部落解放三大闘争に勝利するための決議(案)



 

 私たち、部落解放同盟京都市協議会は、差別のない「共生と協働の社会創造」をめざし、部落解放三大闘争を日常闘争に結合させた取り組みを進めている。

 人権の法制度の確立、とくに人権侵害救済制度の実現に向けた闘いは、厳しい道のりが続いている。このように人権課題に対して過度に冷淡な姿勢こそが、戦争を遂行しようとする安倍政権の本質を表していると言える。かつての戦争末期において、日韓併合、日中戦争をはじめ、アジアの人々に対しどれほどの人権侵害が行われたか。また女性の性を収奪する「従軍慰安婦」を設置した軍隊が、どれほどの痛みをもたらしたことか。そうした事実を隠蔽し、なかったことにさえしようとする歴史修正主義を思想的背景とするところに、現政権の真の危険性が潜んでいる。私たちの人権侵害救済に向けた取り組みは、こうした方向性を、なんとしても阻止する闘いでもあり、この灯火を決して消してはならない。平和を守る闘いと、この人権確立の闘いを連動させつつ、取り組を強化しよう。

 狭山の闘いは、事件発生から52年が経過し、かつてない最大の山場を迎えようとしている。2009年から開始されている3者協議により、証拠開示は現在165点になり、自白の疑問や証拠のねつ造がつぎつぎと明らかになっている。今年1月には東京高検にあるすべての証拠物リストも開示された。これらをバネにして今年こそ事実調べを実現させ、再審開始を強く求めよう。冤罪被害者や支援運動と連帯し、公正な証拠開示制度の確立、取り調べ全面可視化を実現し、石川さんの見えない手錠をはずすべく、狭山再審闘争の勝利に向けて、全力で闘いをすすめよう。

 憲法改悪をもくろみ、「戦争をする国」づくりを推し進める安倍政権は、防衛費を増大させる一方で、消費税増税と社会補償費の削減、「労働基準法」や「派遣労働法」などの改悪を進めている。その政策は、格差や貧困を拡大し固定化させようとするものであり、社会の閉塞感は強まっている。そのような状況で、戸籍等不正取得事件や土地問い合わせ差別事件、マスコミや宗教界での差別事件やインターネット上の差別情報の氾濫など、人権侵害はあとを絶たない。「部落地名総鑑」発覚40年にあたり、差別を許さない、見逃さないという一人ひとりの人権感覚を研ぎ澄ませていかなければならない。

 戸籍不正取得に抗する闘いである「事前登録型本人通知制度」を活用し、登録数を増やす取り組みをまずは足下から展開していこう。

 部落解放の闘いは、人間解放の闘いである。厳しい状況であるからこそ、真に希求される理想を求め、一人ひとりの主体的力量を高め、部落解放三大闘争の勝利をめざして闘うことを確認し、ここに決議する。

 

 

2015年5月28日

2015年部落解放同盟京都市協議会定期総会