市協 第7回人権確立部会 開催

 

 

 

 

 

81日、部落解放センターで「京都市協 第7回人権確立部会」が開催されました。

 京都市文化市民局人権文化推進課より、岡田祐成課長、水垣直輝市民啓発担当課長、中島英明事業調整担当課長、數田雅也企画係長が出席。市協から10名の部会員が参加しました。

 今回の部会では、まず、この間の人権に関わる市協の取り組みについて宮崎茂市協議長より報告がありました。

一つは事前登録型本人通知制度の現状について、京都市が先例となる制度をつくってきたが、京都府内の各市町村もかなり登録しやすい制度改革がすすんでいること。市内の登録者数が6月末で2150人であること。

二つ目は、昨年10月から今年の6月までに京都市内で発生した差別事象を、公文書公開請求で開示された8件(また別途障害者差別(相談)に冠しては自立支援協議会がHPですでに公開しているものを任意提供され、5件が示された)について報告しました。

続いて、協議事項に入りました。議題は「『部落差別の解消の推進に関する法律』にもとづく、相談体制、教育、啓発、実態調査などについて、京都市の基本的な考え方」です。

岡田課長が「『同和』問題を市政の最重要課題と位置づけ、これまでから取り組みを続け、一定の改善と成果を得た。8年前の地対財特法の失効からは市民を対象とした一般施策とした。しかし2013年の市民意識調査には、結婚や土地等に関してまだ差別解消にいたっていない現状があり、啓発に努めていく。20093月に出された『総点検委員会』の提言に従い、オープン(開かれていて)で、オーディナリー(普通)な行政をおこなっていく。20152月に作成した人権文化推進計画においても生まれや住居による差別は許さないとしている。部落差別解消法には国との役割分担とうたわれており、国の考え方をまず把握したい」との主旨で説明がありました。また、法律の周知については5

月号の「KYO−COLOR」に記事をのせたことと、3月の庶務担部長会で、法律の条文を配布して研修をおこなったということでした。

その後、意見交換が行われ、「京都市は相談体制に関して、法務局が委嘱している人権擁護委員を増やしたということだが、活動状況が委員によってまちまちであると聞く」「全国人権同和行政促進協議会が7月に国に対して予算要望を出している。京都市はそこから脱会しているが今後どうするのか」等の質問がありました。

また、差別落書きについて、今回も固有名詞を元から黒塗りにして、後に把握できない問題について、「書かれた被害者の人権を守るためにも、市は情報として責任をもって保管すべきだ」「広域(他都市等)で生じた落書き事件についても、京都市だけがわからないということでは、済まされない」等々、意見が出され「法律ができた今の現状だからこそ、課長の判断が可能なのではないか」と、秋の意見交換会への課題としました。

全体としての京都市の姿勢は、「差別解消法」の地方自治体に関わる条項の内、3つに「国との適切な役割分担」とあることを踏まえ、国の指示をまず仰ぐのだという在り方でしたが、地方分権一括法にも示されているように、上下ではない、ある種対等な機構としての地方自治体の役割があるはずです。「総点検委員会」の「行政による行政依存」という指摘を受けて、国の補助のある「隣保事業」まで返還した京都市なのですから、今こそ主体性を発揮して、現在進行形で惹起している課題、地方にしか見えない課題について、自ら対応する必要があります。

 

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部落差別の解消の推進に関する法律】

 

目的)

 第一条 この法律は、現在もなお部落差別が存在するとともに、情報化の進展に伴って部落差別に関する状況の変化が生じていることを踏まえ、全ての国民に基本的人権の享有を保障する日本国憲法の理念にのっとり、部落差別は許されないものであるとの認識の下にこれを解消することが重要な課題であることに鑑み、部落差別の解消に関し、基本理念を定め、並びに国及び地方公共団体の責務を明らかにするとともに、相談体制の充実等について定めることにより、部落差別の解消を推進し、もって部落差別のない社会を実現することを目的とする。

 

(基本理念)

 第二条 部落差別の解消に関する施策は、全ての国民が等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるものであるとの理念にのっとり、部落差別を解消する必要性に対する国民一人一人の理解を深めるよう努めることにより、部落差別のない社会を実現することを旨として、行われなければならない。

 

(国及び地方公共団体の責務)

第三条 国は、前条の基本理念にのっとり、部落差別の解消に関する施策を講ずるとともに、地方公共団体が講ずる部落差別の解消に関する施策を推進するために必要な情報の提供、指導及び助言を行う責務を有する。

 2 地方公共団体は、前条の基本理念にのっとり、部落差別の解消に関し、国との適切な役割分担を踏まえて、国及び他の地方公共団体との連携を図りつつ、その地域の実情に応じた施策を講ずるよう努めるものとする。

 

(相談体制の充実)

 第四条 国は、部落差別に関する相談に的確に応ずるための体制の充実を図るものとする。

 2 地方公共団体は、国との適切な役割分担を踏まえて、その地域の実情に応じ、部落差別に関する相談に的確に応ずるための体制の充実を図るよう努めるものとする。

 

(教育及び啓発)

 第五条 国は、部落差別を解消するため、必要な教育及び啓発を行うものとする。

 2 地方公共団体は、国との適切な役割分担を踏まえて、その地域の実情に応じ、部落差別を解消するため、必要な教育及び啓発を行うよう努めるものとする。

 

(部落差別の実態に係る調査)

 第六条 国は、部落差別の解消に関する施策の実施に資するため、地方公共団体の協力を得て、部落差別の実態に係る調査を行うものとする。

 

附則

  この法律は、公布の日から施行する。