市協「人権確立部会」−市民意識調査の学習

〜差別発言をめぐる対応についても論議〜

 

 

 9月4日(水)京都府部落解放センターで、「市協人権確立部会」が開催され、前半には、昨年11月に京都市が京都市民に対しておこなった「市民意識調査」の内容について学習、また後半には、久世地域で発生した差別発言事件から相談体制の在り方について、論議されました。京都市協から9名の部員が参加し、京都市からは、文化市民局共生社会推進室より岡田祐成人権文化推進課長、原真弓担当部長、伊藤洋康事業調整担当課長が参加しました。

 まず、岡田課長より、意識調査について概略以下のような報告がありました。

 「主な傾向としては、人権3法について、それぞれの法律を知っている、あるいは、名前だけでも知っているという人が約6割前後あったということ。部落差別解消推進法では、そのうち「内容まで知っている」のは21.7%であった。人権侵害を受けたときに誰にも相談していない人が約4割あり、相談した中では、友人知人への相談が34.7%と一番多く、京都市が問い合わせ時に紹介している人権擁護委員への相談は3%しかなかった。

 「結婚を考える際に、気になること(なったこと)はどんなことか」という設問では、前回31.3%だったのが、今回は23.8%であり、2割超の人が気になるという意識を持っている。「あなたのお子さんが」という問いでは、「自分自身」よりさらに「気になる」という傾向が高くなる。また、住宅を選ぶ際に「近くに同和地区がある」のが気になるという人は24.6%だった。設問方法が前回と変わっていて、前回は気になるが22.3%、どちらかと言えば気になるが25%で合わせて47.3%あった(それと比較すると低くなっている)。

 市民意識調査の結果は、20152月に10年間として策定された人権文化推進計画の中間見直しに反映させる予定。人権3法やLGBT等の課題が顕在化していること、インターネットの人権状況を踏まえ、現在検討しているが、10月に計画改定(案)を示し、パブリックコメントを募集、取りまとめをして、来年の3月には改訂版として報告する。」

 質疑応答では、川瀬副議長から、「2割の人に差別意識があるということは根強いと思う」と指摘があり、京都市の計画のうち、「計画の目標〜10年後の目指す姿」の3点目に「人権にかかわる問題が発生した場合に、市民が安心して相談することができ、また救済を受けられる体制が整備されている社会」とあり、役所への相談がほとんどないということを真摯に受け止めてほしいと発言がありました。また、宮崎議長からは、「推進法を知っている人が6割を超えたということだが、若い年代ほど少ないということは、法律が切れて以来の17年間で部落問題について学ぶ機会がないまま成長した若者の問題ではないか」と質問がありましたが、岡田課長は学校の実態はわからないと回答。川瀬副議長から、環境問題、ごみの分別に関して、子どもへしっかり教育をすることで大人を変え、社会が変わった事例が示されました。

 次に久世地域で差別発言を受け、非常にくやしい思いをしたというNさんの報告が、久世支部長でもある川瀬副議長からありました。問題点は2点あり、1点目は、相談者がいきいき市民活動センターから、久世の出張所に行くように言われ、行ってみたが納得できる対応をしてもらえず、当時、南区副区長であった原部長が問い合わせたところ、「京都市人権相談マップ」が出張所に配架されていなかったという事実が判明したこと。2点目は、「この部落もん、出ていけ」等の差別発言をした人間が町内副会長で、発言の現場に町内会長もいたという事実は、単に個人としての発言以上に、地域の責任者という立場から、役所との関りにおいても問題であるということでした。

 最後に宮崎議長の方から、人権侵害に対して、本当に信頼して相談できる体制があり、救済制度もあるという「目指すべき社会」が、きれいごとではなく、京都市の行政としてきちんと向き合うべきであると指摘がされ、今回の部会は終えましたが、このような部落差別、人権侵害について救済されるシステムが現実的に存在しないということの理不尽さが、あらためて浮き彫りになりました。また、部落差別解消推進法に謳われた「部落差別に関する相談に的確に応ずるための体制の充実を図るよう努めるもの」を具体化することが急務であることが確認されました。