局によると、本人からの削除要請との違いは、結果を伝えるかどうかだけであり、ネット上の業者に対しておこなうことに違いはないとのことだったので、今回はそうした対応をしたということでした。

 細かいことですが、差別的な書き込みをされているのではないかと、ある人物が「スマホ」で検索して、自身への誹謗中傷を見つけたとしても、現状では、スマホの画面での削除要請ができず、パソコンで、あくまでも本人が削除要請しなければならないということも今回わかりました。パソコンまでは持ち合わせていないという人も多くいる中、ネット上の差別書き込みについて迅速に削除できる仕組みが、切実に求められています。