第51回人権交流京都市研究集会

 

多文化共生社会の実現へ

 

 基調提案 「教育の結晶」への思いも

 

 第51回人権交流京都市研究集会が2月22日、大谷大学で開催されました。主催は同実行委員会。同盟員や行政・教育関係者、共闘関係者、市民など450人が参加し、「めざそう!共生・協働の社会創造」のスローガンのもと、全体会と分科会で学習し、議論を深めました。

 午前は全体会がおこなわれ、村井一成実行委員長(京都市職員部落問題研究会)が主催者あいさつ。「本集会は昨年50回の節目を迎えました。半世紀にわたる取り組みの意義と重みを振り返り、人権を尊重し差別を許さない思いを受け継いでいく。悪質な差別はなくなっていない。社会に広がる不安や不満が弱者にむけられている。包括的な人権侵害救済法を求めていく必要がある。本集会で充実した議論を」とのべた。

 来賓からは京都府連の平井斉己書記長があいさつし「部落だけでなく周辺地域を巻きこんだまちづくりへむけた交流と議論を」と期待をのべました。つづいて京都府の大谷学府民環境部長と京都市の別府正広文化市民局長が、それぞれ知事と市長のメッセージを代読しました。

 基調提案は西田信彦さん(久世支部)と李大佑さん(京都市立中学校教育研究会人権教育部会)がおこないました。西田さんは、天皇代替わりで顕在化した戦前回帰の風潮、侵略戦争への反省を見失った排外主義の蔓延、外国人労働者の人権状況悪化を招きかねない「新入管法」施行などの問題点を指摘し、真の多文化共生社会を実現するため、部落解放運動や地域のまちづくり運動を通じて私たちに何ができるかを提起しました。

 李さんは、人権教育の現状と課題にふれた後、自身の父親について語りました。李さんの父は在日朝鮮人2世。貧しい生活のなか、勉強が好きだった父は小学3年生のとき、担任教員がそれを認めてくれたのを励みに「勉強をがんばりたい」という気持ちを強く持ちました。その後も良い教員との出会いに恵まれ、中学3年のときの担任には「祖国と日本の間を良くする人になってほしい」と言われたといいます。大人になってからは苦労を重ねた父だが「僕の可能性を、見いだしてくれたのも広げてくれたのも学校の先生たち」と振り返る。そんな父の子である自分が中学教員になったのも「長い歳月をかけた教育の結晶」。李さんは感極まって声を詰まらせながら強調しました。

 集会宣言を筒井麻美さん(西三条支部)が提案。つづいて『みんなの学校』が記念上映され、午後は5つの分科会で討議しました。