総 会 宣 言 


 

 私たちは、本日ここに、市内11支部が結集して、2017年部落解放同盟京都市協議会定期総会を開催し、人の世に熱と人間に光をもたらすため、さらに奮闘することを誓い合った。
 地域改善協議会意見具申から20年が経過した昨年12月、特措法終了後、15年間の法的空白の後に、憲政史上はじめて「部落差別の解消」という文言が、法律に明記された。
 法律的裏付けが失われたことによって、あたかも「同和地区」=被差別部落がなくなったかのような対応がなされる一方で、現実的な関係性においても、また観念としての市民意識においても、厳然と部落差別は存在し続けていた。それが改めて確認されたのだ。
 部落差別の解消という名称は、同和対策事業の対象地域に収まらない、歴史的経過により差別の視線にさらされてきた少数点在の部落も対象となっている。インターネット上のリアリティを伴わない、顔の見えない相手の悪意、差別的言動は、いつ、どこから飛んできて、どのような人権侵害に進展するかわからない。教育や啓発が充分に行き渡らなかったこの十数年を経て今、我々はそういった時代に生きている。
 しかし、怖じ気づいているわけにはいかない。我々がこれまで闘ってきた道のり。水平社創立宣言にある「人間を尊敬する事によって自ら解放せんとする者の集団運動」は、水平社会の実現と人間賛歌を高らかに謳っている。その先人たちの思いをしっかりと引き継がなければならない。
 大正デモクラシーの洗礼を受けつつ、創立された水平社であるが、その後ほどなくして、日本は満州事件をきっかけとして暗黒の侵略戦争、第二次世界大戦へと突入していった。「もう二度と戦争はごめんだ」。その戒めによって、もたらされた憲法9条の平和主義が、しかし、今まさに破壊されようとしている。政権は強権的手段により、自分たちに不都合な秘密は隠し、国民、市民の内心の自由に踏み込む『共謀罪』、安保法制の成立から憲法改悪へと、あたかも戦争前夜の状況を作りあげ、私たちの人権を踏みにじろうとしている。 京都市協は、引き続き、「まちづくり」、「人権確立」、「保育・教育」の三部会を中心に、論議し学習した成果を、日常生活圏域で具体化していく。信頼し会える関係性を基軸に、さまざまなマイノリティ、人権課題に取り組む人々と相互に交流し、連帯を深め、共生・協働の社会創造をすすめていく決意である。
 この総会を契機に、京都市協に結集する全支部の団結をもって、部落完全解放と真の人間解放の社会を実現する「よき日」まで全力でたたかい続けることを、ここに宣言する。


2017年5月30日



2017年部落解放同盟京都市協議会定期総会