2019年 京都市表敬訪問

 

 

  

 部落解放同盟京都市協議会は、18日京都市へ表敬訪問し、市協役員、支部長等13人が参加しました。京都市は村上圭子副市長、吉田良比呂文化市民局長、土井保志くらし安全推進部長らが応じました。

村上光行事務局長の司会進行のもと、それぞれ自己紹し、宮崎茂市協議長があいさつをしました。

「昨年は世界人権宣言70周年、京都市は自由都市宣言40年ということで大きな節目を迎え、様々な協力を得て、特にヘイトスピーチを許さないガイドラインを京都府、京都市でつくっていただいた。京都の運動が全国を引っ張っているが、その協力をいただいている。

 私からは、3点申し上げたい。

 同和対策特別措置法が施行されて、今年で50年。3年後に、水平社創立100年ということで、その半分は法律のない時代での運動であった。半分は法律を大きな武器として環境改善事業を取り組んできたということ。私は65歳になったが、中学2年くらいのとき同和対策事業で、やっと自分の家に、水道やトイレがある。それまでは共同水道、共同便所。雨が降ったら夜寝られないくらい雨漏りがする、不良住宅の中から、改良住宅ができて、喜んだのが50年前だった。50年たったということは、裏返せば、老朽化し住宅環境が非常に劣悪に戻りつつある中で、財政が厳しい状況だということは重々分かったうえで、自分たちの地域は自分たちで考えていこうと。それは、40年前に京都市が同和対策総合計画をつくって、地区施設を整備してきた。京都市のペースで進めてきたが、住宅だけは自分たちがいまだに住んでいる。他の施設は転用されたり、違う方法で使われているので、それはそれで一つの考え方だと思うが、住宅を何とかまちづくりの中で進めていきたいということで、今年1年間、形をつくって、3年後の全水100年には、自分たちの「ムラ自慢、支部自慢」をつくっていくべきだと考えている。

 2点目は、奨学金の問題で、5年に1度の免除申請で、今年が3回目の申請となる。年月が経つと、しんどい人がしぼられてくる。それなりに所得のある人も現実にはいるし、丁寧な説明をしていかないと部落を隠さざるを得ない社会状況の中で、一定大企業に勤めて、それなりの立場にあるが、親が亡くなったなどの事情で、突然、同和奨学金の借受者であると通知が来るなどがありえる。新年度からの人事では、人権意識の高い職員さんの配置をお願いしたい。

 3点目は、平井書記長が今年選挙の年。12年に1度、参議院選挙と統一地方選挙がかぶる年なので、ちょうど、平井議員の3選というのは解放同盟にとって、京都市協にとって大事な選挙です。また、市会議員、府会議員の選挙もしっかりやっていこうと考えている」

  次に、京都府連を代表して、平井斉己書記長があいさつしました。

 「昨年度のヘイトスピーチガイドラインをまとめていただいたこと、府、市が整い、他の自治体にも広げていこうということで進んでいます。これも、京都市での実現が大きかった。また、人権3法が成立し、障害者問題、ヘイトスピーチ、私たちの解消法、これまで差別される側の人をどう擁護するのかという話から、反対側の『してしまう』人たちのための法律だと思っている。社会において差別行為はだめなんだ立場を、各自治体でどのように表明していくか。大きな所帯であるところの京都市なので、しっかり市協と連携して進めていただきたい。

 日頃から、市協での3部会ということで、福祉やまちづくり、教育について協議していただいていることに感謝したい。ただし、まちづくりでは様々な地域課題がある中で、民間活用や、地区施設の転用、隣保館の在り方についても、我々にとっては不本意でありながら、民間活用を進めてきた。その前提としては、しっかり地域の活力を生かしていくとの方向性があったと思う。それを11地区に広げるんだということを話した記憶があるが、残念ながらそうしたことが進んでいない現状で、今後どうしていくのか十分議論いただきたい。かつてのように、隣保館を復活するということだけでなく、やはり、人権文化の息づくまちづくりの拠点にすると位置付けた役割について議論いただくことを願いしたい。行政と運動は、同じ立ち位置で目指すことは一緒だと思う。ルートやスピード感が若干ちがうかもしれないが共に進んでいきたい」

