差別事象について京都市へ情報公開請求

 

 

  京都市協議会事務局は、9月7日、京都市総合企画局情報化推進室情報公開コーナーで、2017年6月26日から2018年9月6日までの間に京都市内で発生した人権問題にかかわる差別事象について、情報公開請求をおこないました。10月2日に決定がおり、4局2区役所から閲覧の公開を受けました。発言、落書き、掲示等の差別事象が9件、うち部落差別が5件、外国人差別が4件でした。また別途障害者に関しては、相談として寄せられた内容が、すでにHPに掲載されているということですが、情報提供として28件ありました。

 今回特徴的だったのは、昨年8月18日に「民家の壁面に差別用語を書き連ねた紙片を掲示してあるのを発見した」と市民から通報があり、西京区役所と人権文化推進課が対応した事案です。職員が何度訪問しても応答がなく、当該宅に削除要請の文書を送っても撤去されず、最終的に差別語にあたる部分を仮止めテープを貼って覆ったということでしたが、この一つの事案に対して経過を含めて6件の文書公開がありました。問題は、テープの貼り付けが今年の5月21日ということで、市民からの通報があってから終結するまで、9か月間もの間放置され続けたことです。公道から目視できる場所であり、人によっては、見るたびに傷ついたり、いやな気持になったことでしょう。紙1枚であっても私有物であると判断した対応のようですが、例えば、自宅の庭であれば毎日ヘイトスピーチを繰り返してもいいのかどうか、「差別する表現の自由はあるのかないのか」という問題意識とも関連して、もっと迅速に対応できなかったのか、再考されるべき課題です。

 また、交通局では地下鉄烏丸線の駅トイレに「部落問題対策ネットワーク」を騙る悪質なビラが発見されており、弁護士名が書かれている(黒塗り)ことから、京都弁護士会にも一報を入れるように申し入れました。

 地下鉄駅トイレと京都駅地下街ポルタトイレには、在日女性を名指しし「枕営業」を示唆する内容の、外国籍市民と女性双方への複合差別落書きがありました。別々の場所で、8か月以上経過した後に、同じ内容の落書きがあったということで、執拗な悪意を感じました。名前を書かれた当事者女性には知らせたのかと質問したところ、「特にしていない」ということでしたが、名誉棄損や事件性も含め検討されるべき課題だと感じました。

 東部まち美化事務所にかかってきた、特定の地域に対する差別的な発言の電話については、職員が直接発言した市民と現地で面会し、部落差別解消推進法の成立も含め説得することで、相手は深く反省したというすばらしい報告もありました。

 京都市協では、差別事象に関わる情報公開請求をこの間1年に1度のペースでおこなってきましたが、情報が古くなることもあり、今後は半年に1度はするべきかもしれません。