集 会 宣 言 ()

 

 私たちの集会は一つ一つ、着実に回を重ね、部落解放研究京都市集会の積み上げも含め、今年で49回を数えました。来年の集会はいよいよ第50回となります。長い年月を、多くの人々の努力とともに、差別の解消に向けて取り組んできました。けれども、私たちを取り巻く状況は、かつて理想とした状況とは、まだまだかけ離れているというのが実感です。

 差別の解消は、ただ一つの課題が突出して成し遂げられるものではありません。女性差別、障害者差別、民族差別、子どもへの差別、部落差別…。それぞれの課題において歴史的、文化的経過や境遇に固有性があります。しかし、どのような違いも、差別と結び付けられてはならず、むしろ違いを尊敬し、理解しあいながら、社会全体として人権の底上げがなされなければなりません。国連主導の世界会議、人権条約等によって、世界人権宣言から70年の努力は、少しずつ報われていると言えるでしょう。

 だからこそ、この日本の状況と世界の潮流の間には、大きなギャップが生じているという事実に、危機感を抱かざるを得ません。人権にかかわる統計や指数で示される日本の順位はむしろ低下し、例えば、報道の自由度ランクでは、特定秘密保護法を成立させた2016年には180か国中72位へと一気に後退しました。女性の地位も111位とじわじわと低下しています。逆行するその流れを食い止めるためには、この間成立した「障害者差別解消法」「ヘイトスピーチ対策法」「部落差別解消推進法」いわゆる人権3法の実効性を担保し、人権委員会の設置を含む人権侵害救済法の成立につなげていけなければなりません。

 世界中で望まれる大きな理想に背を向け、自分たちの国が特別だとする態度、それこそを慎むべきだというのが、先の戦争の教訓だったはずです。その教訓を生かし、次の世代に繋げていきましょう。

 自由にのびやかに、誰もが支えあい生きていける社会をめざし、すぐ傍らにいる人の痛みにも寄り添いながら、私たちは、共生・協働の社会創造に向けこれからも歩んでいきます。

 

 

 

2018年2月24

 

49回人権交流京都市研究集会 参加者一同