福祉と人権の拠点へ!

 

特別養護老人ホームの「うずまさ共生の郷」竣工式

 

417日(月)午後130分より、特別養護老人ホーム「うずまさ共生の郷」の竣工式が、京都市長をはじめ京都市会より教育福祉委員会所属議員や、国会議員、福祉関係者、施行関係者等、多くの来賓が参加し開催されました。

西島藤彦理事長は、挨拶の中で、「この施設を福祉と人権の拠点として太秦の地でしっかりと根をはり、地域住民との交流をはじめ手話の普及、地元の児童生徒たちの生涯学習と交流の場として活用していただきたい」と述べました。

 

いま、我が国の高齢化率は世界で類を見ない早さで進行し、府内の高齢化率は26.9%、市内では26%強となっています。人口構造が大きく変化する中、住み慣れた地域で安心して暮らせるように在宅支援や福祉施設の基盤整備が進められていますが、必ずしも充分とはいえません。特に、京都市内では身体に障害のある約六割の方が70歳以上の高齢者であり、その対応は喫緊の課題でもあります。

他方、2006年に国連障害者権利条約の批准に向け、国内でも20136月に「障害者差別解消法」が制定、昨年4月から施行されました。「合理的配慮の提供」並びに「不均等待遇の是正」が謳われ、京都市では「手話言語条例」も制定されました。また人権に関わり、6月には「ヘイトスピーチ対策法」、12月には「部落差別解消推進法」などが制定されています。このように様々な法整備が推進されつつも、なお残された課題も山積しています。

 

なかでも、聴覚障がい高齢者は、入所申請をしても、手話通訳の人的配置が極めて少ないため、職員と十分なコミュニケーションができないなどの理由により、介護保険の制度外に置かれている現状があります。同様に、読み書き等が十分にできない「同和」地区の高齢者や在日外国人高齢者などにとっても意思疎通を十分にできない困難があります。

私たちは、このような様々な社会的背景(ハンディ)のある人々が安心して老後をいきいきと暮らせる複合的施設の整備を行うことにより、地域福祉の増進を図ると同時に、施設で働く新しい労働力を確保することで、若年層並びに障害のある人等の雇用創出を図り、真に福祉で人権のまちづくりを推進するため、検討を進めてきました。

部落解放同盟京都府連合会が呼びかけ人となり、社会福祉・医療関係者の他、企業、大学、行政OB等各界各層の方々の賛同を得て、20139月に第一回賛同人会議を行い、予定地を改進地区、田中地区、国有地、旧右京区役所跡地などを候補として選定しました。その後資金や運営面などを協議し、「京都市資産有効活用市民等提案制度」を活用することを決定。候補地も旧右京区役所跡地の太秦にしぼり、プレゼン等各種審査を経て、20151020日に私たちの提案が採用されました。昨年6月には「社会福祉法人京都紫明福祉会」が認可され、同年7月から着工しました。構想からオープンまで約5年有余の歳月を経てこの4月に完成。聴覚障がい者の特性を考慮して、光による誘導装置の設置や細部にわたり高齢者にやさしい施設となっています。

 

特養80床(内聴覚障害者10床)、ショートステイ10床、全個室のユニットタイプです。

竣工式を終え、週末にかけて行われた内覧会にも、300人を超す来場者が引きも切らず訪れました。