第53回人権交流京都市研究集会

 

水平社100年の本年…あらためて

〜人と人とのつながりを求めて〜

 

  第53回人権交流京都市研究集会が223日、京都市南区の京都テルサで開催されました。昨年に引き続くウェブの同時配信と並行しての開催で、会場340人、ウェブ視聴90人、合計420人の参加者が集いました。

 午前はテルサホールで全体会がおこなわれ、大西一幸実行委員長(京都市小学校同和教育研究会)が主催者あいさつをおこないました。1970年に産声をあげた本集会は地域ぐるみ市民ぐるみでつくりあげてきた人権集会であること。本年33日は全国水平社創立100年の節目を迎えるが、小学校でも6年の社会科に記述があり、それに関わり昨年12月に授業があり『どうしたら差別をなくすことができるか』という問いかけに子どもたちは一生懸命考え答えていたこと。そして「私たちの人権に対する熱い思いをこの後の、基調提案、集会宣言、『映画 かば』の上映をもとに午後への分科会へつなげ、交流、相互理解連帯を深め、実りある集会になるようお願いしたい」と述べました。

 来賓あいさつとして、はじめに部落解放同盟京都府連合会から平井斉己書記長が挨拶。部落問題や同和研修の継承が大事だと述べました。続いて、京都府から益田結花府民環境部長が知事メッセージの代読、コロナ禍において複雑多様化する人権侵害について共に積極的に取り組んでいきたいと述べました。京都市から古川真文文化市民局長が市長メッセージの代読をおこない、匿名での投稿が可能なSNSでは誰もが被害者にも加害者にもなりうるのであり、自分事として人権問題に向き合うことが大切との言葉をいただきました。

  基調提案は筒井昭佳さん(西三条支部)と小西将三さん(京都市中学校教育研究会人権部会)がおこないました。筒井さんは、水平社100年の時代背景と現在の外交政策を、特に朝鮮半島との関係を重点課題として述べ、沖縄復帰50年という節目とも重ねつつ、歴史修正主義を乗り越えて「共生・協働の社会創造」へ向け歩みたいと提案。小西さんは、コロナ禍における学校現場の状況と、小・中の人権教育集会でまとめられた様々な世代の教員の言葉から、差別を克服するときの子どもたちとの向き合い方について提案しました。

 続いて、集会宣言(案)を、部落解放同盟京都市協議会女性部の小笹道子さんが読み上げ、参加者全員の拍手をもって採択されました。

  休憩をはさみ、映画「かば〜西成を生きた教師と生徒ら〜」の上映をおこないました。日本社会における、様々な差別や矛盾、貧困や困難にさらされる子どもたちの姿を様々な角度から、啓発やきれいごとでは収まりきらない、「エンターテインメント」として描き出した映画であり、135分という長丁場でありながら、最後までひきつけられ、会場では時にすすり泣く気配もありました。

 

 午後からの分科会は、第1に「部落の歴史」、第2に「同和問題と多文化共生」と、大きく二つの分科会を設けました。第1分科会では「水平社宣言と日本国憲法をつなぐ」をサブタイトルとし、今年もじんけんSCHOLA共同代表の上杉聡さんが、宣言のキーワードである「尊敬する」と日本国憲法の「基本的人権」との関係性について講演しました。

 第2分科会は、テルサホールで「〜映画『かば』に描かれた実在の教師の姿が問いかけるもの〜」と題し、前半に『かば』製作総指揮・原作・脚本・監督をてがけた川本貴弘さんご本人と、出演女優であるさくら若菜さんのトークセッションを中人研の李大佑さんの司会で行い、後半は教師、在日、女性等様々な立場の方々によるパネルディスカッションが展開され、映画での問題提起をより深め、参加者と共有しました。