2018年 京都市との意見交換会開催

 

 

 

 1115日(金)午後630分より、京都市協と京都市との意見交換会が、職員会館かもがわで開催され、部落解放同盟京都府連合会役員、部落解放同盟京都市協議会役員、市協各支部代表者など、27名が参加しました。1年をかけて、「まちづくり部会」「教育・保育部会」「人権確立部会」の3部会で積み上げてきた成果と課題を、要望項目としてあげ、関係各局からの説明を受けました。

 はじめに、京都市協を代表して宮崎茂議長が、「地域の課題を一つひとつ解決していくために、部会を開催してきた。人権3法がこれからの京都市の人権行政に、どのように入っていくのか、しっかりと聞いていきたい」と挨拶しました。

 続いて西島藤彦府連委員長が、この間の国の動向を報告しながら挨拶し、「法第6条の実態調査は、一般の人権にかかわる実態調査ではなく、部落問題に特化した調査としておこなわれ、5月から国は、地方法務局を経由しながら部落差別の集約をしてきた。インターネットに係る差別事象は、東京法務局を窓口にして、一元的に情報集約をしていこうということで現在集約中。特に昨年暮れから今年にかけて、国はネット上の差別事件の対応をめぐり、従来は、同和地区出身者の誹謗中傷に対する訴えが削除の対象だったが、同和地区というエリア全体に対する誹謗中傷にもその対象を広げ、削除の対象にしていくこととした。京都府においてはモニタリングを実施し、他の市町村とも情報共有しながら、特に悪質な事案は、地方法務局を経由して削除要請がされている。こうした取り組みは、全国の自治体に広がっていく勢いである。全国意識調査は、今年8月、1万人の対象者にはがきで通知が出された。日を改めて、調査員が対象者の家庭訪問をしながら調査書を配り、さらに改めてそれを回収する。それがほぼ終わり、今後集約されながら、多分、年度末くらいには中間報告がされるだろう。ここにきて、政府与野党含め、共産党をのぞく全ての政党で人権議連が立ち上がった。そこでも議論されつつ、実態調査の詳細が今後見えてくると思う。我々としては1万では市町村の実態は見えてこないので、国と同様の調査を府県レベルでするようにという要請をし、数件の県では実態を見たうえで、意識調査を実施していきたいと表明されている。それぞれの調査を集約しながら、国の方針が今後出てくるだろうし、京都市においても随時、情報集約の努力をしていただきながら、適時の取り組みをしっかりやっていただきたい。」と述べました。

 次に京都市の出席者紹介の後、代表して、別府正広文化市民局長が「今年度は人権文化推進計画が10年の計画期間の中間年度にあたることから、改正作業を進めている。来週からパブリックコメントを実施する予定だが、市協や、市民のみなさまからのご意見をいただきながら、人権文化の息づくまちをめざした計画となるよう取り組みをすすめていく」と挨拶しました。

 

 村上光幸事務局長が以下の要望書を読み上げた後、宮崎議長から別府局長へ手渡されました。

2019年11月15日

京都市長 門川 大作 様

部落解放同盟京都府連合会委員長  

西 島 藤 彦

部落解放同盟京都市協議会 

議 長   宮 崎  茂

 

部落差別をはじめあらゆる差別の撤廃を求める京都市への要望書

 はじめに

2016年に国民世論の後押しを受けて成立した、いわゆる人権三法の現状を見ると「障害者差別解消法」は、障害者自立支援協議会が設置され、障がい者への差別実態が浮き彫りになり課題はあるものの一定の前進がみられます。

また、「ヘイトスピーチ解消法」については、「公的施設への使用制限を含んだガイドライン」が策定されましたが、抑止効果と対応策について庁内組織の連携等の課題が明らかになっています。このように具体的な取り組みが進められている一方、「部落差別解消推進法」の取り組みは遅々として進んでいません。とりわけ国においても、主要施策である実態調査、教育、啓発、相談等の具体化が示されず、同調する京都市も国の動向を事由に不十分な取り組みしかされていません。

私たちは2002年の「法」終焉後、一般施策を活用して部落差別の解消と住民要求の実現にむけた取り組みを進めてきました。なかでも、市協三部会の基本理念を「福祉で人権のまちづくり」として、周辺学区などを視野に障がい当事者、ひとり親家庭、生活困窮世帯、高齢者世帯、外国籍の人々などの課題とリンクさせて地域共生社会の実現にむけて取り組んできました。特に、地域共生社会を実現させるためには、人権三法等にあるネット等の情報化の中で氾濫している被差別当事者や同和地区に対する差別意識・忌避意識が存在する限り、真の共生社会や多文化共生の実現はありません。本日の「京都市との意見交換会」は、この一年間の部会で出された課題の整理を行うのと同時に、差別意識の解消にむけた京都市の基本姿勢と下記の要求項目を議論し、誠意ある回答を求めていきたい。

 

.「部落差別解消推進法」では、部落差別の実態把握を市町村と連携して取り組むとされている。とりわけ、京都市内で発生した部落、障がい者、外国人等への差別事象の件数と対応について明らかにされたい。  

