市協「人権確立部会」開催

〜解消法後の研修・啓発について〜

 

 

 10月3日(水)部落解放同盟京都市協議会「人権確立部会」が京都府部落解放センターで開催され、部員13名と、京都市人権文化推進課より4名が参加しました。

 9月4日に予定していたところ荒天により延期となっていた部会です。

 冒頭、宮崎議長は「11月の意見交換会に向けて課題を整理してきたが、今日の部会で一つの区切りとしたい」と挨拶。双方自己紹介の後、まず、岡田祐成人権文化推進課長が、これまでの京都市における「同和」問題のスタンスについて説明し「従来、市政の最重要課題として取り組んできた結果、生活環境は改善し地対財特法の失効により一般施策に移行。さらに20093月に出された『同和行政終結後の行政の在り方総点検委員会』が示した方針に従い、人権意識の向上に努める。部落差別解消推進法については国との役割分担について、国の考えが示されていないこともあり、確認したうえで取り組む」と表明しましたが、これ自体は従来からの公式見解にのっとった形式的な内容です。また、啓発については水垣啓発担当課長が説明しましたが、解消法の周知を、人権情報誌に掲載したこと、御池地下街ゼストでのパネル展示等について報告したものの、具体的に差別をなくしていこうという気迫は感じられませんでした。

 そこで、部員からは「地域社会で部落差別の法律ができたことをどう訴えていくか」「人権3法は被差別当事者に対して施策を打つ法律ではない。差別する側の人に作られた法律だということをもっと周知してほしい」「ポスターの掲示の仕方一つにしても、行政の姿勢があらわれている。期間を決めたキャンペーンをしてはどうか」等意見が出ました。また、京都市職員1万3千人についても、まだまだ知られていない現実が指摘され、岡田課長は「一番初めの周知は20173月の庶務坦部長会で法の全文を配布した。そこから局課長会という局長部長課長までの週に1度の定例会に降ろし、それぞれの課長が持ち帰って所属のミーティングで降ろした」と説明しました。しかし、その後各所属でどのような研修が行われたのかのチェック体制はなく、実際にどの程度浸透しているかは、不透明です。課長からは憲法月間と人権月間、年2回の人権研修で、各所属には同和問題を取り上げるよう要望、また人事課の集合研修でテーマを同和問題とし、関西大学の石元先生を招いたとの補足がありました。

 確かに、一度や二度、研修を受けたからといって、人々の意識や社会が変わるものではありません。しかし、だからこそ、これまでのやり方とは違う切り口での啓発が必要だという意見が多くありました。例えば、市民のごみ分別に関する意識は、ここ数年で、「プラスチックごみの中に、紙や生ごみが入っていたら、恥ずかしい」というように徹底されてきています。同様に「人を差別することは恥ずかしい行為なのだ」というように、あるいは、誰かが差別的な発言や態度をとっていたら、「それはいけない行為だ」と主体的に言える人間に変わってもらうこと。社会生活の現場で、そのような差別の障壁をなくすことは、改正社会福祉法で「共生社会の実現」とうたわれている地域での助け合いを実現するためにも不可欠です。

 最後に重要な指摘が2点されました。解消法が成立した背景として、現代社会におけるインターネット上のすさまじいばかりの差別書き込みの現実があり、京都市行政としても試行的におこなっている京都府のモニタリングに便乗するだけではなく独自に行うべき、というのが1点。法務局との関係で、京都市内で発生した差別事象について、自発的に報告を行うことは、この度の法律に示された実態調査の一環でもあり、怠ることは許されないというのが2点目です。

 京都市がこの秋におこなうという市民意識調査、国が来年行うという部落差別に関する意識調査も踏まえ、今後相談体制をどのようにしていくかなど、今後も継続的に検討し、意見交換していくべきでしょう。