第54回人権交流京都市研究集会

 

「人権の21世紀」に込められた思いを再考し

1人1人が担う共生・協働の社会創造を!

 

 

54回人権交流京都市研究集会が225日、京都市左京区のロームシアター京都サウスホール他で開催されました。昨年、一昨年に引き続くウェブ同時配信の開催で、会場370人、ウェブ視聴80人、合計450人の参加者により午前の全体会、午後の3つの分科会で熱心な学習と討議がおこなわれました。

 全体会の冒頭、安田知史実行委員長(京都市立中学校教育研究会人権教育部会)があいさつ。「弥栄中学に赴任した約30年前からこの集会に関わってきました。人権劇で〈差別者〉を熱演して『憎たらしい』と言われたことも」と思い出を語り、コロナ禍がさまざまな立場の人びとに孤立を強いる中、〈交流〉を重んじ、中止せず回を重ねてきた同集会の意義を強調しました。

 解放同盟京都府連の平井斉己書記長は来賓としてあいさつしました。同集会が久しぶりに岡崎で開催されることに「水平社創立の地でもあり、感慨深いものがあります」と述べました。次いで京都府から益田結花府民環境部長が知事メッセージを代読、京都市から古川真文文化市民局長が市長の祝辞の代読をおこないました。

 基調提案は解放同盟京都市協の中村詠吉さんと京都市小学校同和教育研究会の須賀みつきさんが担当。中村さんは、国内外の人権状況が厳しさを増しているいまこそ、「人権の21世紀」は自分たちが担っているとの自負をもつべきと訴えました。中村さん自身、「差別に負けない」という願いを次世代へつなぐため、小学生の子どもに部落出身者としての思いを語り伝えたといいます。一方、須賀さんは「心の差別が横行した時代へ逆戻りする」ことが危惧されているとして、同和教育の理念を継承する重要性を指摘。水平社宣言から1世紀、なお解消しない部落差別などの課題を見直し、「新たな同和教育のスタートを」と呼びかけました。

 続いて集会宣言を千本支部から小林宏美さんより提案され、参加者全員の拍手をもって採択されました。

 

休憩をはさみ全体集会では、記念講演に先立ち、夜間中学校のドキュメンタリー「こんばんはU」が上映されました。続いて、「教育保障を全ての人に平等に〜自主夜間中学の取組から」と題し、元文部科学事務次官の前川喜平さんが記念講演をおこないました。

現在は教育行政に物申す立場の前川さんが示したのは、2020年国勢調査で判明した義務教育未修了者数。89万9千人。「この数は日本の義務教育制度の失敗を示しており、責任は、かつて在職した私自身も含む文科省にあります」。しかも内訳は女性が7割強。「女は学校なんか行かなくていい、という観念の反映です」。80年代後半以降は、不登校生徒に卒業証書を出す「形式卒業」が一般化し、事実上の未就学者が修学者に計上されるケースも少なくありません。「学ぶことは人権」。にもかかわらず、義務教育=無償普通教育がすべての人に保障されていない現実があり、「だからこそ夜間学校が必要」と前川さんは訴えます。

 前川さんが初等中等教育局長だった2014年、国会議員が立法化に動きました。形式卒業生にも夜間中学入学が認められるようになり、16年、教育機会確保法が成立。その後各都道府県で公立夜間学校の設置が進められていますが、課題も多いといいます。「夜間学校は学びのセーフティネット。日本語教育や識字教育も提供すべきですが、日本語・識字学習希望者は排除される傾向が見られます。大切なのは『来る者は拒まず』です」。

 そんな中、注目しているのが自主夜間学校。「公立夜間学校を代替し、生涯学習の場にもなります」とその役割に期待を寄せました。

 

午後からの分科会は、3つの分科会が実施されました。

第1=部落と人権(ロームシアター京都サウスホール)、第2=多文化共生と教育(国際交流会館研修室)、第3=フィールドワーク(東三条地区)で、参加者はそれぞれ課題を共有し、学びを深めました。