2019年 

部落解放同盟京都市協議会議長 新年挨拶

 

  新年明けましておめでとうございます。

昨年は、世界人権宣言70周年の節目の年とし、京都市や各団体などにおいては様々な取り組みがなされてきました。なかでもヘイトスピーチやヘイトクライムは許さないという姿勢を示した、「公の施設使用に制限を設けたガイドライン」を京都府・京都市が先行して制定したこと。またそれを受けて府内の自治体でも同様の「ガイドライン」が設けられ人権尊重のまちとして大きな前進をみたことは、「障害者差別解消推進法」「ヘイトスピーチ解消法」「部落差別解消推進法」の人権三法の理念を具体化するうえで大きな成果を生みました。

さて、今年も私たちにとって節目となる点が二つあります。

 1点目は、1969年(昭和44年)「同和対策事業特別措置法」が公布・施行されて50年を迎えたことです。当時の市内の同和地区は、共同水道、共同便所、生活困窮世帯、高校進学率の低さ、多くの不安定就労者などの厳しい生活実態がありました。法的根拠を得て、各地では改良住宅の建設が始まり、次々と整備される住宅にトイレや台所が設置されていることへの喜びの声が、あちこちの住戸から聞こえてきました。

  環境改善事業は、1979年の「各地区総合計画」を勝ち取ることによって、各地区に体育館、保健所分室、診療所、児童館、学習センター、福祉センターなどの地区施設が整備され、住環境は大きく改善されました。しかし50年が経過した今日では、老朽化と狭隘化が著しく、住宅には管理戸数の半分程度の世帯しか入居していません。また地区施設は、用途変更や閉鎖などにより閑散としたまちに変貌しています。

 市協はこれまでから、「ムラ自慢、支部自慢」運動の展開を訴えてきました。それは、自分たちの地域を自分たちの創意と住民の結集によって新たなまちづくりを展開する取り組みであります。そこでは、障がいのある人や高齢者、ひとり親家庭、生活困窮者などの立場の弱い人に寄り添った「地域共生社会の実現」と、人権三法の理念を据えたものにしていかなければなりません。

 2点目の節目は、人権交流研究京都市集会が50回目を迎えることです。発足時は「部落問題をみんなのものに!」をテーマに「部落解放研究京都市集会」としてスタートし、運動、教育、行政の分野で研究発表がされていました。部落問題や人権課題をテーマした地域研究集会としては、最も古い集会であります。来月23日に開催する「第50回人権交流研究京都市集会」は、半世紀の歩みと全国水平社創立100周年を3年後に控えた取り組みとして企画しています。

 部落問題を取り巻く状況は、地区の改善はされたものの差別の解消までには至らず、今日においては新たなスラム化が進んでいます。同時に部落差別は根強く残り、インターネット上や部落問合せ、土地差別事件などが後を絶たず、社会が私たちを見る眼差しが生きづらさを感じさせる現実があります。

 この集会を通して、先輩諸氏が築き上げた節目の「集会」を、あらゆる差別の撤廃につなげていきたいと考えます。また、その諸先輩方の意思を引き継ぐ責任ある者として、部落差別をはじめ様々な人権課題に取り組む法制定と「人権侵害救済法」の制定にむけて今年も全力で取り組む決意であります。

 最後に、4月に予定されている「統一自治体選挙」と7月の「第25回参議院議員通常選挙」闘争の重要性について述べます。私たちの組織内候補者である平井としき府会議員の3期目の当選を、何としてでも勝ち取らなければなりません。私たちの政策を実現させるために議会は大きな鍵となり、そのため、私たちの声を反映させていただける議員を応援することは至極当然であります。その基準は議員が「何を言ったかでなく、何をしたか」をもって見極めたいと考えています。友好政党の公認だから推薦ありきではありません。私たちは、部落解放共闘会議のメンバーや市民団体等と連携して、様々な政党候補者を推薦して必勝に取り組みます。

 こうした課題を念頭におき、今年も市内11支部の兄弟姉妹の仲間と力を合わせて差別のない「よき日」にむけて闘うことを決意して、新年のあいさつとさせていただきます。

 

 

部落解放同盟京都市協議会

議  長  宮 崎  茂