部落解放研究第48回全国集会 京都市内で開催

 

 

 

20141020日〜22日までの3日間にわたり、岡崎公園の「みやこめっせ」で、部落解放研究第48回全国集会が開催され、6000名が参加しました。厳しい情勢を反映して、「深まる人権と平和、民主主義の危機に抗して、差別・貧困の克服と社会連帯の実現にむけた理論と実践交流をすすめ、今日的な部落解放運動の課題を明らかにしよう」とのメインスローガンを掲げた全国研究集会は、京都での開催は19年ぶりということで、長い期間をかけ、念入りに準備がなされ、盛況のうちに閉会することができました。

京都市協からも、府連選出役員はもとより、延べ22名の要員体制で集会を支えました。また、1日目のオープニングでは吉祥院六斎念仏踊りが披露され、全体集会では「京都における部落解放運動の現状と課題」と題した平井斉己京都府連書記長の特別報告の後に、改進支部女性部による「竹田の子守歌(元歌)」が熱唱されました。

 

来賓挨拶では、地元より山田啓二京都府知事、門川大作京都市長も人権の大切さを共有する祝辞をいただきました。続くシンポジウムでは「差別禁止法を求めて−ヘイトスピーチを糾弾する−」と題して、特に京都朝鮮学校襲撃事件に対する裁判闘争、水平社博物館への差別凱旋と裁判闘争を軸に、論議がされ、社会的に包囲していくための法整備の必要性と、そうした外国人やマイノリティに対する攻撃性が戦前のファシズムにも用意されていたことの危険性について訴えられました。

2日目は、歴史や教育、狭山再審闘争と司法、差別事件、行政闘争など7つの分科会で熱心な討議がされ、東山から柳原銀行をめぐるフィールドワークも行われました。第4分科会「人権啓発」で、宮崎市協議長が、第6分科会「差別事件・糾弾闘争」で菱田事務局長が報告を行いました。

3日目も、1日目と同様の盛況で、「LGBT当事者の思い」(南和行さん)、「部落の伝統と芸能」(山路興造さん)の2本の報告に、最後まで熱心に耳を傾けていました。

 

 

 

 

 

 

 

来年の全国集会は大分で開催されます。3日間の成果を、それぞれの地元に持ち帰っていただきたい、と同時に、私たちもまた、京都市内では来年2月に開催される「第46回人権交流京都市研究集会」に生かしていけるよう、取り組みを進めていきます。

 

 

 

 

 

 

 


 

【第4分科会報告】

 

 

 

「人権啓発」をテーマとする第四分科会は、前半、被害者通知制度又は事前登録型本人通知制度の全国的な情況について、4本の報告があり、宮崎茂市協議長も京都府の報告を行いました。進行は、片岡明幸中央財務委員長の司会で「現在、何らかの通知制度を導入している自治体は約450カ所になった。全国4つのブロックに分けて、特徴的な取組を紹介するので、未設置の自治体は参考にして欲しい」と挨拶しました。

最初の報告は、「新潟県における本人通知制度の取組の現状と課題について」を、長谷川均新潟県連合会委員長がおこないました。1984年の県連結成により部落解放運動が上越から全県内に大きく広がっていった経過や88年神林村差別行政糾弾裁判勝利判決などを経て、ようやく同和行政が取り組まれてきたこと。現在、上越市や新発田市など6市1町の自治体で事前登録型本人通知制度が導入されていると報告されました。

2番目に、「戸籍謄本等大量不正取得事件の真相と事前登録型本人通知制度について」を宮崎茂京都府連合会書記次長(京都市協議長)がおこないました。「京都府内では、581人の府民が不正取得されていることが情報公開請求によって明らかになり、約2年をかけた府内市町村交渉や対京都府交渉の結果、今年7月に26の府内全市町村で事前登録型本人通知制度が導入された。被害者通知制度と合わせて両制度が全市町村で導入されたのは今のところ京都府だけである。ただ、制度内容にバラツキがあり、今後は制度の均一化と充実を求めていきたい。とりわけ京都市では、登録に期限がなく郵送でも可能とすることで、登録のハードルを下げる一方、弁護士会の根強い反対の声に配慮して30日後に通知するルールを確立したことや密行性の高い業務である相続関係については適用除外にしている等、内容の独自性がある」と報告されました。

3番目は、「全市町で一斉導入した本人通知制度について」を岡本俊晃香川県連合会書記長がおこないました。香川県では2012年7月には全市町で事前登録型本人通知制度が導入されたが、登録期限が3年という問題があり、また登録者数が少なく周知や啓発の方法について関係機関と協議中。今後は拡大に向けて取り組んでいきたいと述べました。

4番目は、大分県の報告を山本五十六大分県連合会書記長がおこないました。18の全市町村で事前登録型本人通知制度が導入されたこと。今後は、登録者数の拡大と制度の充実に向けた取組を強化していきたいとしました。

参加者からは、職員の業務研修の実態や市町村職員の登録者数が資料に記載されているが問題はないのかなどの質問が出されました。業務研修はされても形骸化したもので人権をキーワードにしたものではなく課題があるなどの答弁がされました。

最後に、片岡明幸中央財務委員長が「今後は、未実施自治体に働きかけると同時に、自治体ごとのバラツキを均一化するため、中央本部では統一基準を作成して全国に広げていきたい」とまとめて終えました。