さらに、昨年11月に実施した「市民意識調査」では、市民の約6割が名称だけを含めて人権三法を認知していたが、内容に及ぶと約2割強にとどまっている。年齢層でも50代〜60代は比較的高いが、20代〜30代になると極めて低い実態が明らかになった。

@    市民意識調査結果について分析し、今後どのように市の施策に反映させるのか明らかにされたい。

A    「部落差別解消推進法」の重要施策である「相談体制」について、どのように取り組むのか明らかにされたい。

B    「部落差別解消推進法」の具体化を図るため「部落差別解消推進条例(仮称)」を制定されたい。また、条例化の必要性についての見解も述べられたい。

 

.事前登録型本人通知制度が発足してから5年有余が経過した。10月末現在の市民登録者数は3,567人、約0.25%にすぎない。定期的な啓発をされているが登録拡大にむけた抜本的な対策には至っていない。登録拡大にむけた取り組みの具体化を図られたい。

また、登録者の1割強の人が何らかの事由で第三者によって取得されているが、当事者からの異議や相談等の現状について明らかにされたい。

 

.「ヘイトスピーチ解消法」では、「不当な差別的言動は許されない。「地方の実情に応じた施策を講じる。」などと明記されている。京都市は、昨年7月「公的施設の使用制限を含んだガイドライン」を施行したが、今春の地方選では候補者が「公職選挙法」をたてにヘイトスピーチを行った。その実態を認知されているのか明らかにすると同時に、京都市総体として取り組み体制を再点検して連携の強化を図り、今後、民間施設にも協力を依頼するなどして京都市の差別を許さない強い姿勢を示されたい。

 

.「障害者差別解消法」の制定を受けて、「京都市障害者自立支援協議会・権利擁護部会」の相談内容を見ると好事例、不快の念、合理的配慮の不提供など権利侵害の現状が報告されている。なかでも、重度重複障害児者や精神障がいの課題は深刻であり対応に苦慮されている。これまで集約された事例を冊子等にして公的機関はもとより公共性の高い施設や大企業などに配布して障害者問題の理解を深めてもらい、併せて社会参加の促進を要請されたい。

また、「障害者雇用促進法」にもとづき、今年度の各任命権者別「障害者雇用率」を報告されたい。

 

.「京都市市営住宅ストック総合活用計画」の進捗状況と昨年度の取り組みについて報告されたい。とりわけ、7月に発表された4地区(田中・錦林・東三条・西三条の4団地)について今後の事業計画案と他の地区の計画案も示されたい。また、親の介護や子育て世代の入居を促進するコミュニティバランスを配慮した入居基準を緩和して、にぎわいや活気あるまちづくりに寄与されたい。

 

6.改正社会福祉法では、地域共生社会の実現(我が事、丸ごと)を目指すことを大きな柱としている。この地域共生社会の実現のためには、社会的障壁(心のバリアー)の解消が必要である。また、多文化共生社会についても同様で京都市として社会的障壁を解消するための基本的な考え方を明らかにされたい。

 

7.京都市こどもの貧困対策の取り組みは、福祉、教育、就労の各分野との連携が不十分である。とりわけ、学校現場においても「子ども食堂」「ひとり親家庭のこどもの居場所づくり」などの事業を取り組んでいるNPO団体等との連携は皆無に等しい(市内に約4050箇所)。こどもの学校以外の生活や遊び等の問題行動を共有するため連携の強化を図られたい。

 

8.保育行政について、公立保育所(同和保育所など)では外国籍の児童を受け入れた運営がされているが、国籍、文化、言葉、宗教等の基礎的知識が欠如していることで現場が混乱している実態がある。早急に改善し、基礎的知識を取得した加配職員を配置し、併せて保護者啓発等を行われたい。

 

9.各いきいき市民活動センターの運営等の見直しが検討されているが、いきセンの今後の方向性として、現行の設置趣旨に加えて地域共生社会の実現や多文化共生社会の実現の一環として、外国の語学や文化などを発信する拠点として位置付けられたい。

 

  手交をうけて、別府局長は「京都市として真摯にこれを受けたいと思う。人権を大切にする。差別を許さない。共生社会をつくっていこうということは、立場は違っても共通の思いである。これからも、みなさま方のご理解ご協力をあらためてお願いする。このあと、各所管課の課長から要望項目について順次説明させていただく」と述べ、公務により退室しました。

 その後、各所管課からの説明があり、意見交換が行われましたが、冒頭、宮崎議長が、「障がい者、外国人、部落と、人権3法があるが、部落差別だけなぜ、ひとりひとりの人権という一般的な表現になっているのか?」との疑問が述べられました。また特に、ヘイトスピーチに関して、ガイドラインが制定されているが、統一地方選挙における、施設管理者の対応が、ガイドラインも法務省の通知も徹底していないものであったとの指摘に、国際課が真摯に受け答えできない場面もありました。来年2月には京都市長選挙もひかえていることから、演説会場となりがちな学校施設の管理者も含め、徹底した周知、啓発と、ヘイトスピーチを許さないという京都市としての明確な姿勢が求められます。

 その他の項目の、具体的なやり取りについては、その場での解決に至らないことも多く、今後の部会への議論へ引き継いでいくことが確認されました。