部落解放・人権政策確立要求京都市実行委員会第33回大会開催

 

性暴力被害をなくすために〜独自事業開催〜 

 

 

   

 12月5日、京都府部落解放センターにて部落解放・人権政策確立要求京都市実行委員会第33回大会が開催され、72人が参加しました。解放共闘事務局長谷口富士夫さんの司会により開会のあいさつがなされ、議長団に京都市小学校同和教育研究会の大西一幸さん、京都市中学校教育研究会人権教育部会の澤田清人さんが選出されました。

 はじめに、市実行委員会より加藤章善会長があいさつし、「昨年、ゴルフ場のキャディーのアルバイトをした話をしたが、当時私は中学生であり、自分の住んでいる所が夙と呼ばれる地域であることから、職場の人に『あんたとこ、どこや』と聞かれるのが怖くて『山の向こう』などと答えていた。これが室町や芦屋だったら、堂々と答えるところだろう。そうしたアルバイト仲間でも、被差別部落から来ていたお姉さん方がいて、その人たちには優しくしてもらった。今からもう55年前のことだが、つい最近も居酒屋で同じように住んでいるところを聞かれて、隠そうとしている店員さんがいて、今も同じことがおきていると感じた。自分の寺の周辺でも、結婚となると他県の人との縁談はかなうが、10キロ範囲内の人との結婚は進まない。皆さん方の心の中に、秘められた差別意識がまだまだたくさんあり、今もなくなっていない。今日は十分に討議を賜り、一日も早くそういうことのない世の中になるよう祈念する」と述べました。

 来賓あいさつにうつり、京都府実行委員会を代表して平井斉己事務局長が「今年の5月にはアイヌ新法が施行され、人権侵害救済法のめどが立たない状況ながら、個別法の整備がすすんでいる。中でも大事だと思っているのがヘイトスピーチへの対策である。政治団体を立ち上げ選挙活動と称して、彼らは堂々とヘイトスピーチを繰り返す。証拠をもって法務省にあげていけば、省として対応せざるを得ないということなので、それぞれが自覚をもって、ヘイトスピーチを許さないという対応をしていってもらいたい」と述べました。次に京都市より別府正広文化市民局長が市長からのメッセージを代読し、「今年度は京都市人権文化推進計画の中間見直しの年であり、現在、市民からの意見募集をしている。これからも市民の共感と理解を得られる政策を着実に推進していく」と述べました。

 政党からのあいさつとしては、民主・市民フォーラム京都市会議員団より小島信太郎市会議員、公明党京都市会議員団から湯浅光彦団長よりごあいさつをいただきました。また、社会民主党から佐藤大さん、立憲民主京都府連合から福山哲郎参議院議員秘書の松井陽子さんが参加され、紹介されました。

 祝電披露を部落解放同盟京都市協議会事務局次長古谷宏さんがおこなったあと、来賓の方々が退席され、議事の進行に移りました。

村上光幸市協副議長が第32期の活動報告を行い、京都商工会議所の荻野達也さんが会計報告。京都人企連より奥村知史さんが会計監査報告がされ、参加者の拍手で確認されました。続いて、基調提案、また第33期予算案が承認され、役員人事の選出を、木下松二市協副議長が提案。会長に、浄土真京都教区人権同和推進委員長の加藤章善さんが再任されました。

最後に、大会決議案が、同和問題に取り組む京都府宗教者連絡会議の松本正英議長から読み上げられ、全員の拍手で確認されました。

全ての議事が終了し、議長降壇の後、閉会挨拶を、実行委員会副会長である宮崎茂市協議長が行い、第33回大会を終了しました。

 

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   引き続き京都市実行委員会の独自事業「考えてみませんか あなたの人権わたしの人権」が開催され、今年は「女性が声をあげにくい社会を変えていくには」と題し、ウィメンズカウンセリング京都カウンセラーの周藤由美子さんに講演をいただきました。

はじめに、自己紹介をかねて、ご自身が性暴力被害者と関わっていく経過において、1980年代の関西で性暴力と闘う女性たちの運動が立ち上がっていく歴史や、京都大学や大阪知事選でのセクハラ裁判などの具体的な運動、また、性暴力被害者に寄り添うなかで、カウンセリングや相談支援の必要性を痛感し、自らセンターを立ち上げていったことなどを話されました。次に、性暴力の定義として、望まない性行為はすべて性暴力であり、女性に限ったことではなく、実は男性にもあること。7割以上が家庭や職場などの知っている人からの被害であること。また、警察への訴えはわずか3.7%であり、非常に潜在化している被害であり被害にあった人が、自らを苛み事件化されないという特徴があると話しました。そのような中でも、勇気を出して訴えた被害者がいたとして、加害者が起訴され裁判になった場合、被害の客観的な証拠や、抵抗の度合いなどを理由として無罪判決が相次いでいることを、4つの具体的事例をあげて訴えました。こうした状況を改善するためには、刑法の改正が必要であり、そのためには、女性がもっと政治の場で発言権を増やさなければなりません。日本のジェンダーギャップ指数は、特に政治分野において144か国中125位であり、女性議員の割合の低さが影響しています。最後に、被害にあった当事者が孤立無援のまま、自分自身を責め続けるような人生を歩まないためには、社会全体が性暴力被害への理解が必要であり、そのことは、社会を構成する男性にも女性にも求められていることだと述べて、話を締めくくりました。