部落解放・人権政策確立要求京都市実行委員会 

第34回大会を開催

 

続いて「仏教の歴史に隠された『差別戒名・法名』」の講演

 

  

1211日、京都府部落解放センターにて部落解放・人権政策確立要求京都市実行委員会第34回大会が開催され、構成団体より47名が参加しました。司会の解放共闘議長村井一成さんが、開会のあいさつをおこない、議長団に京都市小学校同和教育研究会の大西一幸さん、京都市中学校教育研究会人権教育部会の澤田清人さんが選出されました。

 はじめに、市実行委員会より加藤章善会長があいさつ。「私は、京都市実行委員会の会長だが、寺は木津川市にあり、浄土宗の坊主なので、本山は知恩院です。今日の基調提案にもありますが、8割の方が差別はよろしくないと思っている。でもそれを巧妙に隠すんですね。私の寺があるのは夙と言う被差別部落ですが、高校生同士の恋愛結婚はむつかしい。しかし様々な運動やみなさまの活躍もあり他府県からの結婚はどんどん成立しています。また、同じく基調提案には身元調べとして就職に関する統一応募用紙を超えた質問があったと書いてある。ただし、村の子ども達は地名総監事件以来の運動により、今では実力があれば大企業にもどんどん採用されている。そういったプラス面やいい話もけっこう出てきていますので、運動は、非常に地道で取り組みは難しいが皆様方にはご協力を賜りたい」と、成果と課題が混在している現状について述べました。

 来賓あいさつにうつり、京都府実行委員会を代表して平井斉己事務局長が「私達京都府実行委員会は、中央実行委員会との連携と同時に、京都府下の地区実行委員会と連携して、人権侵害救済法の制定を目指し活動しています。個別法としての人権3法はその過程として成立した法律ですが、現在京都府で条例づくりに取り組み、京都府と京都府議会の全ての会派に要請行動をおこなってきました。現在、コロナの感染拡大予防ということで何もかもがやりにくい状況にあり、こうした見えない敵が来た場合に攻撃的になってしまう人間の心は、部落差別にも通じます。みんなの人権を考えるという事は足元の自分に立場を置き換えて考えることだ」と述べました。

 次に京都市を代表して、別府正広文化市民局長が「コロナウイルス感染症の関係では、去る9日に京都市内で50名の感染、累計で200名を超える広がりをみせていて、危機感をもって対策をしている」と述べた後、誰一人取り残さない共生社会の実現に向けて共にあゆんでいきたいとする市長からのメッセージを読み上げました。

 今年は感染症拡大予防の観点から、ご来賓については京都市議会及び労働組合の関係についてはメッセージでの対応をいただきましたが、立憲民主党の福山哲郎幹事長が、非常に久しぶりに平日の夜、地元の京都に戻ることができたということで、急遽駆けつけてくださいました。ご挨拶をいただき「コロナの状況の中で、SNSを通じてタレントさんが自死をしたり、差別事案がおこり傷ついている人がたくさんいる。人間の弱さに根差した差別の芽を摘んでいく事が大事。立憲民主党は綱領にあらゆる差別を許さないということを明記した。さらなるお力を貸していただきたい」と述べました。

  祝電披露を部落解放同盟京都市協議会事務局次長古谷宏さんがおこなったあと、来賓の方々が退席され、議事の進行に移りました。

村上光幸事務局長が33期の活動報告を行い、京都商工会議所の荻野達也さんが会計報告。京都人企連より奥村知史さんが会計監査報告をおこない、参加者の拍手で確認しました。続いて、事務局長より基調提案、また会計より第34期予算案の提案があり承認されました。役員人事の選出を、木下松二市協副議長が提案し、新会長には浄土真京都教区人権同和推進委員長の加藤章善さんが、来期も選出されました。

最後に、大会決議案が、同和問題に取り組む京都府宗教者連絡会議の竹内文成議長から読み上げられ、全員の拍手で確認されました。

全ての議事が終了し、議長降壇の後、閉会挨拶を、実行委員会副会長である宮崎茂市協議長が行い、第34回大会を終了しました。

なお、以下の方々からお祝いのメッセージをいただきました。

 民主・市民フォーラム京都市会議員団団長 山岸たかゆき 様、公明党京都市会議員団 団長 湯浅光彦 様、自治労京都市職員労働組合 中央執行委員長 森本尚秀 様、立憲巳種痘京都府総支部連合会 会長 泉健太 様、立憲民主党幹事長 参議院議員 福山哲郎 様、衆議院議員 前原 誠司 様  

    ありがとうございました。

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  引き続き京都市実行委員会の独自事業「考えてみませんか あなたの人権わたしの人権」が開催され、今年は「仏教の歴史に隠された『差別戒名・法名』」と題し、宗教・民俗学研究者の木津譲さんに講演をいただきました。

 はじめに、「自分はもう87歳にもなるので、30年前に京都で差別戒名を刻んだ墓石がでたときに、京都新聞の記事にコメントを載せている宮崎府連副委員長に、あとを引き継いでもらおうと思って訪ねたら、逆に講演をしろと言われてしまった」と、冗談交じりに話したあと、自分は、僧侶でも研究者でもないが、日本の仏教史上、解放運動史上重大な問題だと捉え、長年この問題に携わってきた。今やこの問題は、私たち国民に見えなくなっているが、決して、解決し終わった問題ではないと指摘しました。具体的には、京都でも九ケ寺に「畜男・畜女」「卜男・卜女」「過咎」などの差別戒名・法名が六二霊につけられていた事例を資料に示しました。その背景に根強くあった差別意識は、戦前まで続き、「白たび事件」と称する、被差別部落の檀家にお参りに行った僧侶が、汚れた畳を踏んだとして、次の部落外の檀家にお参りに行くとき必ず「白たび」に履き替えてから行っていたという事実。被差別部落で葬式があっても喪家にいかず御棺を寺院の門前迄運ばせ、そこでお経をあげてすませていたなどといった事実についても述べました。

 最後にともに考えたいこととして、差別を「しない」だけではなく「なくす」ということに、どう取り組んでいくかが大事である。文字は人の心を傷つけたり差別するためにあるものではない。まして死者に差別戒名、差別記載をつけるためにあるのではない。部落問題、人権問題ととりくむことによって、差別の「痛み」がわかる人間になってほしいと思う。宗教、行政、運動が一体となって、この問題に今後も取り組んでいってほしいとして話をしめくくりました。

 今もなお現地に足を運び、差別墓石の調査に取り組む木津さんの強い思いが伝わり、人間が差別をしてしまう根っこの心を、共に知り、考え、克服する道筋を考える機会となりました。