  次に、土井部長から京都市側の紹介がおこなわれ、村上副市長が挨拶をしました。

「昨年の成果についてご紹介いただいたが、私どもの方も皆様方としっかりお話する中で、人権文化の根付く京都市の達成に向けて、できるかぎりのことをしてきたと自負しているし、新しい年に向けても、この成果をしっかり生かしていきたい。京都市は、何しろ財政も厳しいし、人員についても厳しいところではあるが、その中で大事なことを優先順位をつけて、しっかり取り組んでいく。ヘイトスピーチの話も出たが、今また、日韓の関係が少し厳しくなっている中で、足元のところで無用な差別行為がおこらないように、一緒になって気を付けていかなければならない。そのためにも、ガイドラインを作っておいて、本当によかったと思う。これはヘイトスピーチについては許せないという門川市長の強い思いもあって、真剣に検討してきたところだ。人権が大事だということは、京都市職員それぞれ思っている。ただ、昔の経過等が、だんだん職員が交代していく中で、わからなくなっていく。これをしっかり踏まえて、もう一度考えて、取り組んでいきたい。

 宮崎議長が話した問題点についても、担当課としっかり相談しながら当事者の思いを大事にしながら進めていきたい。京都市のこれからの課題を申し上げると、一つは、レジリエントシティということで持続可能な取り組みをしていかなければならない。財政的にも人的にも、将来少子高齢化という社会の流れも踏まえて持続可能にしなければならない。SDG‘sも全く同じで、誰一人取り残さないとされている。だんだん人が少なくなっていく中で、こぼれる人をなくしていこう。しっかりとみんなを救っていこうと。これの一番大事なところが、人権意識ではないかと思っている。同じ目的にむかって、しっかりと進めていきたいと思う。皆様と議論をしながら、進めていきたいと思いますので、新しい年もよろしくお願いします。平井書記長の健闘もお祈りしています。」

   その後懇談にうつり若干のやり取りがありました。 

宮崎:部落差別解消推進法に基づいて、いよいよ、新年度から国民の意識調査がはじまる。サンプルは1万人くらいだそうで、全国に割り振るとそれぞれの自治体ではそれほど多くはない。京都市にあてはめたら、ひょっとすると200人から300人くらいしかない。全国的な把握はそれでOKらしいが、京都府内にとっては、それで本当に意識調査になるのかということで、先日京都府連と京都府との交渉で、京都府は独自に意識調査を考えていきたいと表明した。おそらく、その場合京都市を除いてということにはならないと思うので、また、府の方からアプローチがあるかもしれない。ぜひ協力をお願いしたい。今回の国の調査は、人権一般の意識調査ではなく部落差別に特化したもの。解消法に基づく実態調査なので、今年秋くらいから動き出す取り組み化と思う。

 

吉田:今まだ、京都府からそういった調査についての話は聞いていないが、我々、府市協調ということで、二重行政だけではなく、さらに進化をしていくということで市長と知事も話をしているので、今の調査も京都市独自とか、京都市を除く市町村とかいう形ではなく、トータル的にどうするのがいいか、話をさせていただきたい。また京都市もちょうど今、意識調査もやっているので、けっこう重なる部分もあるのかなと思う。国の調査の内容も把握していきたい。

 宮崎:今の解放同盟は、部落差別だけでなく、人権3法で考えている。次にLGBTや様々な課題についても部落解放同盟が積極的に取り組んでいこうと。例えばヘイトスピーチ解消法ができても、仮に私たちが何も言わなければ、ガイドラインに結び付かなかったのではないかと思う。他の課題にも向き合っていこうと考えている。

 川瀬:私は、部落差別解消推進法ができたのは、画期的だと思っている。部落差別の問題は、非常にネガティブで、人権は大切だが、差別についてはアンタッチャブルだとイメージされがちだった。それが、今回の法律が成立し、もっとフランクに出していくべきなのかと思うようになった。先日インターネットのアメバTVでは、部落問題を楽し、堂々と放送して、多くの人が見た。あれを見たら共感する人がいっぱいいると思う。市民のみなさんには、そういった形で広げていくのも一つかなと思う。

 村上副市長:知らないということが、一番人と人を遠ざけるのではないかと思う。そういう点で、啓発事業をしていくが、先ほどの調査も、それに基づいて次のアクションが重要かと思う。

 以上のやりとりを終え、若干の時間を経過しつつ、表敬訪問を終えていきました。