部落解放三大闘争に勝利するための決議



 

  私たち、部落解放同盟京都市協議会は、差別のない「共生と協働の社会創造」をめざし、部落解放三大闘争を日常闘争に結合させた取り組みを進めている。
 人権の法制度の確立、とくに人権侵害救済制度の実現に向けた闘いは、安倍政権のもと国会での論議は一向に進んでいない。1996年地対協意見具申を受け、人権擁護推進審議会を設置したのは、そもそも当時の与党自民党でありながら、そこから20年の歳月を経てなお法制定が実現しないのは、法的不作為以外の何ものでもない。日本政府は国際人権規約をはじめ、女性差別撤廃条約、子どもの権利条約、人種差別撤廃条約等々、様々な条約を締結しておきながら、それぞれの分野での法整備を十分に整えることなく、国際的非難にさらされている。その中で、障害者差別解消法がこの4月に施行されたことは、当事者運動の成果と同時に、民主党政権時の論議が産んだ一側面とも言える。
 現在、人権政策の確立を求める国民の声を無視できず、「部落差別の解消の推進に関する法律案」が上程されようとしている。ヘイトスピーチ規制法を含め、これらの個別法による外堀を埋めつつ、包括的な人権侵害救済、差別禁止の法制定を求めていこう。
 狭山の闘いは、事件発生から53年が経過し、第3次再審闘争も10年を経過しようとしている。2009年から開始されている3者協議により、証拠開示は現在185点となったが、東京高検は重要な証拠について「不見当」との回答をくりかえし、さいたま地検や県警などが隠し持っている証拠リストの開示もされていない。77歳の石川一雄さんの再審勝利が万全で揺るぎのない結果となるためにも、一日も早く事実調べを実現させ、全力で闘いをすすめよう。
 立憲主義をないがしろにし、横暴な政治運営をする現政権の姿勢は、社会の倫理観さえ失わせることになる。昨年は「部落地名総鑑」40年であったが、この4月、亡霊のごとくその復刻版が鳥取ループ・示現社より発売されるという情報がネット上に掲載された。発行者はそれが人権侵害にあたることさえ想像できないのだ。私たち一人一人がこうした差別、排外主義を許さず、個人の尊厳を守るために、戸籍等不正取得に抗する闘いである「事前登録型本人通知制度」の登録数を増やす取り組みを強化していこう。
 部落解放の闘いは、人間解放の闘いである。厳しい状況であるからこそ、真に希求される理想を求め、一人ひとりの主体的力量を高め、部落解放三大闘争の勝利をめざして闘うことを確認し、ここに決議する。


2016年5月16日
                                                                              2016年部落解放同盟京都市協議会定期総会