第8回市協まちづくり部会 開催

 

 

 

719日(火)午後6時半より、部落解放センターで第8回市協まちづくり部会が開催されました。市協から13名の部員が参加し、京都市住宅室からは、野村暢すまいまちづくり課長、篠原誠一郎管理運営担当課長が出席し、意見交換を行いました。

 

 

まず、改良用地の不正常な所有実態について、これまで判明している7地区26筆について、前回までに5筆の登記が完了したと報告を受けているが、その後の進捗について質問したところ、野村課長から「養正、辰巳地区において4案件を折衝中であるが、まだ完了せず、結果としてその後の進捗はない」との回答がありました。長年に渡って放置されてきたこの問題の困難が浮き彫りになりつつ、引き続きの努力を求めました。

次に各地区のストック総合活用計画の現状について、「山ノ本地区の住宅エレベーター設置が完了したことと、楽只地区でエレベーター設置と耐震をセットとした計画がされ工事に入っている。それ以外については具体的にない」と報告がありました。それに対し宮崎議長が「各地区で住民が待っている。現在、北部、南部、崇仁と3班体制で進めているようだが、北部 の楽只地区が終わらない限り次に進めないということではなく、継続活用棟での箇所付けも可能なのではないか」と問いかけると、「継続活用棟の改良住宅エレベーター設置率は公営住宅と比べて相対的に高く、設置順位は総合的に判断する」と述べるにとどまりました。耐震・バリアフリー・浴室設置とEVはセットで進めるという方針であることが確認されましたが、スピード感をもって展開していく困難さを感じました。

 

次に、まちのにぎわいを取り戻すための、閉鎖されている店舗住宅の課題について議論されました。現在、改良住宅の店舗は、崇仁地区の41棟から、住居と店を分離した独立店舗となっている。篠原課長から「家賃は収入申告で判定され、店舗は条例別表規則の一覧で定められている。もともとの都市基盤整備事業で建てた家賃設定であり、家内内職で物販をしていた時代には、今のテナント貸という想定はなく、時代による差が生じているので、現状に合わせた制度設計をしていきたい」と説明がありました。これまでの「経過」のある店舗と、新規の店舗について同列にはできないという考え方には納得したものの、そうだとすると、改良住宅の承継問題はどうなのか、ということで、次の議題に移りました。

 

宮崎議長から「古くてもかつて家を持っていて、改良事業のために提供して住んでいる従前居住者と、一般で公募して住んでいる人と、現在、基準だけは同じにしている。この部分も配慮してしかるべきではないか。京都市は全国的に見ても厳しい基準に合わせていると、国交省も判断している。店舗では経過を尊重するなら、住宅についても配慮が可能なのではないか」と問題提起がありました。2014年、2015年に千本地区で問題になったケースを念頭に置いたものですが、篠原課長は「子どもと親とそれぞれに市営住宅に住んでいたケースと、親元に戻ったケースでは違いがある。20146月に住宅変更制度の改正をしている。住宅交換を行って名義をつけかえることで、最初のケースでは今後は解決する。2点目の介護のために親元に戻ったケースだが、改良住宅だけを1年未満にすることはできない。条例改正を求めていく必要がある」との説明がありました。店舗や駐車場は『有料付属施設』にあたり、それについては別表で使用料を定めるが、住宅居住には家賃算定の規定があり公募によるという理屈です。けれども、そもそも改良住宅であろうと公営住宅であろうと、介護を目的として親と同居した場合、その介護がいつまで続くのかは、同居した時点で計ることができないことなのであり、1年という定めを条例上変更することは可能なのではないかと問題提起があり、それについては、「制度設計上、今後想定される範囲で検討していかなければならないと思う」と答えました。多子世帯や、子育て、介護等、それぞれのケースに対応する住宅提供を国も推奨しています。「同じ団地で、近くの棟に住む。近居同居という考え方があり、その考え方を国は通達している。その制度設計については現在も研究中である」としました。

 

住宅の承継、名義については、公営住宅法の理念において、「子ども(兄弟姉妹)は、いずれ親元を離れて出て行く」ことが前提としてあるとの説明もありました。しかし、少子化、晩婚化、また生涯独身という人も増えている現状で、多様なライフスタイルに適応しつつ、柔軟な条例改正が求められます。それについては、一つの可能性として募集形態を今後研究することはありうること。また、地方の過疎化対策としての戻り入居ということも国の通達にはあるとの事例を示しました。

 

参加者からは「過疎化が進むのは田舎にかぎらない。被差別部落の過疎化も著しい」という意見、「『住み続けられるまちづくり』と言いながら、現実にはそうなっていない」「公営でも改良でも高齢化対策は必要。問題が深刻化する以前に、一歩進めて考えてほしい」等の意見が出ました。篠原課長は、「今年度中に一定の制度設計をはかって、来年度には実施できるようにがんばっていきたい。来年9月の募集にのせられたらいい」「3年前に伊藤課長が、近居同居という方法を考えたいと説明したという経過がある。近居同居は現在UR(独立行政法人都市再生機構)で実施していることから、研究が始まったが、家賃設定等で難しかった。無策で放っているわけではなく、何らかの形をとれないかと一生懸命やっているので、もう少し時間がほしい」としめくくりました。

 

宮崎議長からは「まだ具体的にはなっていないが、以前よりも検討しているということは理解できた」古谷事務局次長より「今日の議論も反映させて考えていって欲しい」と要望して、承継問題についての協議は終えました。

 

最後に、店舗の活用方法について次回の部会でのアイデアを出し合いたいと提案があり、方向性を問うと、「改良住宅の店舗付き住宅は、当時の地区住宅改良法に基づいて崇仁の1棟からはじまった。しかしその後、独立店舗の形になり、現在店舗付き住宅のほとんどは今後除却する集約棟である。残っているのは、壬生7棟、改進7棟、崇仁9棟。これらについて分割管理するとなると、トイレ用の縦配管するだけで膨大な費用がかかる。独立店舗については、営業していなければ明け渡してもらって一般募集をしていく等、今後の形態として検証している。 東九条の南岩本については工事が終わって入居が確定しているので、募集していきたい。住戸と店舗を合わせて、店舗として活用して考える方法もある」との説明がありました。この回答を踏まえて、次回また論議することを確認して部会を終えました。