大会決議

 

 

 多くの憲法学者のみならず、歴代の内閣法制局長官や、元最高裁長官までもが「違憲」と発言した安全保障関連法が成立し、この国の在り方が大きく舵をきろうとしている。二度と戦争をしないと誓った敗戦の教訓から、70年という時を経て、ふたたび「戦争のできる国」への政策転換が進行している。
 ただし、この危険な方向性は多くの人々、特に若い世代の人々に重大な影響を与えるがゆえに、広範な市民を立ち上がらせた。「戦争をさせない。憲法を守れ」という大きな声が国会周辺でも、地方でも、ここ京都でもわき起こり、一人一人がその意思を表明した。
 戦争の姿は、現在、科学兵器の発達と、世界のグローバル化により、軍隊と軍隊の衝突であるよりも、無辜の市民を巻き添えに殺戮する、非人道的な大量殺戮に変貌している。思えば、広島・長崎に投下された原子力爆弾は、最大にして最初の悲劇だったのであり、それを踏まえた不戦の決意であったはずだ。
 戦争が最大の人権侵害であるとの真意は、それが、差別や排外主義をともない、やってくるからだ。日本人は、過去の戦争ですり込まれた、中国・東アジア・朝鮮半島の人々への蔑視観を、完全には払拭することなく「平和」を謳歌してきたが、戦争を許さないということは、差別を許さないということと同義であることが、あらためて確認されるべきだ。
 こうした時代状況だからこそ、「人権侵害救済法」制定に向けた私たちの取り組みは、もう一度原点に立って、「あらゆる人の人権が尊重される社会とはどのような姿であるのか」という、その理想像を、多様な人々と議論しながら、模索していく必要がある。
 私たちは、これからも、人権が真に尊ばれる社会を目指し、差別に苦しむ人々を救済する法整備を1日も早く実現するよう全力で取り組むことを、ここに決議する。
 
  2015年12月17日

                                   部落解放・人権政策確立要求京都市実行委員会
                                              第29回大会 参加者一同