京都市意見交換会2021

〜山積する課題をあきらかに〜

 

  

 1119日(金)午後6時半より、部落解放同盟京都市協議会と京都市各部局との意見交換会が、中京区の職員会館かもがわで開催され、23名が参加しました。京都市は部局により入れ替わり、16人が参加しました。

 村上光幸事務局長の司会進行により市協役員の紹介があり、次に、京都市協を代表して、宮崎茂市協議長があいさつしました。「コロナの関係で去年1年間部会ができなくて、従来の部会で積み残したことを確認する場ではなく、我々が新たに要求のボールを投げここからスタートする場となった。京都市においては、財政が非常に苦しい中、やりくりが大変なのは承知しているが、私たちも部落差別をなくしていくために、待ったなしの取り組みであり、また、全国の仲間や京都府連の仲間と歩調を合わせる闘う課題もある。京都市においては誠意あるご回答、前向きな取り組みをお願いしたい」と述べました。

 次に西島藤彦京都府連委員長が挨拶し、「毎年この時期に府連の統一要求をもって府内全ての市町村と交渉をする。京都市を除くすべての市町村では首長が先頭になって出席をいただきながら、回答をもらっている。門川市長は前回の市長選のときにお会いして、今後もっと関係を濃密にしながら対応したいという決意はあったものの、具体的なところでは、なかなかそうなっていない。そこに対する不満も我々は持っており市長にもお伝えてほしい。去る927日に、部落地名総監復刻版の裁判判決があった。被差別部落のネット公開は差別を受け、誹謗中傷を受ける。従ってこういうものは許してはならないと言われたものの、差別されない権利まで言い及ばなかった。我々にとって一番大事な部分であり、引き続き控訴をしてこの論争をしていくことになった。この判決が出たということをめぐり様々な行政機関、自治体でも取り組みが始まっている。京都市においても、探訪などのネット上の動画が消されていない現状もある。ぜひ、しっかり思いをいたして対応をしていただきたい」と述べました。

 次に、後藤司担当課長が、共生社会推進室職員を紹介し、京都市を代表して古川真文文化市民局長が「私どもも今日の意見交換会は貴重な場であると考えており、是非とも忌憚のない意見をいただきながら議論、そして、私どもも回答していきたい。全国部落調査復刻版事件の東京地裁判決では、あらためて差別行為はあってならないと明らかになったと認識している。また、913日には、栃木県の行政書士の戸籍不正取得に関して、京都市協・京都府連連名で宮崎議長から申し入れをいただいた。私どももしっかり対応をおこなってく。年が明けると、水平社創立から100周年ということで、大変意義深い節目を迎える年になろうかと思う。水平社創立宣言にある、人間の尊厳と自由平等の理念の実現に向けて人権意識を一層高める契機としてまいりたい」と挨拶をしました。

 宮崎議長から古川局長へ、市協の要望書が手渡され、局長は、真摯に受け止めて対応していきたいと述べました。

 その後、要望書の順番に従って、部落差別解消推進法の具体化としての条例制定、ネット上の差別情報について、特に丹波篠山市における市長主導における「削除仮処分申立て」により実際に差別動画が削除された事例をあげ、根絶に向けた取り組み。戸籍や住民票等の不正取得について、京都市で32件の取得が判明し今後の対応について。住宅室へは、改良住宅の建て替えの進捗と、今後の計画について。また計画遂行を阻害する登記問題や地中埋設物の調査を要求しました。子どもへの虐待やヤングケアラーについて、保育課長、地域支援担当課長、子ども家庭支援課長が課題をまたいで見解を述べました。さらに、教育委員会へは、京都府下では京都市を除くすべての市町村で教員への意識調査がなされていることから、ぜひそれを行うべきと、強くせまりました。ヘイトスピーチに関して、コロナ禍で対応件数がないとした国際課課長に対し、この夏の甲子園で国際学園への差別言動など足元にある差別について問いました。最後に障害保健福祉推進室は、事例集の作成について回答がありました。

 最後に、山村敏雄共生社会推進室長が締めの挨拶をおこないました。「それぞれ大変重要な人権課題について現場を踏まえたご意見、ご提言をいただいたと思っている。我々にとっても例えば、コロナ禍でのコロナ差別の問題や、不安を抱える女性の問題など、新たな課題に対し、これまでの人権の取り組みを生かしていくことも大事だと思っている。今いただいたご意見をしっかり取りまとめて、また今後に生かしていきたい」と述べました。

 非常に限られた時間であり、かつ事前の部会等での積み上げもなかったことで、参加者にとってもわかりにくい、腑に落ちない側面もありましたが、山積する課題を共に自覚する契機となったことが有意義な点でした。今後も多岐にわたる課題について、それぞれ論議を一層深めていきたいと思います。