2017年 市協議長新年挨拶

 

 

 

新年明けましておめでとうございます。

 

 2002年3月末で同対法が失効した後、京都市をはじめ一部自治体では「同和」地区に対する急変的対応を行い、現状は地区周辺の開発とは反比例して地区内では空き地、使用されない施設、老朽化と狭隘化した住宅に小動物がさまよう光景が顕著に見られ環境等も大きく悪化しています。また、重要だと言われている教育、啓発、交流事業などは年々予算が削減され、事業の縮小を余儀なくさせられています。部落問題、ヘイトスピーチ、障害者問題などの差別実態から目をそむけ、形式的な啓発・研修に終わっていると言っても過言ではありません。

特に、ネット上では「部落地名総鑑」や解放同盟役員一覧なるものが公然と公表されるなど差別的な内容が氾濫しています。さらに、子ども達がスマホなどで自分が住んでいる市町に「同和」地区があるか、そこはどこか、それは誰かなど身近にネット検索している現実があります。法失効後も取組が進められてきた自治体や教育現場では社会問題化しつつあります。現実を十分に理解していない研修や啓発では市民ひとり一人の人権は守られません。このような人権侵害が後を絶たない背景を数次の国会議員要請や政府各省交渉などによって、法的整備の必要性が国会で論議になりました。去る12月9日、第190回臨時国会の参議院本会議において「部落差別の解消の推進に関する法律」が可決・成立しました。

法律の理念でもある「部落差別は社会悪である」ことを訴える運動を通して差別なき社会を目指していきたいと思います。

 さらには、障害者差別解消法、ヘイトスピーチ対策法、部落差別解消推進法制定を勝ち取った力をLGBT法案をはじめ人権個別法の制定を目指し、人権侵害救済法を求める闘いへ再構築していく決意であります。

他方、狭山第三次再審闘争も狭山弁護団や支援団体などの地道な活動によって、これまで186点の証拠開示を勝ち取り、石川一雄さんの無実を明らかにした決定的な新証拠が出て、東京高裁・東京高検を追い詰めています。今年で石川一雄さんも七八歳をむかえ、第三次再審請求から11年目に入り、今年は東京高裁が何らかの判断が出される重大な年でもあり、元気な間に何としても無罪判決を勝ち取らなければなりません。

四月には、人権を視座とした特別養護老人ホーム「うずまさ共生の郷」が開所する予定であります。京都の部落解放運動史上はじめて社会福祉施設を整備して社会貢献と人権のまちづくりを目指した運営を協働で進めていきます。京都市協では、雇用の創出や地域交流、ボランティア活動を積極的に取り組んでいきたいと思います。

これまで培ってきた運動の成果と先人が築き上げてきた歴史を重く受け止めて、今年も11支部が統一と団結を固め、差別のない「良き日をめざして」闘う決意をしまして新年の挨拶とします。

 

 

部落解放同盟京都市協議会

議  長  宮 崎  茂