2021年

部落解放同盟京都市協議会議長 新年挨拶

 

 

 

 新年明けましておめでとうございます。

 昨年は、新型コロナウイルスという、見えない「敵」との戦いで、誰もが不安と恐怖を抱え、日常生活が一変した年でした。その渦中で医療や介護等の現場では、感染への不安を抱えながら懸命に従事されている関係者がおられます。ところが、使命感を持って従事している関係者に中傷・誹謗を浴びせ、さらにはその家族等に対しても「コロナ差別」をするという許し難い事実が起こっています。不安や恐怖のはけ口に差別意識が露呈するのは、部落差別の事象と同様であります。改めて新型コロナウイルスの正しい理解と知識の醸成と人権尊重の意識高揚にむけた研修・啓発の重要性を痛感しました。

さて、今年は全国水平社創立100周年が約1年後に迫り、これまでの部落解放運動を総括して、新たな部落解放運動の方向性を確立する年にするため2点の取り組みを重点に進めていく決意であります。

 1点目は、私が20115月、市協議長に就任して10年をむかえます。この間、「福祉で人権のまちづくり運動」を提唱して「まちづくり部会」「教育・保育部会」「人権確立部会」の市協三部会を市協活動の大きな柱として取り組んできました。「まちづくり部会」では特に、老朽化した各地区の改良住宅の建て替えを進めるため、土地の未登記問題の解決、賑わいや活力をつくり子育て世代が住みつく近居入居制度、特別公共賃貸住宅制度などの一般施策を取り入れた研究を進めてきました。また、「人権確立部会」では、第三者による他人の戸籍や住民票等の不正取得を防止することを目的に「事前登録型本人通知制度」の創設、差別事件を隠さず全庁内に共有化したガイドラインの見直しなど一定の成果をあげてきました。他方、残された課題は山積しており、インターネット上の差別書き込みや鳥取ループ・示現者による部落地名総鑑復刻版の掲載、就職面接時の戸籍謄本の提出や社用紙による履歴書の書き換え強要などの人権侵害。京都市教職員の意識調査に向けた要請。市民意識調査結果を分析して、有効な啓発のあり方を追求すること。さらに19908月に市内で発見された差別墓石を手掛かりに、差別戒名・法名をつけられた部落民の供養にむけた取り組み。等々、解決されるべき多くの課題に、真摯に向き合っていきたいと思います。

 2点目は、今年中にある衆議院選挙への取り組みです。前政権を継承する管内閣は自民党の密室でつくられた政権であり、国民の信託を受けていません。人権に関する分野については、非常に消極的姿勢でオリンピック・パラリンピックを開催する国として最低のポーズをつくっているに過ぎません。私たちは、包括的な人権に関する法整備を求め、さらには「LGBTQ法案」や「手話言語法案」などの早期成立にむけて取り組んで行く必要があります。

同時に、国民意識調査結果を踏まえた部落差別解消推進法の具体化を図るためにも、人権、環境、反戦・平和を享受する予定候補者を推薦し、各界の団体や市民と連帯して選挙闘争の勝利にむけて全力で取り組むことを決意して新年のご挨拶とさせていただきます。

 

部落解放同盟京都市協議会

議  長  宮 崎  茂